今回は調整期間「ベース」の具体的なパターンについての話になります。
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「取っ手」部分の基本的特徴
前回のカップ部分と取っ手を合わせて、カップウィズハンドル(取っ手付きカップ)です。
見なければいけないポイントが多いため、小分けして読んでいきましょう。
取っ手部分でも振るい落とし
- 取っ手部分の形は1~2週間かかって形成される。
- 下落する値動きの終わり付近で「振るい落とし」と呼ばれる現象が起こる。
- このとき、株価はその数週間前に作られた取っ手の安値を下回る。
- また、取っ手部分の下落した安値のところでは極端な薄商いになることがある。
- 取っ手のないカップのほうが失敗率は高いが、必ずしも取っ手を形成しなくても株価が上昇することが多くなることも確かである。
取っ手部分でも振るい落としが見られると、いよいよブレイクアウト(急上昇)の成功率が高まってきます。
振るい落としの際に出来高が少なくなるのは、それだけ売り注文が少なく下落の勢いが鈍い証拠です。
必ずしも薄商いである必要はありませんが、薄商いのほうが良いチャートパターンといえます。
ベースの上半分に取っ手ができると強い
ベースの上半分で取っ手が形成されることで、その銘柄の需要の強さが分かります。
他方で、ベースの下半分や10週移動平均線よりも明らかに下で形成された取っ手は弱く、株価上昇に失敗する傾向にあります。
ベースの下半分までしか株価が反発しなかったということは、そもそも上昇へ向けた需要の力がまだ弱いことを示しています。
これでは必要な調整が十分ではなかったため、もう一度ベースの形成からやり直すことになります。
安値が切り上げる取っ手には注意する
- 安値が切り上がる取っ手というのは、ベースの下からパターンの上部にまで上昇したあとに、その銘柄が必要としている振るい落としや深い押しの時期を経ていないことを意味する。
- 適切な取っ手の下落幅は、強気相場なら高値から8~12%以内である。
値幅が狭くなっていく取っ手(安値が切り上がるか、下落せずに下値が真横に動くような場合)は、上へのブレイクアウトに失敗する可能性が高くなります。
第1章のチャート集を見るといくつか具体例があります。
例えばIBM(P.32)がこちらにあたります。
このようなリスクの高いパターンが現れるのは、以下の場合が挙げられています。
- 3回目や4回目のベース
- 停滞銘柄のベース
- 注目されすぎて有名になりすぎた活発な主導株など
取っ手部分はしっかり手でカップを持てるように、安値が切り下がることが重要です。
失敗に備えて損切りラインを引く
取っ手の高値をブレイクするタイミングで買うわけですが、タイミング以前のチャートの形によって失敗する確率が変わるので、損切りラインを適切に設定することが大事です。
よく言われるのはリスクリワード1対3の法則です。
勝つ確率が4分の1(=負ける確率が4分の3)、または期待リターンが損切り金額の3倍以上となるように損切りラインを引きます。
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小さい負けをコツコツ受け入れても、勝つときにドカンと勝ってトータルで勝つことが投資成績をプラスに維持するコツです。
なお本書では評価損8%で例外なく損切りすることを勧めています。
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株価の収束を伴う発展的パターン
株が売りつくされて、市場に新たに入ってくる株式がほとんどない状態です。
個人が売り、機関投資家が買い集めていることもあります。
この動きに気づくことができれば、大きなリターンが期待できるでしょう。
機関投資家はなるべくバレないように買い値を上げずに、一定の金額で買うよう動いているため、自然と値幅が小さくなります。
裏を返せば値幅が大きいとまだ方向感が定まっておらず、失敗する可能性が高くなるといえます。
カップウィズハンドルの取っ手部分で、この株価の収束を確認することができれば成功率はグッと高くなります。
おわりに
カップウィズハンドルのパターンは、実際にチャートを眺めるとよく見かけます。
次回以降紹介するパターンより経験上は勝つことが多く、勝負をかけるには悪くないと思ってます。
ただし本書のように分かりやすいパターンはほとんどありません。
これは第14章の具体例を見てもよくわかります。
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では勝負をかけるポイントはどこでしょうか?
次回は、そんな買いタイミングを示す「ピボットポイント」について扱っていきます。
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