本日は「S-株式の需要と供給」です。
日常的な商品やサービスの価格は、ほぼ全てが需要と供給によって決められており、この基本原則は株式市場にも例外なく存在します。
株式の供給量による違い
流動性の大きさは、株価の値動きに大きな影響を与えます。
大型株と小型株でそれぞれ特徴が出ますので、ひとつずつ見ていきましょう。
需要と供給
供給量が大きいと、需要はそれだけ増えなければ株価は上昇しません。
通常は小型株のほうが良い成績を上げやすいのですが、裏を返せば値下がりも速いということでもあります。
つまり、ハイリスクハイリターンです。
そのため、損切りラインの徹底といった厳格なリスク管理が求められます。
発行済み株式数は、その株式の市場流通規模を示します。
より厳密には、全株式数のうち「浮動株」数が、実際に流通する株式数を表します。
また浮動株とは、全体の株式発行数から経営陣や企業などが保有している安定保有株式数を差し引いた、市場に流通している株のことです。*1
なかには発行済み株式数が多くても、大株主同士が持ち合いをすることで、浮動株は少ないこともあるので注意しましょう。
経営者も株主だと利害が一致する
- 経営陣が保有している株式の割合が大きいと(大企業だったら最低1~3%、中小企業ならそれ以上)、株の値動きが経営陣自らの利害につながるために、企業としての株価上昇に対する努力が期待できるため、良い買い候補となる。
創業者が社長を務めている、いわゆるオーナー企業など多くの新興企業が当てはまります。
わたしたちと同じ株主のため、自然と株主還元を第一に考えてくれるので利害が一致します。
ではどれくらい自己保有していればよいかと言うと、本書の教えに基づき大企業の場合は1%以上、中小企業なら3%以上を目安にすると良いでしょう。
大型株も跳ね上がる
- 大型株は、近年では大きなファンドが相当の資金力を持っているため、一流の大企業の株でも中小企業とほぼ同じくらいの速さで値上がりする可能性を秘めている。
そして通常は大型株は成熟していることが多く、組織体制が古くなり成長が鈍ります。
しかし最近では、大型株も株価が乱高下します。
これは世界の大規模金融緩和によって、市中マネーがあふれたことで、ファンドに大量にお金が流入しました。
そして大規模化したファンドは、小型株だけで運用するには持て余したお金を大型株にも、投資せざるを得なくなりました。
ただしいずれにせよ、需給バランスのために、小型株のほうが株価が上昇しやすいのは間違いないです。
その中で成長株を適切なタイミングで買うことができれば、大きなリターンを得ることができるでしょう。
管理人ではなく起業家精神に富む経営陣を選ぶ
- 大企業の多くは、昔ながらの保守的な「管理人タイプの経営者」によって運営されており、革新的な決断やリスクのある行動をとったり、素早く行動をして急速に移り変わる時代に追いつこうという意欲に欠ける。
- 新製品や新サービス、および発明などは、起業家精神に富んだ経営陣を抱える、革新的でハングリー精神にあふれる比較的新しい中小企業から生み出される。
わたしたちが投資するべきは、失敗を顧みず、献身的に会社へ奉仕する経営陣を有する中小企業です。
大企業の経営陣が、自社株を大量に保有することはまずないです。
多くは株主ではない、いわゆる雇われ社長でしょう。
大企業病
ただでさえ減点方式になりがちな巨大な組織では、企業の経営陣及び社員は、会社の成長よりも待遇を重視するでしょう。
もちろん給料分は働くといった感じでしょうか。
リスクを冒して会社を思い成長を目指すことよりも、言われたことだけやって現状維持に徹するインセンティブのほうが大きく、株主よりも社内の評価に目が行きがちです。
新製品を発明しても微々たるもの?
また成熟した企業が、革新的な新製品を生み出すことがあったとしても、株価を高騰させることはあまりないでしょう。
それは、大企業にとっては新製品等がもたらす売上や収益は、全体では微々たることが少なくないからです。
もちろん業績に与えるインパクトは確認したほうがよいですけどね。
過剰な株式分割には注意
オニールは、3対1や5対1以上の過剰な株式分割で供給量が増えてしまうと値動きが重くなると指摘しています。
これは売り手を増やしてしまうというリスクを伴っているからであり、過剰な株式分割だったり1~2年内に2度も株式分割が行われると、株価が天井を打つ可能性がさらに高まります。
この理由としては、経験豊富な抜け目ない投資家たちが過度の株式分割でにわかに株が注目されているその時に、株を売って利益を確定しようと考えていることが挙げられています。
また、売却時期を待っていた大口株主も、3対1の株式分割が行われてしまう前に手放すほうが売りやすいだろうと考えるかもしれません。
つまり、株価が手頃になるために人気化したこの銘柄に、抱えた大量の売りをぶつけようと考えているのです。
したがって、株式分割だからといって手放しに喜ばずに、冷静に相場を注視しましょう。
まとめ
- CAN-SLIMの条件を満たす銘柄ならば、総資本の規模にかかわらず買ってよい。
- ただし、資本の少ない小型株のほうが上昇時も下落時も値動きが激しくなる。
- マーケットの焦点は小型株から大型株へ、あるいはその逆へと移り変わっていくものだ。
- 公開市場で自社株買いをしている経営陣が多くの株式を保有している企業のほうが投資対象としては望ましい。
投資チェックリスト(次回含む)
- 経営陣が自社株を保有している銘柄を探す。大企業は1%以上、中小企業は3%以上。
- 3対1以上の株式分割や、年二回以上の株式分割には注意する。
- 自己株式の取得を行っている企業は望ましい。
- 自己資本比率は50%以上
- 日々の出来高を確認したか。
- ブレイクアウト時は、出来高は少なくとも過去3カ月平均の40~50%以上が望ましい。
おわりに
アマゾン(2022-06-03)が20対1、テスラが9対1の株式分割を行われました。
過剰な株式分割が、絶好調な銘柄にどう影響を与えるか。
今後の株価に注目していきたいと思います。
gyatuby.hatenablog.com