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オニールの空売り練習帖第2部⑤~注意すべき5つのテクニカルの動き

株価下落の予兆は、手仕舞いするときはもちろん、空売りするときにも参考になります。

今回は空売りする際に注意すべき5つのテクニカルな動きについて学びましょう。

オニールがよく使う専門用語が出てきますので、併せて覚えると理解が進みます。

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注意すべきテクニカルな5つの動き

早速オニールが挙げているテクニカルな動きを見てみましょう。

  1. ストーリング(失速)
  2. ウェッジ
  3. 線路(レールロードトラック)
  4. アイランドトップ
  5. 後期ステージのベースから、薄商いでのブレイクアウト

チャートのなかで、これらの動きは株価の下落が間近である可能性を知らせてくれますが、かすかなサインなので注意しなければなりません。

最初のうちは気づかないかもしれませんし、慣れたからこそ判断に迷うこともあります。


ひとつずつ、じっくり読んでいきましょう。


1.ストーリング(失速)

レーザーテック日足 出所:Investing.com
  • ストーリング(失速)とは、株価は反発しているが、週足でみると1週間から3週間にわたって、週の終値がその週の取引レンジの真ん中よりも下で引けるという値動き。
  • 反発が組織的な売りに直面していることを示している場合があり、その売りがまもなく反発を圧倒して、株価は再び下降に向かう可能性がある。
  • 特に、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの右肩部分において、株価が50日移動平均線を上抜ける3回目か4回目の反発をしているときに起こるストーリングは、下方へのブレイクが間近に迫っている強いシグナルである可能性が高い。

週の終値が下半分で引けるときには注意が必要になります。


このストーリングが現れると、買いよりも売り圧力のほうが勝っているサインといえます。

ローソク足でいうと、上ヒゲや大陰線と呼ぶこともあります。


ストーリングが発生した場合、買いポジションのときは手仕舞いを考える場面ですが、空売りのときにはチャンスとなる可能性を秘めています。

特に以前紹介したダイアグラム1で現れる、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの右肩部分でストーリングを見せると空売りの成功率が上がります。
gyatuby.hatenablog.com

ストーリングは、よく見かけるサインであり杞憂に終わることも少なくありませんが、一つの相場の終わりを示していることもあるので注意する必要があります。



2.ウェッジ

上昇ウェッジ
出典:gemforex.com

https://gemforex.com/media/trade/wedge/

  • 出来高が徐々に細りながらの株価が上昇する。
  • その銘柄の買い、つまり需要が不足しているシグナルである。
  • ストーリングと同様、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの右肩部分において、株価が50日移動平均線を上抜ける3回目か4回目の反発しているときに起こるウェッジは、株価の下方へのブレイクが近いという重要な兆候である可能性が高い。

ウェッジもストーリングと同様に、買いより売り圧力が徐々に強まった時にできるサインです。

カップウィズハンドルで安値が切り上がる取っ手は成功率が低いと学びましたが、この切り上がる現象がまさにウェッジです。
gyatuby.hatenablog.com

ウェッジが起きるときというのは、握力の弱い株主を振るい落とせていないために、のちに株価は下落する事が少なくありません。


なおウェッジもストーリングと同様に、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの右肩部分で見つけたときにはチャンスとなりますので、ウェッジを見かけたら身構えましょう。



3.線路(レールロードトラック)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/G/Gyatuby/20220525/20220525192009.png

  • 「線路」は、ある週において株価が急激に上昇し、その次の週に株価がその前の週の取引レンジを完全になぞり、大きな出来高を伴ってその週の高値近辺で引けるときに起こる。
  • これによって、平行に走る2本の線、つまり線路のような線が現れる。
  • 大きな出来高を伴って前週の価格をなぞるというのは、この銘柄にディストリビューションが起こっているということを示している場合がある。

平行に走る二本の線、つまり線路(レールロードトラック)が現れます。

こちらは前書『オニールの成長株発掘法』でも扱いました。
gyatuby.hatenablog.com

レールロードトラックでは、一見すると2週間にわたって週の取引レンジの高値や高値付近で引けているため、この銘柄が出来高を伴って強い株価を維持していると思うかもしれません。

しかしよく考えれば、大きな出来高を伴ってもなお株価が伸びないのはディストリビューション(売り抜け)の合図である場合があります。


単純に出来高が大きいからといって、上昇の強い勢いがあると思わないように気を付けましょう。



4.「アイランド」トップ

アイランドトップ
出所:ifinance.ne.jp

https://www.ifinance.ne.jp/learn/technical/twd173.html

  • アイランドトップは、株価が2週間から3週間、あるいはそれ以上上昇を続けたあと、最後にギャップアップ(窓を開けて上昇)し、その週は極めて狭い範囲での取引になるときに起こる。
  • これは週足チャートでは小さい十字の形が孤立して「浮かんでいる」ように見えるため、「アイランドトップ」という名がついている。
  • これは、その週は値上がり週であるにもかかわらず、ギャップアップが売りに出合い、狭いレンジでチャーニング(前日比で全く上昇しないか、下げて引ける状態)が起こっている状態で、その株の上昇力が尽きたことを示している可能性が高い。

こちらは上昇力が尽きたことを示している可能性が高いです。

上がり過ぎたチャートを、上から押さえつけているように見えるアイランドトップでは、大量の買いに大量の売りをぶつけているともいえます。

そして、最後には売り圧力に屈するのです。



5.後期ステージのベースから、薄商いでのブレイクアウト

  • 後期ステージのベースから、薄商いでのブレイクアウトに注意する必要がある。
  • もし長期間にわたる株価上昇のあとで、株価レンジの幅が広く、不明瞭で不完全なベースを形成している場合には、ベースからの少ない出来高でのブレイクアウトに気を付けなくてはならない。
  • 薄商いでブレイクアウトし、その直後に出来高の増加を伴って急落する場合は、早期の空売りポイントとなる場合がある。

こちらはダイアグラム2を構成する要素(ポイント①)に当たります。

抜け目なく準備していた場合には、早期の空売りでうまくいく可能性が高くなります。
gyatuby.hatenablog.com

ベースも数回繰り返し、値動きが激しく、次第に不明瞭で不完全なベースを形成していると思ったら、薄商いのブレイクアウトに注意する必要になります。



失敗ベースはクライマックストップのあとに起こる

  • このような後期ステージの不完全なベースからの薄商いでのブレイクアウトは、しばしばその株がクライマックストップを付けたあとで起こる。
  • クライマックストップのあと、株価が上向いて大きく、幅が広く、不明瞭なベースを形成し、ブレイクアウトをもう一度試みる場合がある。
  • このブレイクアウトが非常に小さい出来高を伴って起こるときは、ダマシである可能性が高く、上昇が完全に終わったというシグナルである場合がある。

この売りサインに気づくために、まずはクライマックストップを見極めることが必要になります。
gyatuby.hatenablog.com

天井を付けたあとにすぐ急落するかというと、意外にも弱々しく売り圧力に抵抗しながら上昇することが多いです。


買いポジションではクライマックストップを付けたあたりで処分しますが、空売りの場合はクライマックストップを付けたあとにできる弱いベースからのブレイクアウト失敗に狙いを定めます。

ただし早すぎる空売りはタイミングが簡単ではありませんので、チャレンジするときには十分準備をしておきましょう。



まとめ

◆注意すべきテクニカルの5つの動き

  1. ストーリング(失速)
  2. ウェッジ
  3. 線路(レールロードトラック)
  4. アイランドトップ
  5. 後期ステージのベースから、薄商いでのブレイクアウト



おわりに

10月の米消費者物価指数(CPI)は予想より低い結果となり、日米ともに株価は大幅上昇しました。

これで日本市場も、フォロースルーデーを迎えたといえるのでしょうか。


そのためマーケット全体が強気に転じたと思われることから、私は空売りを狙うのは一旦やめて、上がれば買いたいと思っていた銘柄に焦点を合わせるつもりです。

押し目買いに押し目なし」との格言もありますので、買い逃しがないように気をつけたいと思います。


もちろん、今回学んだ売りのテクニカルが現れたら、十分に警戒するつもりです。

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