資産形成を行う上で、長期投資は国からも推奨されており、着実に成果を得る有効な手段でしょう。
しかし、長期投資が含み損の言い訳になってはいけません。
今回は、損失を取り戻すことがいかに大変であるか、そして弱気相場ではポジションを整理する必要があることを学んでいきましょう。
前回の記事
33%の下落を取り戻すには50%の上昇が必要
マーケット全体の方向感を知る重要性をさらに強調しています。
これはよく言われることですね。
例えば100万円のポートフォリオが67万円(100万円から33%の下落)に目減りすると、そこから33万円の利益(67万円から50%の上昇)を出さないと、始まりの地点にすら回復しません。
元本が減ってしまうと、損失を取り返すのに苦労してしまいます。
このように書けば、積み上げた利益を簡単に失ってはいけないと実感できますか?
含み益は実際の利益であり、含み損もまた損失なのです。
だからこそ、損切りは致命傷になる前に素早く行います。
「長期」投資と「満玉」投資に潜む危険
- 多くの投資家が自らを「長期投資家」と考えていたりそう呼んだりする。
- 彼らの投資術と言えば、全資金を不況好況にかかわらず常に市場に投入することだ。
- だが、そのような柔軟性のない投資法は、特に個人投資家に悲劇的な結果をもたらすことになりかねない。
- しかし、弱気相場の多くはそのような生やさしい下落では終わらない。
「含み損を抱えても長期投資だから大丈夫」
「含み損は幻」
「優良銘柄だからそもそも長期投資をするつもりだ」
このような個人投資家は少なからず存在します。
典型的な長期投資家の投資術の一つは、全資金を不況好況にかかわらず常に市場に投入する(=満玉)ことです。
しかし、弱気相場の多くは生易しい下落では終わらず、特に個人投資家には悲劇的な結果をもたらします。
彼らはライバルでもあるので何も言うことは特にありませんが、少なくとも過去の暴落の歴史については知っておいたほうがいいと、この類の話を聞くと思います。
弱気相場入りの判断は難しい
- これから弱気相場が始まりそうだと感じるころが、実は最も判断が難しい時期である。
- 経済状態が全体的に変化の兆しを見せ始めて手持ちの銘柄が不調であると感じたら、 保有株を少なくともある程度は売却して資産を現金化するのは必須である。
弱気相場の訪れを把握するのが難しい理由は、経済状態が今後どれほど悪化するのか、その悪化がどれほど長引くのか、これらのことがなかなか予測不可能だからです。
しかしヒントはあります。
それは手持ちのポートフォリオ成績が悪くなっていくのです。
手元の含み益(もしかしたら含み損も)のことなら、一番気にするところでしょう。
Twitterの報告も参考になるかもしれません。
雲行きが怪しくなってきたら、ポートフォリオを見直してもいいでしょう。
2022年は弱気相場の始まりとなるか
2022年はまさにその年かもしれません。
ウクライナ情勢とインフレ、各国の金融政策、新型コロナ、中国経済など悪化材料は散見され、神経質な動きとなっています。
ちなみに直近では、2020年に起こったコロナショックにおいて、約1か月で日経平均は30.6%下落しました。
また大恐慌となった2008年のリーマンショックでは、約半年で日経平均は51.3%の下落となりました。*1*2
一生塩漬けとなってしまうことも
弱気相場ではほとんどの銘柄が値を下げますが、そのすべてが以前の株価まで回復できるわけではありません。
不良株でも保有し続けていれば、いつか高値まで戻るという望みは、それだけ自らの資産を有効活用することを阻みます。
市場全体が弱気相場になったら、ある程度現金化する必要があるでしょう。
まとめ
- 元本が減ってしまうと、損失を取り返すのに苦労する
- 積み上げた利益を簡単に失ってはいけない
- 弱気相場の多くは生易しい下落では終わらず、特に個人投資家には悲劇的な結果をもたらす
- 市場全体が弱気相場になったら、ある程度現金化する必要がある
おわりに
弱気相場と目に見えてわかるまでには、実際には時間がかかります。
心配して肩透かしに終わることもあるでしょう。
しかし大恐慌になると資産の大部分を失いかねません。
次の強気相場が始まる前に元手がなければ、せっかくの稼ぐチャンスを逸してしまいます。
常におびえろとは言いませんが、適切に身構える必要はあるでしょう。