今回は天井における主導株の動きについてです。
例えば天井を付けて弱気入りする前に、たいていは主導株に怪しい動きが現れます。
それらのサインをどう扱うか、投資家の腕が求められるかもしれません。
主導株の動きが怪しくなる
- 市場の方向の大きな変化を示す指標として平均株価の次に重要なものは何かと言えば、主導株の動向である。
- 上げ相場が何年か続いたあとにマーケットを牽引していた個別銘柄の大多数が異常な動きを見せ始めたら、市場が転換期を迎えていると確信してよいだろう。
平均株価の次にマーケットの方向を見極めるのに使えるのが、主導株の動向です。
「主導株を購入しても、どうも株価が上がらない」
そんな不調が見えたら市場の天井を疑いましょう。
ポジションを軽くするのもいいかもしれません。
マーケット転換期のサイン例
- 主導株が上昇しながら3回目あるいは4回目のベースを抜け出たときに異常な値動きをすることがある。
- 「クライマックストップ」を伴った天井も、異常な動きだと言える。
- 主導株のなかには、調整の安値付近から上昇できないというのを除いても、出来高が急増しているのに高値へとブレイクできないような異常な値動きを見せるものがあるだろう。
- 直近の四半期収益が深刻なほど伸び悩む銘柄も出てくるだろう。
天井を付けたら手仕舞いすると思いますが、詳しくは第11章で扱います。
ここでは、各事例について簡単に触れるにとどめます。
1.後期ステージのベースの失敗
- そのようなベース構造はほとんど不完全で、長期的な保ちあいになる。
- そのようなダマシのベースを見抜くには、各銘柄の日足や週足チャートで株価と出来高の推移を研究することが最良の方法だろう。
ベースの回数を重ねるにつれて、市場参加者の注目を浴びます。
急上昇を続けるのだから、欲しくなるのは当然のことです。
株価は需給のバランスで決まるため、買われれば買われるほどチャートパターンは値動きが荒くなります。
また誰もが欲しがるために、同じようなタイミングで動く人も増え、チャートパターンもはっきりしてきます。
しかし、さらなる需要がない限り、株価は上昇しません。
むしろ利益確定したいと考える投資家の我慢は、もう限界かもしれません。
このような後期ステージ(3回目ないし4回目の)のベースの失敗が現れたら、天井をしっかり警戒しましょう。
2.クライマックストップ
- 主導株が、何カ月も上昇したあとに、2~3週間続けてこれまでよりもさらに急上昇する。
ギアを上げるかのように、上昇の最中に、更に急上昇を見せるクライマックストップ。
死ぬほど怖い(もったいない)時に売るのが、需要と供給の関係からはベストです。
詳しくは下記記事で扱っていますので、気になる方は参考にしてください。
gyatuby.hatenablog.com
3.売り抜け(ディストリビューシション)
出来高が大商いなのに株価が伸びないということは、それだけ大量の売りをぶつけられていることを意味しています。
こちらは手仕舞いのタイミングが来たところで、マーケット全体も天井かもしれないと注意すれば大丈夫でしょう。
4.直近四半期利益が伸び悩む
CAN-SLIMのC、ファンダメンタルの土台が崩れたら売却のサインです。
具体的には、2期連続で四半期利益の増加率が急落したら手仕舞いのタイミングとなります。
gyatuby.hatenablog.com
投資対象となる主導株が見当たらなくなる
- 保有銘柄にまったく含み益が乗っていないようならば、新しい下降トレンドが始まったことを示すサインかもしれない。
- 市場の天井付近で魅力的な先導株などほとんどない。
- このような時期というのは、正しく形成されたベースから抜け出るような銘柄が単に一つも見られない。
- ほとんどのベースが広くてルーズになっており、これは危険を示す大きな警告なので、必ず学んで理解し、そしてその警告に従わなければならない。
市場の天井付近になると保有銘柄は不調に陥り、投資対象がそもそもなくなります。
これはチャートの形が力強いブレイクアウトを示すことが少なくなるためです。
大衆が安心して買っているときが天井となることが多く、売るプレッシャーは相当なものがあるでしょう。
遅れて停滞株が市場を牽引する
- 賢いマーケットトレーダーならば、出足も遅く安値で低品質の停滞株が値を上げて強くなってきているのを見れば、上昇トレンドが終わりに近づいている知らせである。
先日のセクターローテーションで扱った内容です。
gyatuby.hatenablog.com
巨大で成熟した企業は図体(時価総額)が大きいので、成長株に遅れて株価が動きます。
こうなると上昇トレンドもいずれ終わりを告げます。
弱気相場の初期段階では主導株が抵抗を示す
- 弱気相場の初期段階では、特定の主導株が下降トレンドに抵抗するかのように強く、上昇できるという印象を与えるものだ。
- やがて本格的な下落が始まると、そこから逃れられる銘柄はなく、いずれは主導株ですら例外なく売り局面に屈するのだ。
マーケットが転換して本格的に弱気相場に入ると、平均株価は下落し始めます。
しかしその中でも主導株は抵抗を示して上昇するのです。
投資できる先がそこしかないからでしょう。
ですが、その抵抗も市場全体の圧力の前では無力です。
程なくして売り浴びせを受け下降していきます。
主導株の売り抜けは、マーケット全体の天井より前に起こる
- 中期的な調整(通常は8~12%の下落)と強気相場の天井に共通している点は、天井の多くが主導株や平均株価を最後に買った時点から5~7カ月後くらいに現れるということである。
- つまり天井におけるマーケットの方向転換というのは、実は最終警告で暴落前の最後の一息というわけだ。
- この段階では、ほとんどの場合で機関投資家による売りはマーケットの各主導銘柄で何日も、時には何週間も前から起こっているはずである。
- 第10章と第11章で取り上げる売りのルールを使えば、市場が天井を付ける前のまだ上昇中の手持ち株を1~2銘柄売ることになっているはずだ。
平均株価を観察するついでに、マーケットを牽引する主導銘柄についても売り抜けの確認をしてもよいでしょう。
たいていはマーケット全体が下落する前に、主導株に売り抜けの兆候が見られるはずです。
相場観を補足する材料になるでしょう。
まとめ
- マーケット全体が下落する前に、主導株に売り抜けの兆候が見られる
- 天井付近になると保有銘柄が不調になり、投資したい銘柄がなくなってくる
- 停滞株が伸びてきたら、上昇トレンドは終わりに近づいている