上記のように考えた経験はありませんか?
このときあなたは「買値の呪縛」に囚われているかもしれません。
今回は、買値の呪縛から逃れるための方法について学んでいきましょう。
七面鳥の話
簡単なたとえ話ですが、この教訓から得られることはとても大事なことです。
買値や過去の高値を意識して、含み損がずっとなくならなかったり、含み益を全て飛ばしてしまうことはありませんか?
良かったことは忘れて、今を冷静に行動できるようになりたいものです。
典型的な投資家の発想
- 利益が出ていたら売るが、損失が出ていたら売るのを待とうと思うのが、典型的な投資家の発想である。
- なぜならば、そもそも損をするために株式投資をしたわけではないからだ。
- ところが本来であれば、最も成績の悪い株を真っ先に売るべきなのである。
ここまで本書を読んだら、もう耳にタコかもしれません。
盆栽の手入れをするように良い株を増やし伸ばすのと同時に、悪い株は減らして切ることが勝ち組投資家への第一歩です。
買値の呪縛
- 例えば、ミリアド・ジェネスティックス株がなかなか利益を出したので売ると決めたとしよう。
- ところが、ゼネラル・エレクトリック株は買い値に回復するまでまだまだ先が長いため、売らないことにした。
- もしあなたがこういう考え方をする投資家なら、全投資家の95%をさいなむ「買値の呪縛」にとらわれてしまっている。
95%の投資家は「買値の呪縛」にとらわれてしまっています。
過去の買値は現在の株価に何らの影響を与えません。
むしろあなたと同じように、他の投資家も身構えているかもしれません。
過去の買値は無関係
さて買値が、今その銘柄を持ち続けるべきか、売るべきかについて影響を与えるでしょうか?
買値を意識したところで、マーケットにとってはあなたの買値に何らの興味はありません。
そして今まさに、保有株よりも上昇が期待できる銘柄があったとしたら、すぐにでも乗り換えるべきです。
ただわかっていても、評価損益という形で嫌というほど買値を意識させられます
投資記録のつけ方
- 「買値の呪縛」から逃れるためにとても役に立つ投資記録の付け方を紹介しよう。
- 特に長期投資家にお勧めだ
既存のツールなどではどうしても買値を意識してしまうため、独自の取引記録を付けることをお勧めします。
投資記録の付け方にはいろいろありますが、オニールのやり方は特に長期投資家向けになります。
投資記録を付けるタイミング
- 1カ月に1度か四半期に1度、最後に記録を付けた日から各銘柄の株価がどれだけ変化したかを百分率として割り出すのだ。
- 次に、その変化率の数字が良い順に銘柄を上から並べていく。
例えば、キャタピラーが6%下がり、ITTが10%上がり、GEが10%下がっていたら、ITTが一番上で、次にキャタピラー、その次にGEという順番になります。
こうすることで買値ではなく、今の株価や銘柄の好調さに注目することができます。
何度も繰り返し付ける
- 翌月か翌四半期の終わりにも同じように記録をつける。
- 何度かやっているうちに、成績の振るわない銘柄が一目瞭然となる。
- そういった銘柄は一覧表の常に下位に入り、最も上昇した銘柄は上位か首位に入っている。
- 市場で比較的良い成績を出している銘柄に目を向けさせてくれる。
- 投資判断を明確化するのに役立つのだ。
何度も繰り返し記録を付けると、各銘柄のパフォーマンスがはっきりしてきます。
そして、市場で比較的良いパフォーマンスを出している銘柄に気づかせてくれます。
投資といえば本来は上がる銘柄を保有するべきであって、いつか芽が出る銘柄ではないはずです。
四半期に1回以上が理想的
- 四半期に1回以上できれば理想的だ。
- 買値の呪縛から逃れることができれば、そこには利益という自由が待っている。
このように投資記録を付け続けることで、少なくとも塩漬け株を手放す決断だったり、絶好調な銘柄を買い増す決断もより容易になるでしょう。
繰り返しになりますが、過去の買値には何の意味もありません。
買値の呪縛から逃れるために、オニールが勧める投資記録をつけてみませんか?
まとめ
- 過去の買値は現在の株価に何らの影響を与えない
- 2年前に支払った金額が現在の株価と何の関係があるだろうか?
- それにその金額が今その銘柄を持ち続けるべきか、それとも売るべきかにどう関係するだろうか?
- 株価変動率に基づいた投資記録は、買値の呪縛から逃れるために役に立つ
おわりに
長期投資と思い込んで、目の前の含み損に目を瞑る投資家は少なくありません。
いつか芽吹くときを楽しみに、我慢し続けるのです。
こちらも買値の呪縛がある程度関わっています。
そのときに買うと判断したことは「正しい」から、買値までいつか必ず上がると思い込んでしまうのです。
もちろん長期に渡れば渡るほど、買値に戻る可能性は十分にあります。
しかしその間にも、他に魅力的な銘柄は必ずどこかにあったはず。
判断が「正しい」のなら、いったん売ることになっても、また化けるときに買い直せばいいわけです。
もし買い直す覚悟と自信がないのであれば、保有することに少なくとも疑問を抱く必要があるし、その手助けとして取引記録をつけることはとても役に立つと思います。
もっともオニールのやり方に沿って投資していると、塩漬けになる株式は見当たらないですけどね。