あなたは投機家か、投資家か?
大きな損失から身を守るための確かな防衛策を学びましょう。
常識と思われるものとは別の視点で見ることで、新たな気付きが得られることがあります。
典型的な投資家がやりがちな失敗から学ぶための記事です。
売値をあらかじめ想定しておく
投資のゴールはある程度意識する必要があります。
特に8%の損切りルールは、例外なく行われるべきものです。
またうまくいった場合のゴールも想定しておくといいでしょう。
たとえば、リスクリワードを1対3にする方法は以前にも扱いました。
これは買値よりも損切り額に左右されています。
gyatuby.hatenablog.com
また、最初の株価のベースパターンを抜けて大きく上昇を始めた時点から、PER(株価収益率)が100%以上増加したら売る」というようなルールも紹介されています。
PERを使ったゴールは、ミネルヴィニの本も参考になります。
アプリのアラート機能を活用する
- このようにあらかじめ数字を決めて書き留めておけば、その水準に株価が達したときにすぐに気づくことができる。
ゴールを設定しても、仕事などで忙しく気づかなかったら意味がありません。
紙に書き留めておく方法は忘れない方には有効ですが、私は不安になります。
そこでこうしたことを防ぐために、アプリの通知設定をする方法も手軽でよいかもしれません。
アラートを付けることで、少し株から離れても安心です。
赤いドレスの話
- 株式市場に投資するのは、自分で会社を経営するのと同じようなものだ。
- 投資はビジネス。であり、同じような考え方を持って行動しなければならない。
- 間違ってしまってたら、それを認めて株を売り、そして次の株へと気持ちを切り替えればよい。
- 毎回正しい投資判断をしなくても、大きな利益を得ることはできるのだ。
- 七面鳥を数えるのはやめて、黄色いドレスは処分するのだ。
黄色いドレスが好きだけど売れていない、赤いドレスは売り切れになるほど売れる。
このようなときに店主は、自分のセンスで黄色いドレスをもっと仕入れるでしょうか?
サバイバルで生き残る賢い経営者であれば、むしろ黄色いドレスを在庫処分して、得た資金で赤いドレスをもっと仕入れるはずです。
株式を買うということは、その企業の経営権の一部を買うことを意味します。
不調なビジネスだったらすぐに株を処分しても、会社経営と違って後ろめたくないのが株式投資のいいところです。
あなたは投機家か、それとも投資家か?
- 投機家とは、未来が訪れる前に観察をして行動を起こす人のことである。
- 投資家は大胆な賭博師だ。
結論からいえば、「投機家」になるべきといえます。
バーナード・バルークが唱える投機家は、市場と個別銘柄をよく観察し、それが今どのような動きをしているかを判断し、そしてその情報に基づいて行動をします。
他方、ジェシー・リバモアは、投資家とは賭けをしてそれにしがみつき、そして思った通りに事が運ばなければすべてを失う人たちだと定義しています。
ここまで本書を読み進めた読者の方はお分かりのとおり、伝えたいのは定義が正しいか云々ではありません。
ひとたび含み損を抱え、買値から8%も下落したら、もう長期投資などありえません。
投資という言葉には様々な意味が含まれます。
世の中には驚くほど、株式市場に関する間違った情報や概念、ノウハウが大量にあふれており、ときに回復不能な損害を受けることもあります。
個々の銘柄やマーケットの動き方について、関連性のある事実を「自分で」客観的に分析できるようになりましょう。
どんな投資を行うにせよ、最後の決断や行動は他人任せにしてはいけません。
分散投資はリスクを減らすのか?
分散投資は聞こえはいいし、いろんなメディアや専門家が推奨しています。
ただ、もし下落することを事前に知ることができたらあなたはどうしますか?
賢明な投資家であれば早めに売って、下がったところで買いなおすでしょう。
その際にはおそらく全銘柄を売ることになるでしょうから、銘柄数が多くても関係ありません。
マーケットの動きを見極められるようになると、天井近くで撤退できるようになります。
それだけオニールの手法は保守的です。
gyatuby.hatenablog.com
マーケット全体が弱気になれば、分散投資でも下落リスクを軽減できずほぼすべての銘柄が下がっていきます。
何事もバランスが大事です。
愚かな思い込み
- 「株価が下がっても心配しなくても大丈夫。これは優良銘柄だし、配当金も受け取っているのだから」と自分に言い聞かせるのは、危険で愚かな行為である。
- 投資家として成功するためには、事実に向き合い、正当化したり希望的観測を持つことをやめなければならない。
良い株だから買いというわけではありません。
どんな優良銘柄でも高値で買ってしまうと、不良銘柄と同じくらい下落することはありえます。
またその銘柄が、そもそも思ったほどの優良銘柄でない可能性もあります。
かなりの含み損を抱えているのに、高配当だから大丈夫だろうと安心するのもおかしなものです。
株式市場で成功するためには、やりたくないこともたくさん行う必要があります。
明確なルールと絶対に守るべき売りのルールを持ち、それに厳格に従うことができれば、かなり有利な立場でふるまうことができるでしょう。
まあ実際に行うのは、とても難しいことですけどね。
自信を持ち続ける
素早く損切りを行うもう一つの理由が、今後も自信を持ってトレードを行う力を失わないことが挙げられます。
損失を最小限に抑えることも重要ですが、取引ボタンを押すあなたのメンタルを維持することも重要なのです。
もし損切りが遅れてしまうと、含み損が加速度的に膨らまんでしまい、しまいには降参してマーケットを見ることすらやめてしまうこともあり得ます。
そして結局、何が間違っていたのか知ることもなく、誤った手法を正すこともないまま、未来の可能性すら失ってしまいます。
正しく株を買い利益を得るのはとても難しい仕事です。
プロですら難しいのです。
銘柄選択の技術ももちろんですが、その銘柄をいつ、どのように売るかを身につけるには一層の努力が必要です。
売ることについては株関連の本でも内容が不足していると強く感じます。
損切りのルールと、それを守るための覚悟がその第一歩です。
本章のまとめ
- うぬぼれを捨て、他人の目など気にすることはやめなさい。
- そして、マーケットに歯向かうのはやめて、損失を出している銘柄に感情的な思いれをするのもやめるのだ。
- 株価が上昇しない銘柄は良い銘柄ではない。そのような銘柄はすべて悪い銘柄である。
- 2000年と2008年の惨事から学ぶことはあるではないか。
- われわれの売りのルールに従った投資家は、資金を守り、利益を確定することができたのだ。
- 反対に、売りのルールを持っていなかったり、あるいはそれに従わなかった投資家たちは大きな痛手を被ったのだ。
おわりに
売る方法を知りたいのに、損切りの話かと思った方もいると思います。
しかし実際に売る機会というのは、一番多いのが損切りです。
利益を伸ばしてから売る機会は意外に多くありません。
ただしトータルで勝つには大きく利確する方法も学ぶ必要があります。
次回からはそんな売りについても勉強していきます。
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