はぐれ猿でも、投資がいいんだ。

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オニールの成長株発掘法第11章①~オニールはいかにして投資ルールを作り上げたか

株を売る最良の時期とは、株価が上昇して、これからも上昇し続けるとだれも疑わないときです。

前章では守りの売り(損切り)を扱いましたが、この章では攻めの売りについて学びます。

本書の中でも特に重要であり、入り口を教える投資本は多い中で出口を示す投資本は貴重です。

今回は自分なりの投資ルールの作り方を、オニールの実例に基づいて学びましょう。

いつ売って利益を確定するか

  • 株を売る最良の時期とは、株価が上昇して、これからも上昇し続けるとだれもが疑わない時なのである。
  • これができれば、苦々しい20〜40%の調整につかまることはなくなる。
  • 天井で売ることはまず無理だと割り切って、売ったあとに株価がさらに上昇しても、自らを責めないことだ。

普通株は小売で扱う商品と全く同じです。

利益を出すためには、仕入れた商品をうまく売らなければなりません。


みんなが強気の中で売るというのは、まだ上がるかもしれないのにという期待に反するためにためらいがちな行動です。

しかしこれができれば、大きな下落に見舞われることもなく利益を着実に積み上げることができます



売るタイミングで売る

  • 売りの正しいタイミングが訪れたら、なるべく早いうちに売らなければ手遅れになる。
  • 株式投資の目的は、大きな利益を生んでそれを確定することであり、株価が上昇して強くなったからと興奮したり、楽観視したり、欲を出したり、我を忘れることではない。
  • 雄牛(強気の人)は利益を得ることがあり、熊(弱気の人)も利益を得ることがあるが、豚(戦い方を知らない欲深い人)は殺される運命にある。

そしてどんな商品にも売り時というものがあります。

欲深くなることも大事な要素ですが、マーケットが知らせるシグナルには従う必要があります。


私たちの目標は利益を積み上げることです。

プロ投資家たちも、経済状況が悪化する前に素早く手仕舞うことで成功しています。



オニールはいかにして成功したのか

ではオニールはどのようにして投資ルールを作り上げたのでしょうか。

順を追って見ていきますので、あなたも読みながらどのようにして投資ルールを作っていくのかを学びましょう。

損益計画の必要性

  • 株式市場で大きな成功で収めるには、信頼できる売買ルールと損益計画が必要である。
  • 新高値で買うのが重要である。
  • 大きな利益になる可能性があるチャートパターンが存在する。

本書で紹介されている買いのルールと売りのルールの多くは、オニールが駆け出しの頃に作り上げたものです。

このルールのおかげで、オニールは自分の会社を起業することができました。


しかし最初はオニールさえも買いのルールを作ることに夢中で、売りのルールの疎かにしていました。

良いものを買えば、売りは簡単だと思ったのかもしれません。



チャーチストのジャック・ドレフュス
  • 彼は市場の動きに基づいてすべての株を選び、株価が適切なパターンからブレイクして新高値を付けたときにだけ買っていた。

ジャック・ドレフュスは、ファンダメンタル分析や個人的見解に頼った競争相手より、マーケットが見せるサインや動き(需要と供給)を利用して大きく勝っていました。

そこでオニールも、最初の買いのルールを作りました。

  1. 20ドル以上で、少なくとも機関投資家にある程度買われている銘柄のみに集中すること
  2. その企業のEPS(1株当たり利益)が過去5年間連続で上昇しており、当期四半期EPSは最低でも20%上昇していること
  3. 十分な調整と揉みあい期間のあとに新高値を付けた銘柄、あるいは新高値を付けそうな銘柄、またブレイクアウト時の出来高は1日の平均出来高よりも最低でも50%増加していること。

すでにCAN-SLIMの原型はできつつありますね。

しかし、オニールは成功を収めることができませんでした。


理由としては資金不足、そして不安感にさいなまれ早く売ってしまったためです。

この時は、まだ勝つための心理が出来上がっていませんでした。

そして彼はハーバード大MBA時代に、ジェシー・リバモアの「孤高の相場師リバモア投機術」に出会います。

この本から彼は、マーケットに参加する目的は、正しいことをするのではなく、正しいことをして大きく儲けることなのだということを学びました。



ジェシー・リバモアのピラミッディング

https://stat.ameba.jp/user_images/20180210/16/spiegelei/fa/6f/p/o0640042614128853482.png?caw=800

  • ピラミッディングとは、最初に株を買った時点から株価が上昇したら、さらに株を買い足す(増し玉)手法で、保有株の平均の買値が少しずつ上昇する。

ピポットポイント(買うべきタイミング)でまずは買い、その後株価が2~3%上昇したときにピラミッディングします。

順調に上昇している銘柄に少しずつ量を減らしながら増し玉するのが基本です。

こうすることで上がる銘柄、つまり正しい銘柄選択ができたと思われるときにだけ増し玉をしていけます。


もし最初の買値よりも一定額下回ったら、銘柄選択を誤っていたと判断して全ポジションを損切ります。


ピラミッディングは、株価が下がったら買値を引き下げるためのナンピン買いとは異なる投資法ですが、上昇トレンドに乗っているときは大幅に利益を積み重ねることができます。

増し玉の後に株価が下がると、損失が大きくなるのはナンピン買いと同じですが、明確なトレンドにのっていればリスクはかなり軽減されます。



失敗から学ぶ

  • 失敗した取引をすべて分析して、そこから学ぼうとしたことがあるだろうか?
  • チャートに自分の過ちを書き込んで、それを研究してみよう。
  • そしてその過ちをもう犯さないように、そして時間や資金の無駄になるような行動はやめられるように、それらを防ぐための新しいルールを作るのだ。

オニールは正しい判断基準で選んだ銘柄を正しいタイミングで買いました。

さらにピラミッディングを何度かしました。

おかげで良好なポジションを保有し、含み益は相当大きくなりました。


しかし、株価がついに天井を打っても売ることができず、これまでの利益が泡となって消えていくのをただ傍観してしまいました。

1年以上も銘柄選択では百発百中だったのに、それを損益ゼロというありさまで終わってしまったのです。


このときの失敗の原因は、正しいタイミングで売って利益を確定するための計画がまったくなかったことです。

銘柄を選ぶことばかりに目が行き、いつ株を売って利食いすべきかの観点がありませんでした。



新しい損益計画

  • 利益が20%になったら確定し(最高の上昇を見せる銘柄は例外)、損失は買値から8%下がったら損切りをする。
  • 自分の銘柄選択が正しかったようだと分かったら、常に増し玉をするべきだ。
  • 低迷株を売ることで得た資金を勝ち銘柄につぎ込んでいけば、資金をはるかに効果的に利用できるようになる。

オニールはこの後も失敗や分析を続けて、さらに自分の投資ルールを改良していきます。



大化け銘柄の特徴

  • 市場分析の結果、大化けする銘柄は適切なベースをブレイクアウトしたあと、20〜25%上昇する傾向にあることが分かった。
  • その後、たいていの銘柄は下落して、新たなベースを作り、その一部が再び上昇を始める。

この新しい発見を基に、オニールは下記のルールを追加しました。

  • ピボットポイントちょうどで買い、そこから5%上昇したらそれ以上はポジションの増し玉をしない。

上がり過ぎて買い時を逃したら買わないというこのルールは、完成されたルールでも登場しています。
gyatuby.hatenablog.com



大化け銘柄を早く利確してしまう

  • ところが、サーテン・ティードの場合、株価はわずか2週間で20%も上昇してしまった。
  • このような株は私が望んでいる大化け銘柄だった。

オニールは、投資ルールに従ってわずか2週間で20%も上昇した銘柄を利確しましたが、それは大化け銘柄だったのです。

この大化け銘柄を逃した教訓を活かして、「20%上昇したら売る」ルールに例外を作ります。

  • 1~3週間という短期間で20%も躍進するほど強い銘柄の場合は、最低8週間は持ち続ける
  • もちろん、買値から8%下がったら、損切りする。

現在のルールでは、“8週間“以内に20%も上昇した銘柄は、機関投資家による買いがないとか不況業種でないかぎり、8週間継続して保有し続けるように勧めています。

個人的には1〜3週間の方が好みではあります。
gyatuby.hatenablog.com



新しい損益計画とピラミッディング

このような失敗を経て、オニールの投資ルールが以下のように決まりました。

  • 利益が20%になったら確定し(最高の上昇を見せる銘柄は例外)、損失は買値から8%下がったら損切りをする。

この損益計画には、大きな利点がありました。

  1. 3回のトレードのうち2回間違っても、資金がなくなるという問題は起こらない。
  2. 銘柄選択が正しかったのでさらに数ポイント高い価格で株数を減らして買い増す場合(ピラミッディング)に、成績が悪い銘柄に費やしていた資金を、継続的にいい成績を出している銘柄に強制的に供給できる。

オニールはしばらくの間、最初の買値から株価が2~2.5%上昇したら自動的に最初の増し玉を行っていました。

ちなみに私も愛用しています。

ピラミッディングは慣れないうちは注文ボタンを押すのに抵抗が生まれがちなので、ルールとして使うとうまくいくことが多いです。

感情に左右されずに機械的に処理することで、買い遅れや買い逃しを防ぐことができます。



ピラミッディングで大勝ちする

良い年なら、20%の利益を出す株が1年のうちに2~3銘柄は出てくるでしょう。

しかも、株価が新しいベースを作っている揉み合いの間の利益が出ない数ある長期の調整を、ただ黙って待っている必要もなくなります。


3~6カ月で20%の利益を出す銘柄のほうが、長期間にわたってやっと20%の利益を達成する銘柄よりずっと効率がいいです。

増し玉(ピラミッディング)を行えばなおさらです。


もっと経験値を積むことで、信用取引を最大限に利用すれば、より効率的に資金運用ができるようになるでしょう。


私がマーケット全体の構造を見抜いた方法

  • マーケット全体の平均株価と出来高のチャートを毎日研究するという考え方とその方法を生み出すことにつながった。
  • 自分の過ちをすべて研究し、そこから学び、同じ間違いを繰り返さないように新たなルールを作っていく意志さえあれば、賢い投資ができるのである。

オニールは、自分の失敗を分析して、もう一つの大きな発見をします。

  • 保有していたマーケットの主導銘柄のほとんどが、マーケット全体が10%以上下落したことが引き金になって天井を打ったということだった。

この発見が、最終的にはマーケット全体の平均株価と出来高のチャートを毎日研究するという考え方とその方法を生み出すきっかけになりました。
gyatuby.hatenablog.com

マーケット全体の動きは主導株すら下落させます。

オニールは、マーケットのトレンドと方向性の大きな変化を、明確に見極める方法を手に入れました。


この発見の3ヶ月後に天井を打った1962年には、オニールは全額現金ポジションで資金を守ることができました。

エドウィン・ルフェーブルの『欲望と幻想の市場ー伝説の投機王リバモア』(東洋経済新報社)を読み終え、1907年の恐慌が当時に見られ始めていた兆候に非常に似ていることに気づきます。

毎日ダウを分析することでその時点で市場が弱くなっていると分かっていたので、オニールは空売りし始めました。

これはかなりの利益を得ることができました。


翌年にトレンド転換が起こると、オニールは3回連続で大化け銘柄に投資できました。

(もちろん数多くの失敗した個別株があったものの、どれも平均5〜6%の損失で抑えました。)

その結果、給料をためて集めた4,000~5,000ドルと借りた資金と信用取引を最大限利用して、1年で利益が20万ドルとなりました。

失敗から学ぶ

  • だから、そんな夢のような話はありえないなどと言う人を信じてはならない!
  • 自分の過ちをすべて研究し、そこから学び、同じ間違いを繰り返さないように新たなルールを作っていく意志さえあれば、賢い投資ができるのである。

オニールは、毎晩遅くまで勉強したことが、きちんと機能する明確なルールや規律や計画を生み出すことにつながりました。

すべては根気と努力のたまものです。


自分に限界を作らなければ、しっかり努力して準備をすることでチャンスは必ずあります。

夢を叶えたい、人生を変えたいとどれだけ思えるかは、固い意思や決断、行動によるところが大きいです。

その第一歩が自分が犯した過ちを分析することから始まると、オニールは示してくれたでしょう。



まとめ

  1. 最適な教科書は、自分の過ちを分析することにある
  2. たとえ検証された(オニール流の)投資ルールを真似たとしても、必ず失敗が起こり、見直すチャンスが生まれる

おわりに

オニールがどのようにして投資ルールを作り上げたか、これは私たちが参考にすべきことです。

投資に正解がないように、売買ルールと損益計画にも正解はありません。

自分の好みに合うようにカスタマイズする必要があります。


他人から真似た投資法でも最初は構わないのですが、いずれ自分なりのルールが必要になってきます。

そして大事なのが、どんな結果になっても失敗を受け止めて改良していくことです。


だから後悔しないように、実際に投資をする前にはしっかりとした検証が必要です。

また投資している最中は、絶えず流されないメンタルを持たなければなりません。

そして結果が出たら、投資記録を付けて振り返ることが重要になります。


次回は、オニールが実際に作り上げた売りのルールを学びます。

これだけでおつりが出るくらい貴重なものなので、しっかり学びましょう。
gyatuby.hatenablog.com

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