証券は大きく「株式」と「債券」に分けられます。
しかし、「株式は危険」「債券は安全」といった単純なイメージで判断するのは正しくありません。
ここでは、もっと実態に合った証券の分類方法について考えていきます。
はじめに
債券の保有者は、利息や元本を優先的に請求できる権利を持っています。
一方、株式の保有者は大きなリスクを負う代わりに、会社のオーナーとして利益を得られます。
このように、法律上の立場と投資としての性質の違いが、債券と株式を分ける大きなポイントとされています。
伝統的分類には反対
1、優先株と普通株を一括した分類
優先株とは、普通株よりも配当や会社清算時の財産分配を優先的に受けられる株式のことです。
優先株式|証券用語解説集|野村證券
その保有者は値上がり益(キャピタルゲイン)よりも、配当などの安定収入(インカムゲイン)を重視するため、性質的には株式より債券に近いものといえます。
ただし、日本の市場で流通している優先株はごく少数です。
銘柄一覧(優先株等) | 日本取引所グループ
2、安全性と同一視される債券
- 債券と株式を区別する大きな特徴は、「債券形態」が安全性と同一視されていることであろう。
- 投資家は「債券」という名称に損失に対して何か特別な保証があるかのように思っている。
- こうした考えは基本的に間違っており、債券が大きな損失を招くことも珍しくない。
前回にも触れましたが、「債券=安全」と考えるのは危険です。
gyatuby.hatenablog.com
債券にも信頼性の高いものと、そうでないものがあります。
安全性はその発行企業の財務状態による
- (その証券の)安全性とは債務者である当該発行会社の元利返済能力そのものであり、安全性の度合いはその能力によって100%決まる。
- この基準に従えば、資産や収益力のない企業の債券は、そうした企業の株式と同じくまったく価値がない。
証券が安全かどうかは、企業が真面目に返済義務を果たす姿勢や、万一のときの法的救済によって保証されるわけではありません。
証券の安全性は、最終的にはその発行企業の業績や財務状況によって完全に左右されるのです。
新しい分類法の提案

- このように、最近ではユニークで複雑な特徴を持つ証券が続々と発行されているため、その名称に従って証券を分類するという従来の方法は通用しなくなってしまった。
- 従来の分類法もそれなりに便利でメリットもあるが、より正確で柔軟な分類法に代えたほうがよいだろう。
- われわれの考えによると、その目的にかなう最も有効な基準はその証券の購入後の「一般的な特徴」、つまりその証券の購入者や保有者にとってそのリスクとリターンがどのようなものなのかをもとにすべきであろう。
確定利付き証券は投資適格の債券・優先株、変動利付き上位証券は投機的な債券・優先株と考えるとわかりやすいでしょう。
グレアムは上表のように、証券をその証券の購入者や保有者にとってそのリスクとリターンがどのようなものなのかをもとに新しく分類することを勧めています。
各証券の特徴
確定利付き証券の特徴
債券でも優先株でも、元本が安全だと考えられる証券は「確定利付き証券」に分類されます。
この証券の保有者は、元本の安全性とそこから得られる配当や利息などの安定した収入(インカムゲイン)にしか関心を持ちません。
確定利付き証券の代表的な証券
こちらも後の章で詳しく触れるため、今はこんなものがあるんだと把握しておけば良いでしょう。
変動利付き上位証券の代表的な証券
- かなり低い価格で売買されている投資適格の債券などは、将来の値上がり益が期待できるという点でが二番目のクラスに分類される。
- この場合、価格そのものは唯一の決定条件ではない。
- このように、特にクラスⅠとクラスⅡの証券の境界線はかなりあいまいであるため、その証券をどちらのクラスに含めるのかは証券アナリストや投資家の個人的な判断による。
クラスⅠとⅡの分類があいまいになる例があります。
たとえば、額面100ドルの長期債が60ドルで取引されていても、利率が3%なら一般的に「確定利付き証券」とみなされます。
これは価格が安くても短期での値動きはあまり期待できないからです。
一方、額面100ドルの短期債が80ドルで売られている場合は、利率に関係なく「変動利付き証券」に分類されます。
なぜなら、短期のうちに繰上償還されて割増で返済される可能性や、逆にデフォルトや急落といったリスクがあるからです。
普通株の形態
キャピタルゲイン(値上がり益)を追求できる性質を持つ限り、その証券は普通株ではなくても「普通株と同じ性質を持つ証券」として扱われます。
例えば、約200ドルで取引されている転換社債は価格が高すぎるため、さらに上がるか大きく下がるかのどちらかになりやすく、実際には普通株に投資しているのと同じことになります。
また、上位証券が極端に安い価格で売られ、普通株の価値が実質的にゼロになった場合も「クラスⅢ」に分類されます。
例えば優先株が10ドル程度で取引されているなら、普通株には価値がないとみなされ、その優先株は実質的に普通株と同じ性質を持つことになります。
この場合、その証券は上位証券としての条件を満たさず、しかも現在の価格水準から見れば値上がり益の可能性が非常に大きいため、どう見てもハイリターンを狙う「普通株」としての特徴を持っているのです。
要約
- 以上の検討から、われわれが意図している証券分類の主な内容と目的がかなりはっきりとしたと思われる。
- 繰り返すが、証券分類の基準はその名称にあるのではなく、その証券特有の内容と投資家の見方という実際上の基準に基づくべきである。
- つまり重要なことはその証券の保有者が法律的に要求できるものではなく、将来的に得ることができるもの、またはその証券を購入した時点で得られる可能性のあるものを基準にすべきだということである。
要するに、証券を分類するときは名前にとらわれず、「将来どれだけのリスクとリターンがあるか」を基準にすべきだ、ということです。