年金機構の運用益が、また過去最高を更新しました。
そこで今回は、彼らが行なっている技術について学んでいきます。
相場の変動と投資家のポートフォリオ
- 株式投資を行うすべての者は、長年の間に手持ち株の株価が変動することを覚悟しなければならない。
- 概していうと、株価変動率が高いのは、一流企業株よりも二流企業株である。
- しかし定評のある企業ならば、大企業ではなくとも、長期にわたり株価が低迷するとは必ずしも言えない。
- いずれにせよ投資家は、今後5年間さまざまな局面において、持ち株評価額が安値のポイントから50%あるいはそれ以上上がり、またそこからその上げ幅に相当する3分の1あるいはさらに下がるということを、単なる可能性として捉えるのではなく見込んでおいた方がよいであろう。
株式市場は本来の価値だけでなく需要と供給でも株価が動いているため、投資家は長年にわたって株価の変動を受け入れなければなりません。
それは財務状況が良好な有名企業であっても同様です。
グレアムは今後5年間、持ち株が安値から50%以上値上がり、または3分の1以上の値下がりを覚悟するように勧めています。
群衆に同調してはいけない
- 思慮深い投資家は、日々の、あるいは毎月の株価変動によって自分のカネが増減するものではないと考えているであろう。
- しかし変動幅が大きく長期にわたる場合はどうであろうか?
- ここで実際的な問題が生じてくるわけであるが、心理的な問題の方はより複雑である。
- 相場が大きく上昇すれば投資家は満足し、また慎重な思考を促す動機ともなるが、それは同時に軽率な行動へと投資家を導く誘惑の魔の手ともなり得るのである。
- 賢明なる投資家でさえも、群衆に同調しないためにはかなりの自制力が必要なのである。
賢明なる投資家は、日々の株価変動では自分のお金が増減することはないと考えるでしょう。
しかしあなたの持ち株が上がりすぎたとして、売却を考えた方がいいのか?
また株価が低くなったときにもっと株を買っておかなかったことで、自分を責めるべきなのか?
そして最悪なことに、強気に当てられて、大きく思い切った投機を行う誘惑に勝てるかどうか。
賢明なる投資家であっても、群衆の空気に同調しない自制力がかなり求められます。
50対50の利点
グレアムが推奨する株式と債券をそれぞれ50%ずつ保有するアセットアロケーションは、こうした人間の本質を考慮されて作り上げたものです。
その最大の利点は、このフォーミュラに従うことで投資家にすべきことを示すという点です。
つまり、株価が上がれば株式の一部を売却してその資金で債券を購入し、下がればその逆のことをして、50%ずつの比率を改めて維持するのです。
これは今でも機関投資家のアセットアロケーションとして運用されている技術です。
こうした行動によって、投資家のトレード欲求を解消することができます。
群衆は多くの場合で間違いを起こします。
本当の投資家であれば、自分がそんな群衆とは全く逆の行動をしていることに、充足感を覚えるものなのです。
まとめ
- 株式投資を行うすべての者は、長年の間に手持ち株の株価が変動することを覚悟しなければならない。
- 今後5年間さまざまな局面において、持ち株評価額が安値のポイントから50%あるいはそれ以上上がり、またそこからその上げ幅に相当する3分の1あるいはさらに下がるということを、単なる可能性として捉えるのではなく見込んでおいた方がよいであろう。
- 群衆に同調してはならない。
- 株式相場が上がれば、投資家はその時々に持ち株の一部を売却してその資金で債券を購入し、下がればその逆のことをする。