ポートフォリオの攻めの部分の株式について前回話しましたが、今回は守りの部分の債券の話です。
債券も奥深いテーマですので、じっくりと腰を据えましょう。
債券の2つの問題
- 投資家のポートフォリオのうちで債券の選択に当たっては、大きく分けて二つの問題を考える必要があるだろう。
- 課税の対象となる債券にするか、非課税のものを選ぶかがそのひとつであり、もうひとつは長期債にするか短期債にするかという問題だ。
今までは株式について話を進めてきましたが、今回は債券の部分です。
どのような債券を買うかという問題については、①税金②長期短期の2つの問題があります。
1、税金
- 前者の税金に関しては、ほとんどが計算すれば解決できる問題であり、税率区分によって異なる収益を考えればよい。
債券投資を行ったときに生じる利益(利子、譲渡益、償還差益)に対して税金がかかります。
債券投資にかかる税金って?|投資の時間|日本証券業協会
日本は米国とは異なり、非課税債券は存在していません。
ただし2016年1月以後、日本国債や公募普通社債などの一定の公社債(税法上は「特定公社債」という)の利子・償還差損益・譲渡損益の課税方式の見直しが行われ、上場株式などの配当金や譲渡損益との損益通算が認められるようになっています。
債券のいろいろ
- 投資対象として考えられる主な債券を次に列記し、それぞれの一般的内容、安全性、利回り、市場価格リスク、所得税、その他の特徴に関して簡単に述べたいと思う。
本書にはさまざまな債券の種類が列挙されていますが、ここでは日本に関係ありそうな項目のみを取り上げていこうと思います。
1、連邦貯蓄債券E号およびH号
- これらの債券は、①元本と利払いが完全に保証され、②いつでも全額現金化を要求することができ、かつ③最低でも10年間、5%以上の利息が保証される、唯一の投資対象である。
- 現在は低利回りであっても貯蓄債には固有の優遇規定が備わっているため、その他の国債と比較してもまた魅力度が高いというのがわれわれの認識である。
日本で最も一般的なのは、個人向け国債です。
個人向け国債窓口トップページ : 財務省
日本の個人向け国債は、①元本と利払いが完全に保証され、②購入から1年後ならいつでも全額現金化を要求することができ、かつ③最低でも0.05%以上の利息が保証されています。
期間は3年、5年、および10年物が存在し、3年物と5年物は固定金利、10年物は変動金利となっており、10年物を購入することで金利の上昇に対して備えることもできます。
債券を購入するに当たっては、最も選択肢となる債券のひとつとなるでしょう。
2、地方債・社債
- これを選ぶに当たっては、ムーディーズやスタンダード&プアーズなどによる格付けがひとつの目安となろう。
- Aaa(AAA)、Aa(AA)、Aといった最高の格付けがなされたものならば、十分な安全性を備えているはずである。
- これらの債券の利回りは、その質や満期までの期間によって異なり、短期のものほど低利回りとなっている。
一般的に、格付けの高い債券ほど利回りは低く、格付けの低い債券ほど利回りは高くなり、BBB以上の格付けを信用度が比較的良好だと考えられる「投資適格格付け」、BB以下を信用度が低いと考えられる「投機的格付け」といいます。
基本的には投資適格の債券を購入すると良いでしょう。
ただし、日本では投資できる環境はそこまで整ってはいません。
債券|SBI証券
高利回り債への投資
- 品質を落とせば、投資家は債券からさらなる収入を得ることができる。
- だが長年の経験からみて、一般投資家はそうした高利回り債には手を出さない方が賢明であろう。
- 大幅な価格の下落から実際の債務不履行まで、予期せぬ事態が発生する危険性があまりにも高いからである。
投機的格付けの債券まで購入範囲を広げれば、投資家は更なる収入を得ることができます。
楽天G、約2650億円のドル債発行へ-利回り12%超は日本企業最高 - Bloomberg
しかしグレアムの長年の経験から、一般投資家はそうした債券には手を出さない方が賢明であると述べています。
なぜなら大幅な債券価格の下落や債務不履行(デフォルト)といった、予期せぬリスクがあまりにも大きいからです。
これらの低格付け債券は、実際に割安となる局面がしばしば訪れますが、それをうまく利用するためには特別な研究と才覚が必要になります。
債券の代わりとしての貯蓄預金
債券の代わりに、普通預金や定期預金も選択肢に挙がります。
大規模金融緩和によって利率はほとんどなくなっていますが、現在では日銀の政策変更の思惑も出ていることから、今後には期待できるかもしれません。
任意償還条項について
債券の中には、発行側が途中で償還する権利の付いたものがあります。
長期債を購入する投資家には、利回りが多少低くなろうとも、この任意償還条項が付いていない債券を選ぶと良いでしょう。
ストレートー非転換の優先株
- 優先株の安全性は、その企業の普通株に対する配当支払い能力およびその意向によって左右される。
- というのも、普通株が無配となっている場合には、取締役会は優先株主への配当を支払う義務がないからである。
- 他方においてほとんどの優先株は、企業の利益に対して、定められた配当以上の恩恵を得ることはない。
- 優先株のこうした法的地位における弱点は、不況が訪れるたびに表面化する傾向がある。
- 経験から学んだ優先株の買い時とは、一時的な逆境で株価がひどく落ち込んだときだけである。
- そうした状況は、積極的投資家にとっては絶好の機会であろうが、防衛的投資家にとっては冒険が大きすぎるであろう。
- 換言すれば、優先株は割安水準のときに買うか、さもなくば買うなということである。
優先株とは、普通株に比べて配当金を優先的に受ける、あるいは会社が解散したときに残った財産を優先的に受け取れる等、投資家にとって権利内容が優先的になっている株式を指します。
普通株、優先株|投資の時間|日本証券業協会
ほとんどの優先株は大幅増益となろうが、定められた配当以上のお金を手に入れることはできません。
また普通株が無配となっているときには、配当を受け取る権利もありません。
優先株の買い時は、一時的な逆境で株価がひどく落ち込んで割安価格となっている時だけです。
このような買い物は防衛的投資家には不向きと言えるでしょう。