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賢明なる投資家第18章⑤〜八組の企業比較5組目

ただ単に割安だからといって、その後の株価が好転するとは限りません。

今回は巨大企業と成長企業の比較を行います。

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5組目:フレーバーズとハーベスター

  • ダウ平均採用の30巨頭の一社であるインターナショナル・ハーベスター社はあまりにも有名だが、ニューヨーク証券取引所名簿で隣り合わせのインターナショナル・フレーバーズ&フレグランスの名前を聞いたことのある読者が、何人いるだろう?
  • 語るも不思議な話だが、このフレーバーズ社は1969年末で株価総額が7億4700万ドルと、ハーベスター社の7億1000万ドルより多いのである。
  • ハーベスター社がフレーバーズ社の17倍もの株式資本、27倍もの年間売上があることを考えるとさらに驚く。
  • ハーベスター社の純利益は1969年のフレーバー社の売上より多かったのである。

今回は巨大企業と成長企業との比較です。



収益力と成長

  • なぜこれほどまでの格差が生じたのだろう?
  • 答えは二つのマジックワード収益力と成長にある。
  • フレーバーズ社は双方抜きん出ており、ハーベスター社はあらゆる面で遅れをとったのだ。
  • 表18−5を見れば一目瞭然で、フレーバーズの14.3%という驚異的な売上利益率に対し、ハーベスター社は2.6%にすぎない。
  • 同様に、フレーバーズ社は株主資本に対して19.7%の収益があるのに対し、ハーベスター社は5.5%にとどまっている。
  • さらにフレーバーズ社の純利益は5年間でほぼ倍増しているが、ハーベスター社は実質的に横ばいである。1959年〜69年の間、この傾向は変わっていない。

成長企業のフレーバーズ社は、収益力と成長率が優れていました。

売上高純利益率14.3%、株主資本利益率19.7%ととても魅力的な収益性を示しているのに対し、ハーベスター社は見劣りしています。

また、フレーバーズ社の純利益は5年間で倍増と優れた成長力を示しているのに対し、ハーベスター社は横ばいと停滞しています。



株価

  • こうした業績の違いによって典型的な市場評価の格差が生じた。
  • 1969年、フレーバーズ社は最終報告利益の55倍で売られたが、ハーベスター社は10.7倍にすぎなかった。
  • またフレーバーズ社は簿価の10.4倍の評価だったが、ハーベスター社は純資産額を41%も下回る価格で売られたのである。

当然ながら両社の違いは株価に表れていました。

フレーバーズ社はPER55倍、PBR10.4倍と割高となっています。

他方でハーベスター社はPER10.7倍、PBRは1倍を大きく割り込んでいて株価としては割安となっていました。



解説と結論

  • 最初に言っておくべきなのは、フレーバーズ社の市場での成功は、中心事業の発展に専念することを心がけ、近年ウォール街で流行の企業の策略、買収計画、資本過大構造などに巻き込まれなかったためである。極めて利益率の高い業務に専念した、実はそれだけのことである。
  • ハーベスター社の歴史を見るとこれと全く別の疑問がわくが、これらの「売り上げの多さ」とは関係がない。
  • なぜこのように、長い繁栄にもかかわらず、多くの大企業の収益が落ちたのだろう?
  • 企業が株主の投資に十分応えられる利益を上げられないなら、25億ドル以上に及ぶビジネスの有利性はどこにあるのだろう?
  • 経営陣の問題だけではなく、株主一般にも問題があること、そしてそれに対処できる最高の頭脳と努力が必要であることに気づくべきだと言いたい。
  • 普通株選択の観点からすれば、どちらの株式もわれわれの言う健全で、然るべき魅力を持ち、適正な価格という投資基準に満たない。
  • フレーバーズ社は典型的な華々しい成功企業だが、過大評価が著しい。
  • ハーベスター社の場合は、割安であっても真に魅力的というにはあまりにも月並みである。
  • それなりの価格帯で、もっと良い価格の高いものが間違いなくあった。

結論から言うと、割安だからいいというものでもないということです。

フレーバーズ社は、ウォール街で流行りの経営術に惑わされずに、本業に専念して成功しました。

ただフレーバーズ社の株価は、これらの高評価を織り込んでおり、買うには高すぎます。


一方で、ハーベスター社は利益の成長率が横ばいと、第14章で扱った防衛的投資家の投資基準に適合していません。

この年には、他の銘柄を探した方がより質の良い銘柄が見つかったはずです。



1971年までの後日談

  • ハーベスター株は1969年末に低価格だったため、1970年の暴落時にそれ以上大きく下落せず、10%下げただけで済んだ。
  • フレーバーズ株の方が大きく反応し、30%も下げて45ドルとなった。
  • その後の景気回復で両社とも1969年の終値を大きく上回る水準まで回復したが、ハーベスター社はすぐに25ドルまで下げてしまった。

1970年の暴落時に、フレーバーズ社の株価は30%も下げたのに対し、ハーベスター社は元々割安だったために、10%の下げで済みました。

しかし景気回復で両社の株価は1969年の終値を大きく上回って回復したものの、ハーベスター社の株価は、その質の悪さのせいか、すぐにまた下落してしまいました。




まとめ

  1. 巨大企業と成長企業との比較
  2. 成長企業は、収益力と成長力によって過大評価されがちである。
  3. ただ単に割安だからいいというものでもない

おわりに

日産を巡ってテスラも参戦したようです。

このニュースを受けて日産は10%ほどの高騰を見せました。

不調な企業であっても再建の期待があれば株価は上がりますが、これは大企業であればあるほどチャンスがあるように思えます。

研究してこの分野にもチャレンジしたいです。

次回
gyatuby.hatenablog.com


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