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賢明なる投資家第20章②〜好景気時の「安全域」

投資資金に余裕を持つことはもちろん、優良銘柄を割安で購入することで「安全域」は確保されます。

では、好景気の時にはどのように安全域を確保すれば良いでしょうか。

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1972年は安全域を確保できない

  • みなさんお分かりのように、1972年の情勢における株式投資の問題点は、「典型的な状況」における収益力が、今や株式取得原価の9%をはるかに下回っているという現実に集約される。
  • 大企業のうちで株価収益率が低い銘柄にある程度焦点を合わせ、防衛的投資家が最近の収益に対して12倍の値が付いた株を取得するとしよう。ーつまり、取得原価に対して8.33%の収益ということである。
  • そして配当利回りが約4%であるとすると、残りの4.33%は内部留保されることになる。
  • この状況では、10年間でみた債券利率を上回る株式収益力の超過部分が、十分な安全域を備えるというには程遠いであろう。

1972年は債券利回りが高く、優良社債でも約7.5%の利回りがありました。


本来、株式投資にはそれを上回るリターンが求められます。

仮に安全域として+5%の上乗せ(=約12.5%)を求めるなら、PER12倍では明らかに不足しています。


つまりこの時代は、優良株であっても「割安」とはいえず、安全域を確保しにくい環境だったのです。




今や分散投資でもリスクが存在する

  • そうした理由からわれわれは、堅実な銘柄で分散投資を行ったとしても、今や実質的なリスクが存在すると考えられる。
  • そうしたリスクは、収益期待の大きい銘柄でポートフォリオを組むことによって完全に相殺することが可能であり、実際、投資家にはそうする以外に道がない。
  • なぜならそれ以外の方法を取れば、ドルの価値が年々下落しているなかで確定利付のものばかりを保有するという、さらなるリスクを背負う恐れがあるからである。
  • それでも投資家は、大きな収益期待と小さな本源的リスクが組み合わさったかつてのような投資はもうできないのだということを、達観した境地で認識し、そして受け止めた方がよいであろう。

このような環境では、単に優良銘柄へ分散投資するだけでは十分ではありません。

なぜなら、インフレによって貨幣価値が目減りするため、低成長・低利回りの資産ばかりでは実質的に損失となる可能性があるからです。

そのため投資家は、ある程度収益成長が見込める銘柄(=リスクは高いがリターン期待も高い領域)を組み入れる必要があります。

ただしこれは、安全域が拡大するというよりも、リスクと引き換えに補っているに過ぎない点に注意が必要です。



最大のリスクは不良証券を買うことだ

  • しかし、優良銘柄の購入にあまりに高い金額を支払うことによるリスクは、一般的な証券投資家にとっての最大の問題ではない。
  • 長年の経験から分かっていることは、投資家が最大の損失を被るのは、好景気下で優良とはいえない証券を購入したときだということである。
  • このような買い方をする人々は、直近の好収益がその企業の「収益力」であるととらえ、また、業績が好調であることが安全性であると考えている。
  • 質の低い債券や優先株を額面近くで大衆に売ることができるのは、このようなときだ。
  • なぜなら、こうした銘柄は若干利回りが高めであったり、偽りの魅力を備えた転換権が付されているからである。
  • 過去2〜3年に素晴らしい収益を上げたというだけの理由から、訳の分からない会社の株式を有形資産よりはるかに高い価格で売り出すことが可能となるのも、このようなときである。

ここで最も重要なのは、

「高値で優良株を買うこと」よりも
「質の低い資産を買うこと」の方がはるかに危険である

という点です。


好景気では、

  • 直近の好業績
  • 派手な成長ストーリー
  • 高めの利回り

といった“見かけの魅力”によって、本質価値の低い銘柄が正当化されやすくなります。



十分な安全域がない

  • このような証券は、どこからみても十分な安全域を備えているとはいえないものだ。
  • 社債利息や優先株配当金に対して全純益がどの程度であるかに関して、1970年から71年にかけてのような景気の停滞期も含め、過去何年間もさかのぼって調べる必要がある。
  • 株式収益を収益力の指標としてみなすためにも、やはり同様のことがいえる。

こうした銘柄は、収益の持続性や資産の裏付けが乏しく、本質的な安全域を持っていません。

そのため、

  • 景気悪化
  • 業績鈍化

が起きた瞬間に、株価は大きく崩れます。


そして重要なのは、

そもそも本質価値が低いため、株価は元に戻らない可能性が高い

という点です。



そして暴落へ

  • よって、晴天の景気状況のときに高い価格を払って買ったものの多くは、地平線上に暗雲の兆しが見えたら、時すでに遅く、大きな価値の下落を被る運命をたどる。
  • さらには、その投資家はその後の回復に確信を抱くことができない。
  • なぜなら、いずれ下落の一部は必ず回復するが、彼は不況の間を乗り切れるだけの真の安全域を手にしていないからである。

好景気の最中に安全域なしで購入した資産は、景気の転換とともに大きな損失をもたらします。

さらに問題なのは、

  • 回復の確信が持てない
  • 資金余力がない
  • 精神的に耐えられない

といった理由から、最悪のタイミングで市場から退場してしまうことです。




まとめ

  1. 好景気では優良株でも安全域を確保しにくい
  2. 分散投資だけではリスクは消えない
  3. 最大のリスクは「質の低い資産」をつかむこと

おわりに

好景気においては、完全な安全域を確保することは難しくなります。

しかしそれでも、

  • 過去の収益実績を確認する
  • 財務の健全性を見る
  • 過度な期待が織り込まれていないかを判断する

といった基本を徹底することで、相対的に安全な投資は可能です。


少なくとも、

「人気だから買う」「伸びているから買う」

といった判断を避けるだけでも、大きな失敗は防ぐことができます。

次回
gyatuby.hatenablog.com

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