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賢明なる投資家第13章①〜証券分析の実例

証券分析について何回か読み進めてきました。

今回は本書を基に、実際の証券分析をやってみましょう。

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上場四企業の比較

  • この章では実際に用いられている証券の分析例を取り上げる。
  • いずれもニューヨーク証券取引所の上場企業リストに連続して載っている企業を、ほぼ無作為に四社選んだ。
  • 表13−1は、1970年末時点における四社の株式に関する概要と1970年の経営に関するデータである。
  • それでは、実績と価格についての重要な数字を具体的に見ていこう。
  • 業績に関するさまざまな数字が株価といかに連動しているかについて、説明する必要がある。
  • また最後に、防衛的な普通株の投資家のために、四社を再検討して比較し、関連、評価をそれぞれ述べる。

今までの知識を基に、実際に証券分析を行なってみましょう。



PER(株価収益率)

  • 最も印象的なのは、四社における現在のPER(株価収益率)の格差が、それぞれの業績や財務状況以上に開いているという事実である。
  • エルトラ、エムハルトの二社の株価は、それぞれ1968〜70年の平均収益の9.7倍、12倍と穏当であり、これはダウ平均の15.5倍という数字と近い。
  • しかしエマーソン、エメリーの二社は、31.5倍、42.5倍と、非常に高い数字を示している。
  • このような違いには必ず理由がある。
  • この場合は最近の人気企業、特に航空輸送会社の収益が急激に伸びたことによる。
  • しかし、他の二社の伸び率もさほど悪くない。

グレアムは直近3年分の平均収益を使ってPERを算出しています。

エマーソンとエメリーは非常に高いPERを誇っています。

これは当時、航空郵送会社の収益が急激に伸びていて、将来性を高く評価されているためです。

とはいえ他の二社、エムトラ、エムハルトの二社の収益の伸び率も悪くありません。



証券分析

  • さらに話をわかりやすくするために、業績に関する数字を再度考察してみよう。
  1. 収益性
  2. 安定性
  3. 成長
  4. 財務状況
  5. 配当
  6. 株価の推移

さらに証券分析の話を進めるため、以上の項目について見ていきましょう。




1、収益性

  • 四社とも簿価に対して満足のいく収益を上げているが、エマーソン、エメリーの二社は他二社よりもかなり高い数値を示している。
  • 往々にして、投下資本に対する収益率が高いと一株当たり利益の年間伸び率も高くなる。
  • 製造業では、売上1ドル当たり収益は、通常企業の強さ、弱さを示す。
  • ここではS&P社の『上場株式報告』の「対売上営業利益率」を採用する。
  • ここでも四社とも高い数字を示し、特にエマーソンが極めて高い。

四社とも満足のいく収益を上げています。

また当たり前の話ですが、投下資本に対する収益率(1株当たり純利益/簿価)が高いと、一株当たり利益の年間伸び率も高くなります。



2、安定性

  • 安定性については、過去10年間において、それに先立つ3年間の平均値と比べて一株あたり利益の最大の減少を計算した。
  • 減少がゼロなら安定性100%ということで、エマーソン、エメリの二社がこれに当たる。
  • しかし、エルトラとエムハルトの減少も1970年という「不毛な年」にしては小さく、わずか8%程度で、ダウ平均の7%と大差ない。

表からは直接読み取れませんが、過去の成長率を見れば利益の安定性をおおよそ測ることができるでしょう。

四社いずれもが1株当たり成長率はプラスで推移しており、満足のいく数字を示しています。



3、成長

  • 株価収益率が低い二社は成長率が極めて高く、双方ともダウ平均銘柄を上回る。
  • エルトラの成長率は株価収益率の低さから見れば極めて高い。
  • 高株価収益率の二社の成長率がさらに高いことは言うまでもない。

ダウ平均銘柄の成長率は75%(p280)で、四社はいずれも上回っています。

株価収益率の低いエルトラ、エムハルトでさえこれを上回っています。



4、財務状況

  • 製造業三社の財務状況はごく健全で、流動負債1ドルに対して流動資産2ドルという標準率を上回っている。
  • エメリー社はさらにその率が低いが、業種が違うことと業績が優れていることから、現金の調達に問題はない。
  • 四社とも長期負債は比較的少ない。
  • 「希薄化」に関しては、エマーソン社は1970年末の市場価格で1.63億ドルの未償還の低配当転換優先株を有していた。
  • われわれは分析において通常、希薄化要因を見込むため、優先株普通株に転換したものとして扱った。

製造業三社の流動比率(=流動資産/流動負債)の目安200%を超えており、財務健全性に優れています。

またエメリ社は流動比率200%未満ではあるものの、運送業であり業績が優れていることから、資金調達に支障をきたすほどの財務ではありません。



5、配当

  • 配当が途切れないというのは素晴らしいことである。
  • この点で最も好成績を残したのはエムハルト社で、1902年以降無配だったことはない。
  • エルトラ社の記録も悪くないし、エマーソン社も極めてよい。
  • エメリー社は新興の企業である。
  • 配当性向は大差ない。
  • 現在の配当利回りは「安い二社」が「高い二社」の2倍も高く、株価収益率と一致している。

配当が続く限り、仮に株価が上向かずガチホする目にあっても、収益を上げ続けることができます。

配当利回り(=配当額/株価)は株価収益率が低いほど高い傾向があり、本例でも同様の傾向を見せています。



6、株価の推移

  • 読者は、過去34年間において、四社の株価が最安値から最高値に至った上昇率に驚くだろう。
  • ダウ平均の場合、価格の高低差はほぼ11倍であることに注意されたい。
  • この四社の場合、エムハルト社の「わずか」17倍からエメリー社の528倍と、大きな格差がある。
  • このように株価が何倍にも跳ね上がることは、古い普通株のほとんどに見られる特徴であり、過去の株式市場に大きな利益獲得の機会があったことを示す。
  • エルトラ社とエムハルト社は、いずれも1969〜70年の株価暴落で50%以上も下げている。
  • エマーソン社もエメリー社もかなり下がったが、それほど激しくはなかった。
  • しかし前者二社は1970年の終わりに、後者二社は1971年の初めに、空前の高値に反発している。

過去34年の株価まで遡ると、ダウ平均ですら11倍の高低差があったことに驚くでしょう。

それだけ普通株には大きな利益獲得のチャンスがあったということであり、この四社はさらにチャンスがありました。



まとめ

  1. 業績に関するさまざまな数字は、株価と連動していることを読み取ろう。

おわりに

2番底はいつ来るのか?もう終わったのか?

買い増しを進めている最中で、不安がいつも付き纏います。

評価損益がマイナスになっても、ぐっと我慢して持ち続けたいです。

9月は配当も美味しいですしね。

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