はぐれ猿でも、投資がいいんだ。

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賢明なる投資家第8章⑤〜株価は単なる数字に過ぎない

最近の株価はよく動くので、握力が弱くて手放した方もいるかもしれません。

しかしバリュー投資家であれば、株価を気にしすぎることはありません。

もしかしたら、今回の記事で握力が向上するかもしれませんよ?

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A&P社の例

  • 食料品のチェーンストアであるグレート・アトランティック・アンド・パシフィック・ティー社(A&P社)の株は、1929年にニューヨーク・カーブ取引所に上場され、494の高値を付けた。
  • その後、経済全般が悲惨な状況にあっても同社の収益は以前とほとんど変わらなかったが、株価の方は1932年までに104に落ち込んでいた。
  • その後の1938年には景気後退と弱気相場によって、株価は36という最安値を更新した。

過去の版でも取り上げていますが、企業および投資にまつわる多くの事柄が含まれており、非常に興味をそそる内容となっています。



清算価値以下の株価

  • これは異常な株価である。
  • 現金だけで8500万ドル、運転資本(純流動資産)として1億3400万ドルを有していたにもかかわらず、同社の優先株普通株のすべてを合計して時価1億2600万ドルにしかならない計算だ。
  • 順調な業績を上げているにもかかわらず、清算価値以下の株価が付いていたのである。

株式市場のムードによって、順調な業績を上げているにもかかわらず、同社は破格の値段をつけました。

これは業績評価ではなく、株式市場評価によって株式が評価されていたことがわかります。



株価の下落に目を瞑ること

  • 例えば、A&P株を1937年にその過去5年間の一株当たり平均収益の12倍、つまり80ドル前後で購入していたとしよう。
  • その後の36ドルまでの株価下落が、投資家にとって大したことではないなどというつもりは毛頭ない。
  • 注意深く情勢を調べて、計算ミスを犯していないかを確かめるのが賢明であろう。
  • しかしその結果、思っていた通り、自分の投資が間違いでなかったことを確信したならば、証券市場の一時的な気紛れとして相場の下落を無視してもよいのだ。
  • また、もしも資金と勇気を持ち合わせていれば、状況を逆手に取って割安な株価で買い増すこともできるのである。

バリュー投資は、業績評価によって株式の価値を測ります。

もし株式市場評価によって株価が大幅に下がったとしても、業績に何らの曇りもなかったらどうでしょうか?

注意深く検討する必要はありますが、バリュー投資として正しい投資を行っているのであれば、株価の下落には目を瞑っても良いとグレアムは解説しています。

むしろ資金と勇気があれば、ナンピン買いしても良いでしょう。



その後の動向

  • 翌1939年、A&Pの株価は前年の安値の3倍である117.5にまで持ち直し、2年前の平均水準を優に越した。
  • 1949年以降の同社の株価は、相場全般の動きとともに上向きに推移していったが、1961年の株式分割(1対10)後には70.5という高値を付けた。
  • 分割前の1938年ならば705となる計算である。
  • 注目すべき点は、1961年の70.5という株価が一株当たり利益の30倍であったという事実である。
  • 同年のダウ銘柄の平均株価収益率は23倍であり、それに比肩するこのような株価収益率によって、A&P社には将来的に目覚ましい収益成長が望めるとみんなが考えたに違いない。
  • だがこの楽観論は、直近の収益によって裏付けられたものではなく、完全に誤りであったことが判明した。
  • 収益は急速に伸びるどころか、その後は減少傾向をたどったのである。
  • 同社の株はその後さまざまな株価変動を経て、1970年には21.5、1972年には18という安値まで下落し、業績の方でも創立以来初の四半期赤字を計上したのである。

A&Pの株価は、その後持ち直して安値から約20倍もの株価を付けました。

バリュー投資が報われた瞬間です。


そして株価はPER30倍と、業績から少しかけ離れた評価を付けました。

それだけ市場は、A&P社が将来的に目覚ましい収益成長が望めると考えたのでしょう。


しかし収益は急速に伸びるどころか、その後は減少傾向を辿りました。

そして業績さえも赤字をつけ、株価はまたとしても急落したのでした。



所感

  • この歴史から見て取れるのは、アメリカの主要企業がほんの30年ほどの期間にどれほど大きな浮き沈みを経験し得るかということであり、また人々がどのような計算ミスを犯し、あるいは行きすぎた楽観論や悲観論を抱くことによって、その株を評価してきたかということである。
  • A&P社の場合1938年には見向きもされずに安く売られ、1961年には驚くような高値で人々がこぞって買いに走った。
  • その後、急速に株価は半値に下落し、数年後には更なる落ち込みをみせたのである。
  • こうした間に、傑出していた同社の収益力は平凡なものとなり、世の中が好況に湧いた1968年の利益は1958年のそれを下回ったが、少額の配当は収益の裏付けなしに続いていた。
  • 1961年や72年当時のA&Pは、企業規模では1938年当時よりも大きいわけであるが、経営状態も収益力もさらには企業としての魅力も、1938年の方が上だったのである。

たった30年間でも、アメリカの主要企業の株価は大きな浮き沈みがありました。

これからの株価もきっと大きな上下を繰り返すでしょう。

だから焦ったりせず、バリュー投資を行う場合には腰を下ろしてじっくり構えます。



A&P社の話の教訓

  • この話から2つの大きな教訓を得ることができる。
  1. その第一は、株式市場は誤った方向に大きく振れることがたびたびあり、機敏かつ度胸のある投資家は、その歴然たる誤りから時として利益を得られるということ。
  2. 第二は、ほとんどの企業は長年の間にその特徴や質が変化するものであり、以前より良くなる場合もあるが、大抵は悪い方へ向かうものだということである。

A&P社の話から二つの大きな教訓を得ることができます。

一つは、株式市場は業績評価とは異なった方向に大きく振れることがたびたびあるので、勇気を持って機敏に動けば、株式市場から利益を得ることができるということ。

安く買って高く売るだけでなく、時には空売りでも利益を得られるかもしれませんが、個人的にはお勧めしません。

株価が高いのには高いなりの理由があり、思ったより長く苦戦することがあるからです。


もう一つは、ほとんどの企業はその特徴や質は時が経つにつれて変化するものであり、成長が伴わなければ、大抵は悪い方向へ向かうということ。

停滞すればいずれ悪い方向へ向かうというのは、人間でもよくあることですね。



株価は単なる数字に過ぎない

  • 真の投資家が持ち株を売らざるを得ない状況などめったになく、そういった状況以外のときには株価を無視しても構わないということだ。
  • 相場が急落すれば抜け目なく株を買い付け、急騰すれば売却するチャンスなのだ。
  • それ以外のときには株式市場のことなど忘れ、受け取る配当金と企業業績に注意を注いでいた方が良い結果につながるものなのである。

バリュー投資家にとって、株価は単なる数字に過ぎません。

仮に株価が下がったとしても、業績に変化がなければ持ち株を売る必要性はなく、ぐっと我慢して株価を無視しても構わないのです。


また、株式市場が急落すれば抜け目なく株式を買い付けるチャンスであり、急騰して業績とかけ離れていたら株式を売るチャンスにもなります。

それ以外の時は株価のことは忘れて、配当金と企業業績に注意を払った方が結果的には良い結果につながるとグレアムは説明しています。




まとめ

  1. 株式市場は誤った方向に大きく振れることがたびたびある。
  2. そのため、相場が急落すれば抜け目なく株を買い付け、急騰すれば売却するチャンスになる。
  3. それ以外のときには株式市場のことなど忘れ、受け取る配当金と企業業績に注意を注いでいた方が良い結果につながる。

おわりに

もしトラがほぼトラに変わりつつあるようです。

外から見るとなんだか危なっかしい人だなと思ってしまいますが、中の人からすると何か変えてくれると期待するものなのかな?


ほんの4年前はトランプ氏の行動一つで、株価が大きく動いたのが懐かしく思います。

これからトランプの洗礼を初めて受けるよという方は、覚悟した方がいいかもしれません笑


アメリカ国民にとってトランプ氏が最良の選択肢ならば、文句を言いようがありません。

日本もそろそろ代替わりの時期ですが、どうなるでしょうか?

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