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賢明なる投資家第15章③〜積極的投資家の投資対象

積極的投資家は、時には防衛的投資家が見向きもしない投資に手を伸ばすことがあります。

今回は、積極的投資家の投資対象について学んでいきましょう。

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積極的投資家の投資対象

  • 攻撃的な投資家についても、各種有価証券のうち一部分のみに投資を限定するということを確実に守れる人は、ごくわずかしかいないと考えられる。
  • 元来彼らが投資対象とするのは、彼らが(A)保守的な基準に照らして確実に過大評価されておらず、(B)将来性や過去の業績からみて、平均的な銘柄よりも疑いの余地なく魅力があると考える、すべての有価証券である。
  • こうした形で銘柄選択を行うにあたっては、われわれが防衛的投資家に向けて述べたことと合わせて、価格の合理性や質に関する多様な基準に照らしてみるべきであろう。
  • しかし、ある大きなプラス要因をもって別の小さなマイナス要因を相殺するという「柔軟性」を持つべきである。
  • 例えば積極的投資家たちは、平均収益が高く、さらには重要な特性を備えているために割安だと思える銘柄であれば、欠損が出ていてもそれが1970年のような年ならば、そうした企業を投資対象外としないかもしれない。

積極的投資家が投資対象とするのは、過大評価されておらず価値のある有価証券です。

こうした銘柄選択を行うには、防衛的投資家向けの基準が役に立ちます。
gyatuby.hatenablog.com

積極的投資家はこれを少しアレンジして、価値の合理性や質に関する多様な基準に照らしてみるべきでしょう。


また、積極的投資家は柔軟性を持つ、すなわちある大きなプラス要因があれば別の小さなマイナス要因は無視するといったことも大事になります。

例えば赤字が出ていたとしても、平均収益が高く、他に大きなプラス要因があるため割安だと判断したなら、投資対象外とはしないかもしれません。



割高な銘柄は買わないこと

  • 将来性を楽観できる業界や企業のみに対象を限定するとしても、彼らが熱に浮かされて(対収益、対資産でみて)株価の高い銘柄を買うことには、われわれは断固として反対する。
  • もし彼らがわれわれの投資哲学に従うのなら、不利な経済情勢にあり、近い将来に明るい兆しが見えず、また世の悲観論が株安となって表れているようなときには、恐らく鉄鋼株のような景気循環型の企業の株を買うことになるであろう。

将来を楽観視できる業界や企業のみに対象を限定するとしても、積極的投資家が熱に浮かされてPER、PBRで割高な銘柄を買うことには、グレアムは断固として反対しています。

今で言うところのAI業界やNVIDIAでしょうか。

成長株投資としては新高値を更新しているうちはチャンスなのですが、バリュー投資ではそうもいきません。


また株の悲観論が株安となって表れている時には、自動車や鉄鋼といった景気循環株に投資すると良いとアドバイスしています。




二流企業

  • 次に購入の可能性を検討するのは、経営状況が良く、過去に十分な業績を上げながら、一般的には魅力のない銘柄と思われている二流企業である。
  • このような企業を探し当てる方法はいろいろある。
  • ここでは一風変わった手法で株式の選択を行う場合について、そのやり方を詳細に説明する。
  • その説明によって、読者の多くは、われわれが提示する手法を極めて実用的だと評価するであろうし、あるいはそれに類似した手法を思いつくきっかけとなるかもしれない。

積極的投資家が次に購入を検討するのは、優良な二流企業です。

二流企業とは、一流以外の会社であって、主要産業では規模は小さいものの、ニッチな産業でトップであるような会社のことを指します。
gyatuby.hatenablog.com

ここでは防衛的投資家に示した基準をアレンジして、どのように対象を絞るのか説明されています。



株式ガイドの情報を選り分ける

  • 一目で安いと分かるような株を探しているとする。
  • そのための手掛かりとしてまず思い浮かべる条件は、対収益で安値が付いた銘柄である。
  • 試しに、1970年末時点で株価収益率9倍以下で売られている銘柄のリストを作ってみよう。
  • 実例として、データの並び順通りに見ていき、株価収益率が低いものを20銘柄取り上げる。

株式ガイドは日本でいう四季報と考えれば大丈夫でしょう。

ここではPER9倍以下(実際には10倍ですが)で売られている銘柄をスクリーニングします。



PER9倍のリストを絞る

  • こうしてできたリストでは、半分の10銘柄が株価10ドル以下となっており、さえない銘柄と思われていたものばかりかもしれない。
  • だが株価が安いということは、実のところ重要ではない。
  • 防衛的投資家はー必ずではないにせよー恐らくこれら銘柄に対して警戒心を抱くであろうが、積極的投資家にとってはむしろ食指を動かさせるものかもしれない。
  • 将来性を検証する前に、いくつか計算してみよう。
  • この20銘柄を抜き出すために調べたのは200の銘柄である。
  • ということは、『株式ガイド』中には株価収益率10倍以下の銘柄が、およそ450あるはずだ。
  • つまり、これら以外にも選択候補は豊富にあると考えられる。

実際にスクリーニングすると、株価10ドル以下の低位株が数多く含まれており、防衛的投資家には警戒心を抱くかもしれません。

しかし、積極的投資家はその銘柄の質、つまり将来性を詳しく検討して投資対象外とはしないかもしれません。

今では、ネットで簡単にスクリーニングできるため、書籍で洗い出す必要がないところは時間の節約となり救いですね。



さらなる選別基準を適用する

  • よって、このリストの銘柄に対して、防衛的投資家に勧めた基準に近い、さらなる選別基準を適用してみることにする。
  • それは次のような内容である。
  1. 財務状態:(A)流動資産が流動負債の少なくとも1.5倍以上であり、かつ(B)負債が正味流動資産の110%以下であること(事業会社について)。
  2. 収益の安定性:『株式ガイド』が網羅している過去5年間に関して、欠損を出していないこと。
  3. 配当の実績:現在配当が支払われていること。
  4. 収益成長:前年の収益が1966年のそれ以上であること。
  5. 株価:一株当たり正味有形資産の120%以下であること。

PER9倍以下のリストに、さらなる基準を適用します。

この時、防衛的投資家に勧めた基準を少しアレンジして、選別基準を少し緩めています。



小さな会社でも分散投資できる

  • それ以外で心に留めるべきことは、企業規模については下限を設けていないことだ。
  • 分散投資の一部として慎重に買い付けるのであれば、小さな会社でも十分に安全な投資対象となり得るのである。

二流企業のスクリーニングの際に気づいているかもしれませんが、企業規模について条件を設定していないということです。

ある程度の規模があった方が、値動きが安定して投資に向いています。

しかし二流企業の量や質を厳密に検討して買い付けるのであれば、それは十分に安全な分散投資の対象となり得るのです。



まとめ

  1. 将来性を楽観できる業界や企業のみに対象を限定するとしても、彼らが熱に浮かされて(対収益、対資産でみて)株価の高い銘柄を買うことには、われわれは断固として反対する。
  2. 二流企業のような、防衛的投資家には食指が向かないものでも、厳密に検討することで投資対象となり得る。

おわりに

二流株のもう一つの特徴としては、機関投資家がフォローしていない銘柄が少なくないため、財務分析を綿密に行えばお宝に出会える可能性があることです。

値動きが乏しいというデメリットがありますが、業績だったりニュースを先回りして仕込むことができれば、大儲けにつながることがあります。

時間もかかり徒労に終わることもありますが、その分のリターンはあります。

まずは割安銘柄で探すことをオススメしますよ。

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