しかし実際には、個別株で市場平均を上回るのは極めて困難です。
今回は、その理由を整理していきましょう。
前章の復習
- 前章では、投資に適したさまざまな銘柄のなかから適切な投資対象を選び出す方法について触れ、その範囲内で十分な分散投資がなされるならば、防衛的投資家は自分や投資アドバイザーが望む通りにポートフォリオを組んで良いと述べた。
- 銘柄選択に関してわれわれが強調してきたアドバイスは「除外すること」だ。
- つまり、そうと分かるほどの質の劣った銘柄を「除外」し、また優良銘柄であっても株価が高く投機色が強いものは「除外」せよということである。
前章では、防衛的投資家の銘柄選択について学びました。
重要なポイントはシンプルです。
- 劣った銘柄は除外する
- 割高な優良株も除外する
- そのうえで分散投資を行う
つまり、「選ぶ」よりも「除外する」ことに重点が置かれていました。
積極的投資の現実
- 積極的投資家を対象とする本章では、全体平均よりも利益の上がるであろうポートフォリオを投資家が個々に組める可能性とその方法を考察する。
- その勝算が低いことは初めにはっきりと断っておかなければならない。
- その根拠とは、長年にわたって投資を実践してきた数多くの投資信託の運用実績である。
- 全体的に見ると、普通株のみを組み入れたファンドの長期実績は、S&P総合500種株価指数どころか市場平均以下の成績しか収めていない。
本章では、市場平均を上回るリターンを目指す「積極的投資」について考えます。
結論から言えば、その勝算は高くありません。
その根拠は明確です。
アクティブファンドの多くが、市場平均を下回っているからです。
プロでさえ勝てないゲームにおいて、個人投資家が継続的に勝つことは、構造的に難しいと言えます。
なぜ個別株投資は難しいのか
- さまざまな理由から、自ら銘柄選択を行なって株式投資をする一般の人々は、ほとんどがファンド以下のパフォーマンスしか上げられない。
- しかし客観的に見れば、ファンドが市場平均を上回ることができないという事実こそが、それを達成するのが容易どころか極めて困難であるということの決定的証拠といえるのである。
- なぜそういえるのだろうか?それには二つの異なった説明が考えられ、そのどちらもが部分的に正しいといえよう。
本書では、その理由を大きく2つに分けて説明しています。
① 株価はすでに織り込まれている
- その第一は、現在株価に反映されているのは、その企業の過去および現在の業績のみならず、将来についておよそ合理的といえる予測のすべてだということである。
- そうだとすれば、その後の相場の変動━━大抵は極端な動きとなる━━は、予見できなかった新たな業績や可能性が相場に表れたものといえるはずである。
- だとすれば、株価は本質的にランダムかつ偶発的な動きをみせるものだということになる。
- これが事実である以上、証券アナリストの仕事は概して無意味となる。
- なぜなら、結局は予測不可能なものを予測しようともがいていることになるからである。
株価には、以下の要素がすべて反映されています。
- 過去の業績
- 現在の状況
- 将来の合理的な予測
つまり、公開情報から得られる優位性はほとんど存在しないということです。
その後の株価変動は、多くの場合、
「予測できなかった新情報」
によって引き起こされます。
この構造のもとでは、株価はランダム性を帯びやすくなり、継続的に予測することは極めて困難になります。
② 人は「良い企業」を高値で買ってしまう
- 第二の理由は、先ほどとは全く異なるたぐいのものである。
- アナリストの多くは、銘柄選択手法における基本的欠陥というハンディを負っている。
- 彼らが探しているのは、最も高い将来性が見込める業種で、しかも最高の経営者やその他の強みを有している企業だ。
- そうした株であれば高くとも買い、また見通しの悪い業界や企業の株は、どれほど安値が付こうとも避ける傾向がある。
- 優良企業が急速なスピードで永遠に収益を伸ばし続けるのであれば、理論上その価値は無限大となるので、これは唯一の正しい銘柄選択法であろう。
- また、将来性の低い企業は、救済されることなく消滅の道をたどるのであれば、どんな安値でもそうした株を買わないという選択は正しいといえよう。
- しかし、現実にはそのどちらもまずあり得ない。
- 長期にわたって絶えず成長を続ける企業はごくごくわずかであるし、一定以上の企業規模がありながら完全なる廃業に追い込まれる会社も極めてまれである。
もう一つの問題は、投資家の行動バイアスです。
多くの投資家やアナリストは、
- 成長性が高い
- 経営が優秀
- 将来性が明るい
といった「魅力的な企業」を好みます。
しかしここに落とし穴があります。
👉 良い企業=良い投資ではない
なぜなら、
- 優良企業はすでに高値で取引されている
- 成長期待が崩れた瞬間に大きく下落する
からです。
一方で、
- 地味で人気のない企業
- 一時的に評価が低い企業
は、割安に放置されていることがあります。
しかし多くの投資家は、こうした銘柄を心理的に避けてしまいます。
それでも勝つ余地はあるのか
- 第一にこれは、積極的投資家のやろうとしていることが、困難なうえに恐らく実行不可能であろうことを示唆している。
- 読者のみなさんがいかに賢明で知識が豊富であろうと、トップアナリストよりも優れたポートフォリオを作成することはまず不可能である。
- しかし、株式市場では相当数の銘柄が標準的分析による銘柄選択からしばしば除外されているのだとすれば、賢明なる投資家には、その結果から生じる割安銘柄から利益を得るチャンスが生まれるのである。
- しかしそのためには、ウォール街では一般に受け入れられていない特別な方法に従わなければならない。
- というのは、すでに一般化している方法を用いても、みんなが望むような結果は得られないだろうと考えられるからである。
ここまでを見ると、個別株投資は不可能に思えるかもしれません。
しかし、完全にチャンスがないわけではありません。
ポイントは一つです。
👉 市場で見落とされている銘柄に注目すること
市場参加者の多くが同じ方向を向いているとき、
その外側には必ず歪みが生まれます。
- 人気がなく放置されている銘柄
- 一時的な悪材料で売られている銘柄
こうした領域にこそ、超過リターンの源泉があります。
ただしそのためには、
- 一般的な分析とは異なる視点
- 市場と逆行する勇気
が必要になります。
まとめ
- 個別株で市場平均を上回るのは極めて困難
- プロでさえ平均に勝てていない
- 理由は「情報はすでに株価に織り込まれている」ため
- さらに人は割高な優良株に集中しやすい
- それでも勝つには「市場の盲点」を狙う必要がある
おわりに
個別株投資は難しいですが、だからこそ魅力があります。
ただし、その難しさの正体を理解せずに挑むと、再現性のない結果に振り回されることになります。
重要なのは、
「なぜ勝てないのか」を理解したうえで戦うこと
でしょう。