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賢明なる投資家第5章①〜防衛的投資家のための株式選択

株式運用に時間と労力を割くことができない、いわゆる防衛的投資家は具体的にはどのような株式を選べば良いのでしょうか。

今回は、その具体的な基準について触れていきます。

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普通株投資の長所

  • その第一は、債券にはインフレによる資金価値の目減りから投資家を守るという効果が全く期待できないのに対して、株式にはその効果が相当程度まで期待できるという点である。
  • 株の持つ第二の利点として述べたのは、他の対象に投資するよりも、相対的に高い収益が得られるということだ。
  • これは、良質の債券よりも株の平均配当の方が上回っていたことと、配当金として支払われずに内部留保された利益を再投資に回した結果、株価が長年にわたり上昇基調にあったことの二点から生み出されたものだ。

普通株投資の長所は、大きく二つ挙げられています。


まず、普通株は債券と比べてインフレに対してある程度強いです。

これは過去の記事で扱った内容です。
gyatuby.hatenablog.com


次に、通常であれば配当による収益と再投資による株価上昇は、債券投資よりも高い収益が期待できます。

ただし、投資家たちがあまりに高い株価を支払ってまでも株を買うようになれば、こうした利点が崩れ去る可能性があります。



組み入れ株式の基準

  1. 十分な、しかし過度にならない程度の分散投資を行うこと。例えば、10銘柄以上30銘柄以下が望ましいであろう。
  2. 財務内容の良い有名な大企業を選ぶこと。
  3. 長期にわたる継続的な配当金支払いの実績があること。具体的にいうと、少なくとも1950年以降(つまり20年間)、継続して配当が支払われていることを目安にすればよいであろう。
  4. ある銘柄を買い付けるに際しては、過去7年程度の平均企業収益に照らして支払うべき価格の上限を決めること。この上限価格としてわれわれが目安としているのは、過去7年間の平均収益の25倍、そして過去12か月の企業収益の20倍である。

本書の中でとても役立つ知識のひとつです。


この基準はかなり保守的なため、大体の人気銘柄が投資不適格になります。

特にこの基準によって、投機家と機関投資家の双方にここ数年人気の高い「成長株」の範疇に含まれる銘柄を、実質的にすべて除外しないとならなくなります。


詳しくは第14章でも扱っています。



成長株とは

  • 「成長株」という言葉は、過去に1株当たりの利益が一般の株式よりもずっと高い割合で増加してきており、かつ将来的にもその状況が続くと見込まれる株式のことを指している。
  • だれが見ても、こうした株式を買って保有する魅力があるものだ。ただし、法外な価格でなければ、という条件が付く。
  • そしてもちろん、問題はここである。というのも、成長株は長期の収益に対して長期にわたり高値で売られており、そして過去の収益に比較すると株価はさらに高い倍率となっているからである。
  • このことによって成長株全体の投機性が相当に高まり、成長株の売買で成功するのは非常に困難な状況となっているのである。

当時、成長株の代表格はIBMであり、かつてこれを買って手放さなかった人々は、莫大な利益を手にしました。

今で言うところのNVIDIAがこれに当たるでしょう。


しかしグレアムが指摘したように、この「最高の銘柄」IBMは、1961年から62年にまたがる6か月の株価下落で実際に50%も下落しており、1969年から70年にかけてもほとんど同程度の下落を示しています。

その他の成長株はさらに逆境に弱く、中には株価が下落したばかりか収益まで減少したものまでありました。


成長株はその期待から、すでに高値になっていることが多いです。

この分野で成功するには、優れた知性と判断、そして運も必要になるでしょう。
gyatuby.hatenablog.com



成長株と防衛的投資家

  • 成長株全般が防衛的投資家の投資対象としてはあまりに不確実でリスクが高い。
  • 比較的人気のない、ゆえに合理的な株価収益率で入手できる大企業群こそが、一般大衆投資家にとって(目を見張るような素晴らしい結果とはいかないまでも)健全な投資分野になると、われわれは考えるのである。

成長株ではファンダメンタル分析に加えテクニカル分析も必須であるため、防衛的投資家にはハードルが高いです。

繰り返しになりますが、防衛的投資家には比較的人気のない、つまり妥当な株価収益率(PER)で投資できる大企業に投資した方が、長い目で見ると平均的な収益を得ることができるはずです。



ポートフォリオの見直し

  • 防衛的投資家のみなさんは少なくとも年に一度、投資を始めたばかりのころに求めたような、ポートフォリオ組み入れ銘柄の変更に関するこうした助言を受けた方がよいであろう。
  • いかなる場合でも重要なのは、こうした投資相談には必ず、先に述べた株式銘柄選択の4つのルールを固守するつもりである旨を、相手にはっきりと伝えることである。
  • 加えて述べれば、最初に適切な銘柄選択がなされてさえいれば、何度も頻繁に組み入れ銘柄を変更する必要は生じないはずである。

そして最低でも年に一度、ポートフォリオを見直すようにしましょう。

この時、信頼できるアドバイザーに助言を求めるのも良いですが、その際は前述の基準を満たす銘柄にしか投資しないとはっきり告げる必要があります。

なおアドバイザーについては第10章で詳しく扱っています。



ドル・コスト平均法

  • ニューヨーク証券取引所では、投資家が毎月一定額を投じて1銘柄以上の株式を買い付けていくという「マンスリー投資プラン」を広めようと多大な努力を費やしている。
  • これは、ドル・コスト平均法として知られる「フォーミュラ投資法」の応用形である。
  • こうした手法をとることで悪い時期に集中的に買い付けを行うことを避けられたからである。
  • 長期的かつ画一的に株を買い付けることは、連邦貯蓄債や生命保険に資金を当時続けることと比較して、必ずしも心理的、財政的に大きな負担とはならないであろうし、むしろこれらを捕捉する位置付けとしてとらえるべきである。
  • 月々に投じる金額が少額であっても、20年以上にわたって投資を続ければ、その結果は投資家にとって非常に重要なものとなり得るのである。

具体的で有用なルールに従って投資することは、心理的に(結果的に財務的にも)大きな負担とならずに投資を続ける助けとなります。


ドル・コスト平均法は、そのようなルールのひとつと言えるでしょう。

人々が弱気になっているときは集中的に投資できるとともに、市況が好調なときは投資を控えめに、それを機械的に行うことができる点でとても優秀です。



まとめ

  1. 普通株はインフレにある程度強く、債券より収益が期待できる
  2. 本章の4つの組入基準は、防衛的投資家にとって特に遵守すべきものである
  3. 成長株全般が防衛的投資家の投資対象としてはあまりに不確実でリスクが高い
  4. ポートフォリオは少なくとも年に1回は見直した方が良い
  5. ドル・コスト平均法は、長期で行うことで良い結果が期待できる

おわりに

X(旧Twitter)で、25日移動平均線を下回ったらレーザーテックの空売りを行うと宣言したら、その後実際に大きく下げることになりました。

では実際に入ったのでしょうか?


入りましたが、すぐ損切りしました…泣

オニールの空売り練習帳では、さらに25日移動平均線を3〜4回割ってから初めて入るべきと読み直して、ちょっとの戻りで損切りしてしまったのです…

今回は運が良かった悪かったのか、機関の空売りレポートなるものが出て大きく下げたわけですが、本来は25日移動平均線抵抗線として機能して欲しいところでした。

やはり空売りは理論通りにはいかないと痛感したところです。

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