前回から間が空いてしまいましたが、今回は普通株以外でインフレへ対処できるかについて見ていきます。
インフレと金投資
- 過去35年間、金の価格は35%しか上昇していない。
- 物価は上昇したにせよ、それだけのお金を銀行に預けておいたら利息が入り、金投資よりもうまくいったことは明らかだ。
1936〜71年にかけて金投資は株式投資と比べて成果はありませんでした。
では最近ではどうでしょうか。
上のグラフと表を見る限り、金投資も一定の成果を上げています。
そして金価格が株価と逆相関の関係、つまり株式のほうが魅力的な時には株式にお金が流れ、株式に魅力がないと金にお金が行くという関係にあることも読み取れます。
本書の結論とは異なりますが、債券投資の代わりに金投資もひとつの選択肢になるのかもしれません。
インフレと貴重品への投資
- ダイヤモンド、名画、初版本、希少な切手や硬貨などといった、長年市場価値が上がり続けるような貴重品もわずかだがある。
- しかしこれらの多く、いや恐らくほとんどの場合、その相場価格には人為的、または不安定な、さらには非現実的な要素があるようだ。
金の他にも、絵画といった貴重品への投資が考えられます。
しかしこれらは、値段がすぐに上下するため玄人でも扱いが難しいです。
また最近では目に見えないものにも価値が付いていますが、こちらも価格が安定しません。
ツイッター創業者の初ツイートが3億超で値段がついたかと思うと、翌年には100万弱にしかならなかったという話があるくらいです。*1
インフレと不動産投資
- 不動産所有に専念することも、対インフレ策として十二分に防衛となる長期的投資と考えられてきた。
- しかし不幸なことに不動産価値もまた、立地や支払いなどの深刻なミスなどによる多くの不確定要素がある。
- つまるところ、いろいろなものに手を出して投資をすることは、一般的な投資家には不向きなのである
インフレに強い投資先として、不動産はよく名前が挙がります。
しかし不動産はビジネスと言われるくらい、株式と比べて管理する手間が非常にかかります。
債券や株式以外の商品を投資先として検討してきましたが、グレアムはいろいろなものに手を出すのは一般的な投資家には向いていないと述べています。
オニールもこの点については言及しています。
gyatuby.hatenablog.com
たしかにいろんな種類に手を出すとすれば、それだけ知識や経験が求められます。
投資はできればシンプルであったほうがいいというわけです。
結論
銘柄もそうですが、ひとつの金融商品に全てを注ぎ込むようなことはせず、分散投資をしなさいとグレアムは説いています。
利回りがいいからといって債券だけに投資するのは、インフレの保険になりませんし、市況が好調な時に資産倍増の波に乗れなくなります。
かといって株式だけに注ぎ込むのも、市況が悪化した時の備えになりません。
しかしインフレに対しては債券よりは株式の方が強いのは確かではあるので、ある程度は株式に投資をするのがいいでしょう。