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賢明なる投資家第1章③〜積極的投資家が手に入れるもの

防衛的投資家が平均的収益を手に入れるとしたら、積極的投資家は何が得られるでしょうか。

防衛的投資家よりも時間や判断が求められるため、できれば欲張りたいものですね。

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積極的投資家とは

  • 積極的な買い手は当然、防衛的または受動的な買い手よりも全体的な利益を多く得ることを望み、また期待しているだろう。
  • しかしまずは自分の収益が減らないことを念頭に置かなければいけない。
  • 何にもまして大切なのは、積極的な投資家がどのような行動を取れば正当な成功の機会を得ることができ、逆にどのような行動を取れば失敗するのかについて、明確な概念を持つことから始めることだ。
  • 最初に投資家または投機家が一般的に、平均以上の収益を上げるためにどのような方法を取るかを見てみよう。

積極的投資家は、防衛的投資家と比べて時間や労力を惜しまない代わりに、平均以上の収益を上げようとします。

しかしリターンを大きく得ようとしたばかりに、下手に損失が膨らんでは意味がありません。


積極的投資家がまず心がけたいのは、どうすれば平均以上の収益が得られるのか、そしてどうすると失敗するのかを把握することです。

本書では、典型的な積極的投資家が陥りがちな取引を以下に挙げています。



平均以上の収益を得る一般的な方法

  1. トレーディング
  2. 短期的な銘柄選択
  3. 長期的な銘柄選択
  • これらの方法で投資家が大きな成功の機会を得ようとすることについて、われわれはすでに否定的な見解を示した。

典型的でやってしまいがちな方法が挙げられていますが、グレアムはいずれの手段にも否定的です。

一つずつなぜダメなのか見ていきましょう。



1、トレーディング

  • 大抵の投資家は、市場が高騰しているときに株式を購入し、下落に転じた後に売る。
  • 株式のトレーディングとは、「徹底的な分析に基づき、元本と十分な収益を保証する」ようなものではない。

上がったら買い、下がったら売る。

厳選された株は市場平均よりもいい値動きをする傾向があります。


値動きはトレーダー個人個人の思惑で形成されるため、人々の心理を読み取るテクニカル分析が必要になります。

こうしたテクニカル分析には、グレアムは元本と収益が保証されていないと否定的です。

詳しくは第8章でも述べられています。



2、短期的な銘柄選択

  • これは収益に上昇が見込める会社、またはその他の好ましい発展が見込める会社の株式を買うことである。
  • 投資家が近々または将来最も有望な株式を選ぼうと血眼になると、2種類の障害に突き当たる。
  • 将来の予測を誤るということもあり得るし、たとえそれが正しくても、現在の市場価格がその予測を既に完全に織り込んだものかもしれない。
  • 短期的な銘柄選択の場合、ウォール街では今年の企業業績はだれもが知るものとなっている。
  • 予測できる範囲内の翌年の業績も、既に慎重に計算されている。
  • よって、主にその年度の優れた業績、または翌年の期待を根拠にして株式を選ぶ投資家は、他人もまた同じ理由で同じことをしていることに気づくだろう。

一般的に決算発表などで業績が良いと、株価は上昇する傾向にあります。

こうした上昇などを狙ってトレードを行うのが、短期的な銘柄選択です。


しかし、こうした手法はプロのアナリストも同様のことを行なっており、予測値はコンセンサスとして発表されています。

業績が良くても、コンセンサスを下回ると株価が下がることがあるくらいです。


この分野で利益を得ようとする場合には、プロと競争する必要があります。

とはいえ、プロの予測すら外れることが少なくないため、予測に自信があるのならば勝負できるのかもしれません。

またプロがカバーしていないような中小型株は狙い目でしょう。



3、長期的な銘柄選択

  • この点については大抵、過去に目覚ましく成長した実績があり、またそれが将来も続くであろうということに重点が置かれる。
  • 他にも「投資家」がまだ大きな成果を出してはいないが、将来、高い収益力をつけることが期待できる企業を選ぶケースもある(このような企業はほとんどが技術系、たとえばコンピューターや製薬やエレクトロニクスなどで、特に見込みのある新製法や新製品を開発していることが多い)。
  • 完全に予測を誤る可能性は、短期的な銘柄選択よりも間違いなく高い。
  • 長期的に将来の収益を予想するというゲームにおいて、それを得意とするプロのアナリストを打ち負かせるだけの洞察力や予言力を持っていると胸を張って言える積極的投資家が、一体どのくらいいるだろう?

いわゆる成長株はもちろんのこと、バイオやAIなど現在は赤字だが将来的に大きく成長する可能性があるような銘柄を選んで投資することを指します。

最近の成功例といえば、アメリカのNVIDIAでしょう。

たった150万円が2億円となったのですから驚きです。


プロのアナリストを出し抜いて、自分の身近な場所から掘り出し銘柄を探し出す手法は、ピーター・リンチが説いています

しかしこうした成功例の裏には、数えきれない失敗例があり2度と株価が元に戻らなくなることはザラにあります。

グレアムから言わせると、これも一種のギャンブルと言えるのかもしれません。



継続的に平均以上の収益を上げるには

  • そこでわれわれは、論理的だが混乱を生むかもしれない次の結論に行き着く。
  • 継続的に平均以上の収益を上げたいなら、投資家は以下の方針に従うしかない。
  1. 本質的に安全で将来性のあることをする
  2. ウォール街では一般的ではないことをする

ではグレアムが勧める、積極的投資家に役にたつ指針とはなんでしょうか?

ざっくり言うと、見向きもされていない割安銘柄を買うことにあります。



見向きもされない株式

  • 普通株は、無関心と根拠のない偏見が原因となって、一般からは過小評価されることがある。
  • 利益を得るために、人が見向きもしないような、つまり過小評価された株式を買うと、大抵は長期にわたって苦労するはめになる。
  • そしてあまりにも人気があり、故に過大評価された株式を空売りすると、勇気とスタミナだけではなく、財布の大きさまで試されるはめになる。
  • 原則は堅実ということだ。しかしそれを成功に結びつけることは、不可能ではないにしても、並大抵のことではない。

見向きもされない株式が日の目を見るのは、実際にはかなりの年月が必要になります。

なんなら一度も注目されないで終わるなんてこともあります。


それまで辛抱強く持ち続けていられるかという忍耐力が求められます。

また逆説的ですが、将来性が期待できそうな銘柄を選ぶと勝率は少し上がります。



「特別な状況」

  • 実にさまざまな「特別な状況」もある。
  • それはこの分野を知り尽くしている人たちが、何年にも及んで最小限のリスクで年20%以上の利益を上げることができると考えているような状況である。
  • たとえば裁定取引不良債権流動化、そしてある種のヘッジ取引などである。
  • 最も典型的なケースは、企業の合弁や買収で、これによってある特定の株式の価格がその発表当日に大幅に上昇する。

またある特殊な状況を利用して儲ける方法も考えられます。

典型的なのはTOB発表で上昇が見込める銘柄をTOB価格手前で買うという手法が考えられるでしょう。
【衝撃】半導体商社「グローセル」がTOB発表。マクニカの完全子会社化へ。貴重なクオカード銘柄がまた一つ消滅・・・ - YouTube


大抵は確実に儲かるとはいえ、ストップ高の抽選待ちとなるため運が必要です。

また数百円の利益であれば成り行きで購入できますが、資金が数ヶ月拘束される上に手続きが面倒であるため、コスパに見合わないかもしれません。



コスパを考える

  • 今日の状況における積極的投資家には、平均的収益よりも多くを達成できるさまざまな可能性がある。
  • 市場性の高い有価証券の巨大なリストには、論理的かつ合理的で信頼できる指標によって、割安と判断し得る多くの有価証券も含まれているに違いない。
  • われわれは、投資家にとってこれらを探すことは、自らのポートフォリオの株式割合から得る平均年間収益に、5%の税引き前利益を追加することが望めない限り、努力に見合わないことだと考えている。

以上、色々な方法を見ていきましたが、他にも稼げる手法はあると思います。

そんな時に意識したいのが、コストパフォーマンスです。


時間や労力をかけた割に、リターンがイマイチではあまり意味がないでしょう。

最低でも5%の利益が得られるような方法が見つかると吉です。




まとめ

  1. まずは自分の収益が減らないことを念頭に置かなければいけない。
  2. 何にもまして大切なのは、積極的な投資家がどのような行動を取れば正当な成功の機会を得ることができ、逆にどのような行動を取れば失敗するのかについて、明確な概念を持つことから始めることだ。
  3. 平均以上の収益を得るには、あなた流の運用方針が必要になる。

おわりに

簡単に真似できる手法であれば、それは瞬く間に広がり市場に影響を与え、結局は市場平均以上の収益を出し抜くことができなくなります。

そのため真似のしづらい独自の稼ぎ方をマスターする必要があるでしょう。


真似しにくい理由は、ルール化しづらいものなのか、割く時間なのかは人それぞれです。

できることならそんな手法の発掘に、当ブログが役に立てたのなら幸いです。

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