はぐれ猿でも、投資がいいんだ。

ふりむけばやさしさに飢えた弱肉強食の世界で

賢明なる投資家まえがき①〜本書の目的

偉大なる投資家バフェットが弟子入りしたのが、今回から扱う本書の著者ベンジャミン・グレアムです。

バリュー株(割安株)投資の教科書とも言うべき、本書の目的を最初に押さえましょう。

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本書の目的

  • 本書の目的は、投資戦略を決定したり、それを実行に移すための手法を投資の初心者にも理解できる形で示すことにある。
  • 証券分析に関してはあまり触れずに、主として投資の原理や投資家の取るべき姿勢を取り上げる。

投資の神様ウォーレン・バフェットを持ってして、最高の1冊と言わしめるファンダメンタル分析*1を用いたバリュー株(割安株)投資の名著です。

バフェットは本書に寄せた序文で、生涯を通じて投資で成功するためには、意思決定のための適切かつ知的なフレームワークと、それを働かせないような力から感情を一定に保つことができる能力が必要であると述べています。


著者ベンジャミン・グレアムが説明している行動やビジネス原則に従えば、大勝ちすることはないですが、けっして投資で酷い目に遭うことはないでしょう。



歴史的パターン

  • 本書が多くのページを割いて取り上げるのは、金融市場の歴史的ー時には数十年までさかのぼるーパターンである。
  • 証券投資を賢明に行うには、多種多様な債券や株式がさまざまな状況下で実際にどういう動きを示したかについて、あらかじめ適切な知識を得ておく必要があるからだ。
  • 投資家が将来的に、過去と同じ状況に一度ならず遭遇する可能性は高いのだ。

本書では頻繁に事例を取り上げて、読者に有益なことを教えてくれます。

特に暴落や好況の場面がどういったことで起こり、どのようなことが起こったかを知るうえでは、相場パターンを把握するにはとても役に立ちます。


楽観的な市況において、「誰でも億万長者になれる」といった、いかに自信に満ちた誇大化された目標が受け入れられていたことか。

これは現在の好況においては、注意しなければいけません。


さてしかしながら、テクニカル分析に代表されるチャートパターンを本書は扱いません。

こういったものは数学的な根拠がないためかと思われます。

人間の心理が反映されたチャートパターンは、本書ではある種の狂気として扱われることもあります。



「億り人になる方法」を示した本ではない

  • この本は投機家のために書かれたものではないので、市場でトレーディングする人々は読者として想定していない。
  • 彼らのほとんどは、チャートなどを使ったり、機械的な手法を用いて売買のタイミングを計っている。

本書はファンダメンタル分析を用いて手堅く儲けることを目的のひとつとしているため、ファンダメンタルを無視したデイトレードだったり、割高になりがちな成長株投資は対象とはしていません。

これらのトレーダーは、主に短期で利益を得ることを目的としているからです。


バリュー投資では中長期で投資を行うため、所有している間の配当も大事にします。

上がったら買って下がったら売ることはせず、あくまで会社の価値と比べて買い時かどうかで、売買(主に買い)を判断して、会社の価値が市場で見直されるまで持ち続けるスタンスを取ります。


この点、チャートや指標を使わないため、度々テクニカルを用いたトレーダーと比較されがちです。



テクニカル分析では生涯にわたって成功しない

  • いわゆる「テクニカル・アプローチ」のほぼすべてに適用可能な大原則とは、ある株や市場が上がれば買って、下がれば売る、というものである。
  • これは健全なビジネス感覚とは対極をなしており、ウォール街で成功し続けられるべくもない。
  • 過去五十年以上にわたる、われわれ自身の株式市場での経験と市場観察によれば、こうした「マーケットへの追随」によって長期にわたり利益を上げた者などひとりもいない。

人気はあっても誤った手法であると明言したい、とグレアムははっきりと述べています。

詳しくは第8章で述べているので、そこまで反論は我慢しましょう笑


テクニカル投資法で億り人になった人が、例えばリバモアといった、結局破産した凄腕トレーダーは数知れず存在します。

大儲けするにはそれだけリスクを大きく負わなければならないということですね。


ローリスクミドルリターンを求めるのが、バリュー投資と言えるでしょう。

私もこの手法で数百万円の利益を得ています。

ただオニール(テクニカル)の投資法の方が、通算では大きく儲けているので、今のところはどちらが優れているかは悩ましいところです。

結果は、おそらく年老いてから出るものでしょうから。



誰でも金持ちになれるという幻想の否定

  • 1969年から1970年にかけてダウ平均が甚だしく下落したことによって、過去20年間に膨らんでいった幻想は破られたようである。
  • その幻想とは、普通株の主要銘柄はいついくらで購入したとしても最大の利益が保証されており、途中で損失が出ても市場はまた上向いて新しい高値圏に入るのですぐに損は取り戻せる、というものである。
  • 保有株式の価値が著しく、また恐らく長期にわたって下がることがある(そして上がることもある)ということを、投機家と株式投資家の双方が再び認識したという点において、ようやく株式市場は「正常化」したのである。

「株価は必ず上がる」「いついくらで購入しても必ず利益が出る」「途中で下げてもいずれ上向く」

そのような上手い話は存在しません。

繰り返します、そんな話は幻想です。


2度と買値に戻ることもなく終わった銘柄は数え切れないほどあります。

だから、私たちはファンダメンタル分析を行い、クズ株を避けなければいけないでしょう。



クズ株がプロに買われるほどの熱狂

  • 二流、三流のクラスに属する企業の普通株、なかでも特に最近設立された企業の普通株にとっては、前回の相場の下落による大混乱は破滅的なものになった。
  • このようなケースは過去にもあったー1961年から62年にかけて同レベルのことが起きているーが、今回はこうした株のうちで投機性が高く、明らかに過大評価されたものを投資信託会社が組み入れていたという、以前にはなかった要素が加わっていた。
  • 熱狂のあるところに素晴らしい結果が生まれる場合もあるが、ウォール街における熱狂は大抵、破滅へと続くのだということを初心者のみならず投資経験者も肝に銘じておかねばならない。

市況が熱狂している時には、いわゆるクズ株が新規上場することも珍しくありません。

そんなクズ株も、大衆の狂気によって株価はひたすら上がります。

そして儲かるならと、プロも投資信託に組み入れる事態が生まれるのです。


熱狂があれば、大抵破滅につながるということを過去の歴史から学ぶべきでしょう。

本書ではそんな事例をいくつか知ることができますよ。



まとめ

  1. 本書の目的は、投資戦略を決定したり、それを実行に移すための手法を投資の初心者にも理解できる形で示すことにある。
  2. グレアムが説明している行動やビジネス原則に従えば、大勝ちすることはないですが、けっして投資で酷い目に遭うことはないでしょう。
  3. 証券投資を賢明に行うには、多種多様な債券や株式がさまざまな状況下で実際にどういう動きを示したかについて、あらかじめ適切な知識を得ておく必要がある
  4. 投資家が将来的に、過去と同じ状況に一度ならず遭遇する可能性は高いのだ。
  5. テクニカル分析では生涯にわたって成功しない
  6. 保有株式の価値が著しく、また恐らく長期にわたって下がることがある(そして上がることもある)

おわりに

今回からバリュー投資の教科書である本書を取り上げたいと思います。

本書は投資初心者に一度は目を通して欲しいほどの名著です。

かなり手堅い投資方針を取るため、投資で酷い目に遭うことはなくなるでしょう。


熱狂に包まれている今だからこそ、過去の動向も知っておくべきです。

本書を読むにつれて、今後の方針もきっと定まっていくでしょう。

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*1:ファンダメンタル分析とは、企業の価値と株価とを比較検討することで株式相場を分析する手法です。主に貸借対照表損益計算書といった財務諸表等を使います。