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証券分析第8章①〜債券投資の基準①

これまでに、確定利付き証券を選ぶ際の3つの基本原則を学んできました。

今回は、その中でも最も重要とされる「第4の原則」について詳しく見ていきましょう。

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証券の選択における4つの原則

  • われわれが検討している確定利付き証券の一般的なアプローチとして、個別銘柄の選択でも適用できる次のような4つの原則を提案したい。
  1. その証券の安全性は特定の先取特権やその他の契約上の権利にあるのではなく、すべての責務を履行できるその発行会社の財務能力によって決まる。
  2. そうした能力はその企業の好況期ではなく不況期で明らかになる。
  3. その証券の低い安全性は表面利率をどれほど高くしても補うことはできない。
  4. 投資適格債券の選択は「消去法」の原則に従うとともに、発行会社の定款に記載された条項については厳しい基準を適用すべきである。

グレアムが提言する確定利付き証券を選ぶ原則を示しています。

今回はそのうち第四の原則について見ていきましょう。



Ⅳ、第四の原則━━厳しい安全基準を適用する

  • 優良債券の選択は全体として消去のプロセスであることから、安全性に欠ける債券を除外するための明確な原則と基準を適用すべきである。
  • 1927〜33年の経験を踏まえれば、今後は投資基準を全体的に厳しくすべきであり、そのためには投資対象となるすべての債券を貯蓄銀行やトラスト・ファンドが採用している適法投資基準のふるいにかけなければならない。

二流債券を除外するために、債券選びのスタートとなる厳しい安全基準を適用すべきと述べています。

大相場から世界恐慌までの流れを踏まえると、安全基準は不況期にも耐え得る厳しい安全基準とするべきでしょう。




出発点となるニューヨーク州法令

  • 実際問題として、債券投資家は貯蓄銀行の投資を規制している法令・規則の基準を取り入れることでかなり満足すべきリターンを得ることができるだろう。
  • しかし、それらの法令・規則は貯蓄銀行にとってはベストの理論的基準かもしれないが、「一般的な投資原則」として適用するにはあまりにも不備が多すぎて使えないこともある。
  • それゆえ包括的な投資基準を作成する場合には、最終的な手本というよりはガイドラインまたは出発点としてニューヨーク州法令を検討すべきであろう。

何の基準もない状態よりは、すでに存在する法令や規則をもとにルールを作る方が理にかなっています。

とはいえ、出発点となるニューヨーク州の法令は非常に幅広いものの、その多くは時代に合っていなかったり、理論的・科学的な根拠が十分でないものも多いようです。

そこで本書では、ニューヨーク州法令をあくまで「参考材料」として分析し、ルール作りの手掛かりとする立場をとります。



ニューヨーク州法令の一般基準

  • ニューヨーク州法令に規定された債券投資の一般基準は、①発行体の性質と立地、②発行体の規模、③発行証券の条件、④債務返済・配当能力の実績、⑤支払利息に対する収益の比率、⑥債券発行残高に対する資産価値の比率、⑦債券発行残高に対する株主資本の比率━━に大別される。

ニューヨーク州法令に規定された債券投資の一般基準は、7つに大別されます。

今回は①発行体の性質と立地について見ていきます。



1、性質と立地

性質と立地
  • 貯蓄銀行の投資を規制する法令の最も際立った特徴は、一部の広範な部門の債券を完全に除外していることである。

引用画像を見ると、例えばすべての工業債を投資不適格とするといったように、一部のジャンルの債券に投資するのを全面的に禁止しています。



全面禁止の誤り

  • われわれの考えによれば、投資範囲が極めて限定されてしまったのは長年にわたり多くの債券投資家が手痛い打撃を受けてきたことがその大きな原因である。
  • こうした理由から、そのような除外分野への債券投資を全面的に禁止することには強く反対する。
  • 工業債のなかにも厳しい基準をクリアして投資適格ランクを立派に維持している債券もあるため(その数は少ないが)、そうした極端な基準の適用は投資家の反発を買うだけである。
  • さらに投資対象を一部の最優良な債券だけに絞りすぎれば品不足となり、その結果投資家はさまざまな劣後証券にも手を出すようになるだろう。

ニューヨーク州の法令では、除外分野のすべての債券は基本的に安定性に欠けるため、貯蓄銀行の投資には適していないと規定しています。

しかし全面禁止にするのはやりすぎでしょう。

例えば工業債のなかにも、数は少ないかもしれませんが厳しい安全基準をクリアするものもあります。

また投資対象を絞りすぎると品不足となり、かえって劣悪な証券に手を出してしまいがちです。



その分野の不安定さを認めながらも、安定した個別銘柄に注目

  • 以上の理由から、さまざまな債券を容認か除外かといった二者択一のやり方でふるい分けるよりは、その分野に内在する不安定さを承知しながらも、「個別銘柄」の安定した実績に着目するのが賢明な方法であろう。

したがって、特定のジャンル全体を一律に「投資可」や「投資不可」と判断するのではなく、ジャンル自体に不安定な要素があっても、その中から安定した個別銘柄を選んで投資を検討する方が賢明です。

たとえば工業債の場合、ガスや電力といった公益事業債よりもリスクが高いため、インタレスト・カバレッジ(利息支払余裕率)の基準をより厳しく設定するのが適切といえるでしょう。



外国政府債

  • 一般に外国政府債を購入する場合には、その国の政治経済的な安定さや債務の確実な返済能力といった要因も十分に検討しなければならない。

外国政府債への投資に関して言えば、他の債券と比べて検討する要素が多いです。

それは例えば、その国の政治経済的な安定さや債務の確実な返済能力といった要因が挙げられます。



政治的要因

  • 外国政府債の元利払いはあまり当てにならないのである。
  • 外国政府債の場合、元利の利払いが滞ってもその保有者には直接的な救済策がない。
  • たとえ特定の利益権や資産が担保として付いていても、それらの担保価値が失われれば投資家としてはまったくのお手上げである。
  • 外国政府債は理論的にはその国のすべての資産に対する請求権があるといわれても、実際にその資産が対外債務をどの程度返済できるかはひとえにその政治的安定さにかかっている。
  • 第一次世界大戦後に深刻な国際的混乱が起こったため一部の外国政府債の利払いはデフォルトを余儀なくされたが、それがほかの外国政府債のデフォルトの口実になってしまった。
  • そして、各国の政府債のデフォルトがあまりにも頻発した結果、債務返済に対する発行国の責任がぼやけてしまったのである。
  • こうした現実に直面すると外国政府債の投資家としてはもはや、困難な時期でもその債務は必ず返済しますという外国政府の約束の言葉をそのまま受け取ることはできないだろう。

本書が書かれた当時は、第一次世界大戦終結後に多くの外国政府債がデフォルトを起こしたため、グレアムはそれらを信用できないと述べていました。

しかし、その後の二度の世界大戦を経て平和が続く現代では、新興国の一部を除けば外国政府債は比較的安定しています。

本書の指摘どおり、確かに元利払いが完全に保証されているわけではありませんが、今の時代では十分に有力な投資先の一つと考えられるでしょう。



対外貿易

  • 投資家としては、理想主義的な使命感やアメリカの輸出企業に貢献するといった安易な理由でリスクの大きい外債に大切なおカネを投じないほうがよい。

当時は、世界経済の立て直しには大規模な国際借款の再開が欠かせないという議論が盛んに行われていました。

実際、国家間の信用供与は各国の貿易を回復・発展させるうえで非常に重要な役割を果たします。

しかし投資家としては、そうした理想や国際的な大義よりも、まずは自分の資金をどう守るかを冷静に考えることが大切です。



各国の信用格付け

  • 一部の国はこれまでの実績に基づいて高い信用格付けを維持しているため、好業績の国内企業と同じように投資適格に値する。

どの種類の証券に投資する場合でも、ある程度の見分ける力や判断力が必要です。

外国の債券に投資する場合も、基本的には他の債券に投資するのと同じ考え方で構いません。

国債券には信用の格付けがついているので、それを参考にすると投資判断がしやすくなります。



外国政府債の購入に反対する理由

  • 外国政府債の購入に反対する理由のひとつは、外国政府債の信用格付けが基本的に信用できないことである。
  • 実際にこれまでの経験に照らしてみると、満足する利益が得られたケースは極めて少ない。
  • 外国政府債のこうした信用失墜をばん回するには、長期間にわたって国際債務を期限どおりに返済するという実績を積む一方で、世界秩序を回復することも必要であろう。

当時はデフォルトが相次いでいたため、信用格付けそのものを信頼することができませんでした。

しかしその後、各国が債務の返済実績を重ね、国際的な秩序も安定してきた現代では、状況は大きく変わっています。

繰り返しになりますが、いまの時代であれば、外国債も十分に検討に値する投資対象といえるでしょう。



外国企業債

  • その企業がどれほど繁栄していようとも、基本的に外国企業債は国内に本拠を置く企業の債券ほど安全ではない。
  • 政府はその徴税力によって、国内企業の資産と利益に対して無限の優先請求権を持つ。
  • 別の言い方をすれば、政府は個人の債券保有者からその資産を取り上げてそれを対外債務の返済に充てることもできるのである。
  • しかし現実には、政府がそうした徴税力を発揮するためにもまずは国内の政治的安定を図るのが先決である。

国債が安全ではないという結論からすれば、外国企業が発行する社債も同様に安全とは言い切れません。

ただし、政治的に安定した国家であれば、万が一その国の企業がデフォルトした場合でも、投資家が担保資産に対して請求権を行使することを、政府が認める可能性は十分にあるでしょう。



外国政府の影響を受ける

  • 債券保有者が発行会社のデフォルトに際して特別な法的救済策(担保権の実行など)を取れるという点では、外国政府債より外国企業債のほうが有利である。
  • このように、外国企業は政府に比べて債務返済の大きな責任を強いられているのは確かである。
  • しかしその一方で、政府債のデフォルトという事態になればその国の企業債の保有者も悪影響を受けることは避けられないだろう。
  • たとえその発行会社に十分な返済能力がある場合でも、海外送金の規制が実施されればドル建ての利息も受け取ることができなくなるからである。
  • さらに債権者が企業の資産の場所から遠く離れているうえ、政府によるさまざまな規制があれば、担保付き外国政府債の実質価値も大きく損なわれてしまうだろう。

外国企業は当然、その国の政府の影響を受けるため、状況によっては元利払いが滞るリスクもあります。

しかし、政治的に安定した国であれば、そのような事態が起こる可能性は低いでしょう。

したがって、国内企業債ほどの安全性はないにしても、外国企業債も十分に検討に値する投資対象といえます。




まとめ

  1. 確定利付き証券への投資にあたっては、厳しい安全基準を適用する。
  2. 特定のジャンル全体を一律に「投資可」や「投資不可」と判断するのではなく、ジャンル自体に不安定な要素があっても、その中から安定した個別銘柄を選んで投資を検討する方が賢明である。
  3. 外国政府債は確かに元利払いが完全に保証されているわけではないが、今の時代では十分に有力な投資先の一つと考えられる。

おわりに

今週は、これまでハイテク銘柄に集中していた資金が、他のセクターへと流れ始めました。

その影響もあって、停滞していたバリュー株がようやく息を吹き返し、今週は堅調な動きを見せています。


一方で、これまで市場を引っ張ってきた先導株が軒並み下落しているのが気になるところです。

こうした兆候を見ると、相場全体の天井が近づいている可能性も否定できません。


来週に向けては、各企業の決算内容を改めて見直しながら、万が一の下落に備えた態勢を整えておこうと思います。

相場が強気のときこそ、気を緩めずにリスク管理を徹底したいものです。

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