はぐれ猿でも、投資がいいんだ。

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【会計士が斬る】1605 INPEX【銘柄分析】

『賢明なる投資家』で説明されている内容に基づいて、会計士が銘柄分析を行います。

今回は【1605 INPEX】について分析します。

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注意事項

  • 情報の精査には細心の注意を払っていますが、ミスや情報が劣化する可能性があるため、あらかじめご了承ください。
  • 1株当たり利益の算定では、潜在株式考慮後の金額を使用しています。
  • 投資判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

会社概要

ロゴ
  • 石油・ガス開発の国内専業大手
  • 政府が黄金株保有
  • 豪州でLNG案件(イクシス)を操業。
  • 洋上風力や地熱なども強化。




定量分析

データ

『賢明なる投資家』第14章の7つの基準を用いて定量分析を行います。
gyatuby.hatenablog.com

1.企業の適切な規模:〇

平均以上の変動の影響を受けやすい小企業を排除するための基準です。

時価総額は2兆円を超えており、大企業といえます。

2.十分に健全な財務状況:〇

財務の安全性の目安である自己資本比率50%を越えているものの、流動比率200%を下回っています。(2024年12月末時点)

とはいえ、当座比率は目安の100%を超えており、資金繰りは今のところ特に問題はないと思われます。


なお、これらの基準は株主還元の余力も示しています。

現状、累進配当を導入するなど、株主還元に積極的な姿勢を見せていますが、その動向には注意する必要はあります。

3.収益の安定性:△

コロナ禍の2020年に最終赤字を記録しています。

特殊な事態による景気後退により、原油の需要が落ち込んだことが原因であり、集計対象にするか迷いましたが、当社は景気敏感株に入るために一応加えました。


また安定指数は、過去10年間において、それに先立つ三年間の平均値と比べて1株当たり利益の最大の減少を計算しています。

つまり、減少がゼロなら安定性100%ということです。

当社は、着実な成長を果たしています。



4.配当歴:△

20年連続ではありませんが、2006年会社設立以来、何らかの配当を出しています。

そのため、配当が無配になるリスクについて心配する必要はないでしょう。

5.収益の伸び:〇

2022年~2024年の平均と2012年~2014年の平均を比べると、成長率は215%で、年率約8%です。

目安となる成長率3分の1を上回っています。

6.妥当な株価収益率:〇

現在の株価は、目安となる過去3年間の平均収益の15倍を下回っています。

PER15倍となる目標株価は4,790円ですが、『賢明なる投資家』では過去7年の平均収益の25倍を超えないことを防衛的投資の条件としています。

なお、過去7年の平均収益の25倍となる目標株価は4,235円になります。

7.妥当な株価純資産倍率:〇

現在の株価は、目安となる純資産価値の1.5倍を下回っています。

なお、PBR1.5倍となる目標株価は6,039円です



定性分析

定量分析では見ることができない、質的項目について分析していきます。

業界分析(業界地図などより)

1.石油・資源(世界)
  • OPECプラス内での足並みの乱れが露呈。
  • 1バレル当たり70~90ドルが中心と想定されたWTI価格は24年~25年にかけて60~90ドル中心に見るべきとの専門家の指摘もある。
  • 米大統領の政策の行方や中東情勢不安定化もあり原油価格は先行き不透明。
  • 化石燃料への回帰と脱炭素のはざまで、業界再編が続く。



直近の決算分析

決算
  • 原油価格が若干下がったものの、為替の円安影響で増収増益。
  • 原油の販売量増加も増収に寄与。
  • 原油の増収・増益による税金費用の増加はあったものの、グループ内での再編による税金・税効果の最適化等により法人税等は減少、最終増益に寄与。




総括

化石燃料は、最近までは脱炭素の流れで先行きが不安視されていましたが、直近決算でも好調さを示しています。

INPEXのように、小さなマイナスに目をつぶれば、目標株価の高さという大きなプラスを得られる銘柄は少なくありません。

このような銘柄は、どちらかというと防衛的投資家よりも、積極的投資家向きなのかもしれません。


INPEXは累進配当を採用しており、配当利回りも4.36%と高配当株投資に向いているといえるでしょう。

また長期保有でクオカ―ドをもらえることから、長期投資にも最適かもしれません。

おわりに

配当・優待権利日も迎えて、権利落ちでかなりの下落となってしまいましたが、これからの配当・優待が楽しみな時期になりました。

私はといえば、さらなる配当取りを狙っていたのですが、欲張って買えずじまいとなってしまいました。

もちろん銘柄にもよるのでしょうが、思っていた以上に配当・優待取りの買いのパワーは強いように感じます。

次回は押し目と思ったら、突っ込む勇気をもって買っていきたいと思います。

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