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賢明なる投資家第16章②〜ワラント(新株予約権)の基本と問題

今回はワラント(新株予約権)について学んでいきます。

この分野は本書出版以降に大きく発展していますが、まずは基本的な構造と問題点を押さえていきましょう。

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ストックオプション・ワラントとは

  • 普通株を行使価格で購入する長期的権利。
  • われわれは最近のストックオプション・ワラントの発達を、ほぼ欺瞞、実際の脅威、大惨事の温床だと考えている。

ストックオプション・ワラントとは、

  • 一定の価格(行使価格)で
  • 普通株を購入できる
  • 長期的な権利

のことを指します。

現在では「新株予約権」とほぼ同義ですが、本記事では本書の表現に従います。

そして著者である ベンジャミン・グレアム は、この仕組みを次のように厳しく批判しています。

「ほぼ欺瞞であり、重大な脅威であり、大惨事の温床である」

一見すると有用な制度に見えますが、なぜここまで否定的なのでしょうか。



ワラントの復活と変質

  • 元来、ストックオプション・ワラントはその時々に応じて債券に付けられるものであり、通常は部分的転換権と似たようなものだった。
  • 量的に見てもさほど問題はなく、それゆえに害もなかった。
  • 新規不動産ベンチャー、大手銀行の系列会社の資金調達のための標準的な手法として発達したのである。
  • 同価格で追加普通株を買うことのできる普通株とワラントを同数一組にして売るという手法である。

もともとワラントは、

  • 債券に付随する「おまけ」のような存在
  • 転換社債に近い性質

として使われていました。


この段階では発行量も限定的で、市場への影響は小さいものでした。

しかしその後、

  • 不動産ベンチャー
  • 金融機関の関連会社

などの資金調達手段として、

「普通株+ワラントのセット販売」

という形が広まりました。


ここからワラントは、単なる付随物ではなく、資本構造の一部として扱われるようになります。



問題の本質:既存株主の権利が移転する

  • 通常、企業の経営者が普通株発行による増資を望んだとき、既存の株主は追加割り当ての優先権を持つ。
  • この「新株引き受け権」は、配当を受け、企業の成長に参加し、経営者を選べる権利と共に、普通株の所有者となる価値のひとつである。
  • 追加購入権の付いたワラントが個別に発行されると、通常の普通株が本来持つ価値を部分的になくし、それを別の証券に移すことになる。
  • 配当を受ける権利、企業の売却もしくは倒産による資産の売却益を受ける権利、あるいは決議権などのあるワラント発行と同じようなことである。

本来、企業が増資を行う場合、既存株主には

  • 新株を優先的に引き受ける権利(新株引受権)

が与えられます。


これは株主にとって非常に重要な権利であり、

  • 持分の維持
  • 価値の希薄化防止

という役割を持っています。


しかし、ワラントが個別に発行されるとどうなるか。

👉 本来株主が持っていた「将来の購入権」が
👉 ワラント保有者に移転してしまう


つまり、

普通株の価値の一部が切り離され、別の証券に移される

という構造になります。



なぜ市場はこれを見逃すのか

  • では、なぜこのようなワラントは基本的な資本構造の一部として生み出されたのだろう?
  • それは単に、人々が金融に関して無知だからである。
  • 普通株はワラントの発行によって価値が下がるということに気づかないからである。
  • このため、市場では株式とワラントの組み合わせは通常、株式単体よりも価格が高くなる。

理論的には、
・ワラントが発行される
→ 普通株の価値は下がる

はずです。


しかし現実には、

  • 株式+ワラントのセットは
  • 株式単体より高く評価される

ことが多くあります。


グレアムはその理由をシンプルに指摘します。

👉 投資家がその構造に気づいていないから

つまり、

価値の移転(株主→ワラント)を正しく認識していない

ということです。



投資家としての対応:どう評価するか

  • ワラントの存在を許容する最も簡単で恐らく最良の方法は、その市場価値と同等の金額を普通株の資本金に加え、一株当たりの「真の」市場価値を増すことである。
  • 優先証券の販売に伴いワラントが大量に発行されている現状では、株式転換された際の株式購入代金が、当該債券や優先株を償還するために使われたと仮定して調整されるのが慣わしである。
  • この方法は行使価値を上回るワラントのいわゆる「プレミア価値」を十分に見込んでいない。

では、このようなワラントをどう扱うべきか。

グレアムは一つの調整方法を提示しています。

  • ワラントの市場価値を資本に加算する
  • その上で「真の1株価値」を再計算する


これはつまり、

👉 潜在的な株式希薄化を事前に織り込む

という考え方です。


ただし実務上は、

  • 計算が煩雑
  • 日本市場では流動性が低い

といった理由から、必ずしも実用的とは言えません。




まとめ

  1. ワラントは「将来株を買える権利」という金融商品
  2. 発行されると、既存株主の価値が一部移転する
  3. 市場はこの希薄化を十分に織り込まないことがある
  4. 分析時は潜在株式として調整する視点が重要

おわりに

ワラントの本質はシンプルですが、

👉 「誰の価値が、誰に移っているのか」

という視点を持たないと、非常に見落としやすい論点です。

グレアムが強く批判したのも、この構造的な不公平さにあります。

制度そのものよりも、「それをどう評価するか」が投資家に問われていると言えるでしょう。

次回
gyatuby.hatenablog.com


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