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賢明なる投資家第7章③〜積極的投資家によるTOB候補銘柄

積極的投資家の中には、「特別な状況」下に置かれた銘柄を購入する投資家が存在します。

今回は果たしてどんな状況なのか見ていくとともに、二流株の購入に関する注意点も見ていきましょう。

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普通株の売買(前回)

  • 積極的投資家が普通株を売買するとき、以下の4つの行動が特徴的に表れる。
  1. 相場が下がっているときに買い、逆に上昇しているときに売る(前々回)
  2. よく吟味した「成長株」を買う(前々回)
  3. 様々なタイプの割安株を買う(前回)
  4. 「特別な状況」下の株式を買う(今回)

gyatuby.hatenablog.com
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今回は「特別な状況」下の株式を買う手法について、見ていきましょう。



4:「特別な状況」下の株式を買う

  • 投資において特別な状況を利用するということは、やはり特別なテクニックと、特別な感覚を必要とする。
  • 恐らく積極的投資家のなかでも、この分野に手を染める人はわずかだろう。

最近まで、この特別な状況下でやり方を心得ている人は、魅力的な収益を得ることがほぼ保証される分野でした。

この方面でのセンスを持った人は、長年の研究・勉強を重ねなくともコツを覚え、立派な実践的投資家となりました。

こうした売買の一般的な性質と起源の概要を、本書はわかりやすい例を交えて説明しています。



TOB候補の株

  • 製品の多様性という福音を受け入れる経営者が増えるにつれて、大企業による小企業の吸収合併が増加し、そこで典型的な「特別な状況」が生じている。
  • このような大企業は、参入したい分野での新たな事業をゼロから始めるよりは、そこに既にある企業を獲得する方が得策だと考える。
  • このような合併を可能にするために、そして獲得したい小企業の株主の賛成大多数を得るためには、ほとんどの場合、現在の株価をはるかに上回る価格を提示する必要がある。
  • このような企業買収は、この方面に精通し、豊富な経験から的確な判断力を体得した人々にとっては、利益を得る面白いチャンスとなる。

最近でもよくニュースで流れるTOB(企業買収)やMBO(経営陣による買収)。

買収される側の株主となっていると、このようなラッキーに出くわすことがありますが、これを狙って投資する人もいます。


買収される際は、株価にプレミアムを上乗せして、高く買ってもらえるのが一般的です。

ニュースが流れた後でも購入するチャンスはありますが、ほとんどの場合でストップ高に張り付き抽選に漏れます。



投資方針に妥協は許されない

  • 投資方針はまず、その投資家が防衛的(受動的)な立場をとるか、攻撃的(積極的)な立場をとるかによって決まる。
  • 積極的投資家は証券価値に関する知識を相当持っていなければならない。
  • その量たるや、自分の証券取引をひとつの事業として考えるほど必要である。
  • この考え方において、受動的、積極的という二つの立場の中間などないし、どちらかへの移行もない。
  • 多くの、恐らくほとんどの投資家は、このような中間に自分を位置づけたがる。
  • われわれはこれを妥協とみなす。このような考え方では、達成感よりも失望を味わうばかりである。

防衛的投資家と積極的投資家のどちらかを選ばなければいけません。

その中間は存在しません、選んだとしても失望を味わうだけです。



大多数は防衛的投資家であるべき

  • つまり大多数の投資家は、防衛的な態度をとるべきなのである。
  • 彼らはサイドビジネスとして投資を始めるだけの時間、決意、そして精神力を持ち合わせていない。
  • よって彼らは防衛的なポートフォリオから得られる(またはそれ以下の)収益で満足するべきであり、収益を増やそうとして他の道に踏み込む誘惑には断じて逆らわなければならない。

積極的投資家になるには、幅広い知識と膨大な労力が必要になるため、ほとんどの投資家は防衛的投資家となるべきでしょう。

そのため市場平均の収益で我慢しなければなりませんが、むやみに利益が減るよりマシだと思って諦めるしかありません。



積極的投資家に求められるビジネス感覚

  • 積極的投資家は、投資について十分訓練を積んで判断力を身につけ、どのような証券においても、確固としたビジネス基準に照らし合わせたときに確実に見込みがあると思って初めて、それに投資するべきである。
  • 防衛的投資家には、安全性、シンプルな選択、満足のいく結果が約束されているという三つのことを、心理的かつ数字的に満たすべく教えてきた。

投資についてある程度の知識があり、今後も時間や労力を惜しまない覚悟がある人は、それでやっと積極的投資家という選択肢が現れます。

積極的投資家は、ビジネスを営む感覚で確実に収益の見込みがあると思って初めて、それに投資するようにしましょう。


一方、防衛的投資家には、安全性や単純さ、市場平均の収益を得るという三つのことを、心理的かつ数字的に満たされるよう本書では語られています。



満額で買ってはいけない3種類の証券

  • われわれは次の3種類の証券について、それを「満額」で買うべきではないと述べた。
  1. 国債
  2. 通常の優先株
  3. 新規公開を含む二流株
  • 「満額」とは、債券や優先株ならばほぼ額面通りの価格を、また普通株ならばその企業の事業価値を正しく表していると思われる価格のことをいう。
  • ほとんどの防衛的投資家は、価格にかかわらずこのような証券を避け(第1章にも記載)、

積極的投資家は、それが割安価格ーわれわれの定義する割安とはその証券の評価価値の三分の二以下であることであるーのときのみ購入する。

通常であればあらゆる投資家に適すると思われる様々な証券を、勧められないものとして投資対象から除外しました(第5章参照)。

今回は、これらの除外項目の中から積極的投資家にとって買うことはないか検討しています。


結論から言うと、外国債優先株、二流株については、額面の少なくとも「満額」の3分の1以上割引されている価格で買いましょう。

とはいえ外国債については、万が一の法的措置が及ばないため避けるべきでしょう。

また投資適格の優先株についても、保険会社などが優先株を所有することによって税法上の特典が受けられるメリットがない限り購入しない方が良いです。



二流株の価格水準

  • 二流株の価格は、その本来の価値よりもずっと低い水準を中心に上下している。
  • その価格が本来の価値に追いついたり、それを超えたりもすることもある。
  • しかしそれは強気相場の天井で起こるのであり、実際には相場が加熱しすぎていて、価格が不健全な高さに釣り上がっている場合が多い。
  • つまりわれわれが忠告したいのは、積極的投資家は二流株の性質を知り尽くし、これらの銘柄にとって標準と思われる相場水準を、購入の際の基準として受け入れるべきだということである。

つまり割安価格で買うべしということに尽きます。

どんなにその二流株が魅力的でも、額面通りで買ってはダメです。



とはいえ厳密に二流価格で買う必要はない

  • 第5章の終わりで、一流企業と二流企業の間に明確な線は引きにくいと述べた。
  • この境界線にある株式の多くは、中間的な価格変動を見せる。
  • 投資家がこのような株式を額面通りまたは評価価値からわずかに低い価格で買うのは、決して非論理的なことではない。
  • 理論的には、これは一流企業の株式とほとんど変わりなく、そして遠からぬ将来、一流の格付けに入る可能性があるからである。
  • つまり、一流銘柄と二流銘柄の区別をあまりにも厳密にする必要はないのである。
  • それをしてしまうと、わずかな質の違いが正当な購入価格に大きな違いを与えてしまうからである。
  • こう述べることによって、株式の分類における中間地帯を認めたことになる。

とはいえ、厳密に一流と二流が区別されるわけもなく、その中間地帯は存在しています。

あくまで個人の常識の範囲内で、一流か二流かの線引きが決まります。


だからバーゲンセールになるまで、ある銘柄を購入するなと言ってるわけでもありません。

一流か二流かの判断に迷うと思うなら、額面通り(もしくは少し下回る価格)で買うことになんら不合理はないのです。




まとめ

  1. 投資において特別な状況を利用するということは、やはり特別なテクニックと、特別な感覚を必要とする。
  2. 投資方針はまず、その投資家が防衛的(受動的)な立場をとるか、攻撃的(積極的)な立場をとるかによって決まる、中間はない。
  3. 積極的投資家は、投資について十分訓練を積んで判断力を身につけ、どのような証券においても、確固としたビジネス基準に照らし合わせたときに確実に見込みがあると思って初めて、それに投資するべきである。
  4. 二流株の価格は、その本来の価値よりもずっと低い水準を中心に上下しているため、価値の満額で買ってはいけない
  5. ただし、一流企業と二流企業の間に明確な線は引きにくいため、額面通りまたは評価価値からわずかに低い価格で買うのは、決して非論理的なことではない。

おわりに

TOBは現在でも活発的に行われており、少し前には上場会社による上場子会社の買収がテーマとなっていました。

今でもキリンによる関連会社ファンケルへのTOBがあります。

そうした流行に敏感に反応し、先回りできる積極的投資家は大きな利益を得ることができます。


こうしたものは勉強ももちろん大事ですが、独特のセンスがモノを言います。

はたしてTOBされる価値のある銘柄か、親会社にとってTOBする意義があるかなど。

積極的投資家にビジネス感覚が必要とされるのは、こうした事情があるのです。

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