前回は大口の買い集めについて扱いましたが、今回はマークダウン(売り浴びせ)を見ていきます。
どこまで売りが続くか見極めるのがポイントです。
マークダウン
- 逆の面も見るために、ある相場師が株価を押し下げを狙う場合を考えてみよう。
- 押し下げを実現するためには需要を上回る量の売り注文や売り浴びせが必要で、株の保有者を誘ったり、おびえさせたりして持ち株を手放させるような手段も使われる。
- 目標の値段に達するか、大量の株を売らないと勝てないほど強力な抵抗に出合うまで続けるわけである。
マークダウンとは、株価の「押し下げ」を意味しています。
ディストリビューションとは違い、マークダウンではバレても構わないから売り注文を殺到させます。
時にはホルダーをびびらせて、株の売却を促すことも行います。
実際のテープの値動きを見ていこう
- 今、目的の株の値段が80ドルほどで、ブローカーはそれを「77ドルまで下げろ」という指示を受けているものとしよう
- ブローカーがポストのところに行ってみると、板の状況は「500株79七/八ドル、300株80ドル売り」となっている。
- 直前の取引は100株80ドルで出来ている。
ある相場師が株価の引き下げを狙って、ブローカーを立会場に送り込みます。
そしてブローカーは出た買い注文を全部引き取り、売り注文を浴びせかけます。
このとき、資金の限界を迎えない限りは、ブローカーは目標を達成するまで売り続けるでしょう。
引き下げの実行
では具体的な事例を見てみましょう。
ブローカー殿は、どうやって株価を引き下げるのでしょうか?
それではシンキングタイム!
ブローカーは、まず板に出ていた500株79七/八ドルの買いに応じます。
これは、売り浴びせを行う前に、すでに出ている買い注文を引き取る必要があるためです。
そして同時に、1000株79三/四ドル売りを、立会場の真ん中で叫びます。
これを繰り返していくことで株価は下がっていき、マークダウンを成し遂げます。
するとテープは、以下のように出来上がりました。
100 80
500 79七/八
200 79三/四
1000 79一/二
100 79三/八
500 79一/四
抵抗線に出会ったら
では、79ドルで激しい抵抗線に出合ったとしたらどうなるでしょうか?
たとえば、テープはこのような状態になるでしょう。
100 79一/八
1000 79
500 79
800 79
300 79一/八
1000 79
500 79一/四
100 79三/八
200 79一/二
これは79ドルを水準にこなしきれないほどの需要があることを示しています。
もしかしたら1万株以上の買い待ちがあるかもしれません。
マークダウンを諦めるか
- そうした障害にぶつかったブローカーは往々として、依頼人に電話するために、あまりに長い間ポストを離れてしまう。
- すると、その間下げ圧力がなくなるわけだから、相場が反発しやすくなる。
思ったように株価が下がらないと、予想外の大口投資家の存在が脳裏にちらつきます。
ブローカーもまた人間です。
手持ちの資金では下げきれないと判断したら、その途端に売り圧力は消え失せます。
アキュミュレーションで対抗されたら
- さて次に、二人のブローカーがポストにいて、ひとりは株価の引き下げを、もうひとりはアキュミュレーション(買い集め)を狙っているケースを取り上げよう。
- 立会場では、一方のブローカーが売り浴びせて値を下げようとするのに対して、もう一方が出された大量の売り注文を片っぱしからさらっていく。
では次にマークダウンを試みるブローカーに対して、アキュミュレーションを行うブローカーが現れた場合を見て見ましょう。
二人とも相手の動きを利用しようとする結果、以下のような売りと買いの攻防がテープに記録されます。
100 80一/八
100 80
200 79七/八
100 79三/四
1000 79七/八←アキュミュレーション
100 79三/四
200 79五/八
500 79三/四
300 79三/四
100 79一/二
100 79三/四
100 79一/二
100 79三/八
1500 79一/二←アキュミュレーション
500 79一/四
100 79一/八
こうした攻防は至る所で見かけることができます。
このシグナルが現れたら、どちらが勝者になるかをしっかり監視しましょう。
はたしてどちらが勝者になるかは予測することはできませんが、テープに底付近のシグナルが現れたら、いつ転換点に達するか注意して見守るべきです。
転換点からの最初の動きをしっかりとらえる、そのときこそが買い時です。
テープはすべてを映す鏡
- テープ解読者は、株価を動かしているのが相場師なのか、フロアトレーダーの集団なのか、一般大衆なのか、あるいはそれらが重なっているのかを気にかけることはない。
- テープ上の数字には、さまざまな意見の集約や株価操作の結果や需要と供給の関係などが総合されて現れている。
- ここにこそ、どんな人間が聞いたり、知ったり、考えたりしたことよりも、テープの合図のほうが信頼できる理由がある。
板や歩み値は市場参加者のすべての思惑をすべて映す鏡です。
誰かに聞いたりニュースを見たりせずとも、すべてを織り込み真っ先に教えてくれる相手がテープです。
テープを読み取る術さえ学ぶことができれば、こんなに心強い味方はいません。
まとめ
- マークダウンの手口を理解しよう
- 板や歩み値は市場参加者のすべての思惑をすべて映す鏡
おわりに
損切りは未来のために絶対に行われなければいけません。
しかし大口はそれを見透かし売り浴びせて、あなたの資産を奪い取ろうとします。
これを防ぐには適切なタイミングで買うしかありません。
そのためのチャートであり、板情報なのです。