本書のいいところは、具体例を交えてトレードを紹介する点にあります。
かいつまんで説明しますが、できれば本書に目を通すと良いでしょう。
前回のあらすじ
テープを正確に読み切ったとしても、予想外の出来事で反対に動くことはよくあります。
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ワイコフは1908年12月21日のテープを用いて、間違え続けたとしても、最終的には利益を手にすることができた例を紹介しましょう。
誤り
本書を読めば十分わかるのですが、時系列順に簡単にまとめます。
まずはテープ解読者が犯した誤りを見ていきましょう。
100株買い
- 寄り付き後しばらくの動きから見て、幾分インサイダーの指示があるようだった。
- ユニオン・パシフィックを178七/八ドルで100株買った
まずはテープに前日の終値よりも以下のように安く始まりました。
- 500(株) 179(ドル)、6000 178三/四
しかし寄り付き後しばらくの動きから見て、マーケットメーカーが株価を動かしていることを読み取ります。
そしてテープ解読者は、ユニオンを178七/八ドルで100株買います。
200株ドテン売り
- だが、しばらくたつと、かなりまとまった新規の売り注文が出て、弱さが現れ始めたことに気づく。
- ユニオン・パシフィックを178一/四ドルで売り手仕舞いした。
- 同じ値段で100株売り建てる。
しかしインサイダーの気まぐれで、大量の売り注文を浴びせられ株価は下落し始めます。
そこで、テープ解読者は覚悟を決めて100株損切りしました。
損小利大の精神は、相場師として生き残るうえで大事なことです。
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さらにテープ解読者はテープを読んで100株空売りします。
ドテン売りはリスクが高い手法ですが、ワイコフは特にとがめないみたいです。
ここでは読み通り、ユニオンは176一/二ドルまで下げたので、利益は確保できました。
200株ドテン買い(2度目の誤り)
- その後、下げ圧力が一時的に消えたことを示す警告が出る。
- サザン・パシフィックやそのほかの銘柄がかなり強含みとなり、ユニオン・パシフィックに買い戻しの動きが始まる。
- テープ解読者はこれを転換点と見て、その時点の売り気配値を引き取り、ユニオン・パシフィックを176七/八ドルで200株買った。
ドテン売りしたものの、今度は買う側の力が増していきます。
こだわりを捨て逃げることなく、テープ解読者は200株ドテン買いをします。
何度も失敗すると嫌になることも多いですが、ここで逃げてしまっては本当に負けてしまします。
テープ解読者のトレードに優位性があるのならば、チャンスがあれば何度でも挑戦するべきです。
このような確率的思考は、トレーディングや投資にとって重要になります。
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また200株でドテン売り
- その後、相場はさらに上昇するが、テープに現れるのは小口の取引ばかりである。
- しばらくして相場は動きを止める。
- 反発は腰がすわっていない。
- テープ解読者は、株価が再び反落して、前の安値まで行くかもしれないと考える。
- ユニオン・パシフィックを176ドルで200株売った
またとしても相場は逆に動いてしまいます。
反発の勢いは小粒で、勢いを欠いていました。
ここでも、テープ解読者は払うべきコストと捉えて、ためらいはありません。
思い切って今度は200株ドテン売りを実行します。
つまり、買いポジションの100株を手仕舞いするとともに、176ドルで新規に100株空売りしたというわけです。
今度は報われて次を待つ
- 弱気は続き、反発の兆しは現れず、株価は174ドル一/二ドルに達する。
- 今やテープ解読者は、目を大きく見開いて反転の兆しを探している。
- ここからは一/八ドルずつ下げるたびに、今はまだ不明な転換点に近づいていることを心得ているのだ。
今度こそはテープ解読者の読み通り、下落は続きました。
利益もある程度乗っています。
このときもただポジションをホールドするだけでなく、いつ手仕舞いするべきか注意を払っています。
1ポイントずつ下げるたびに、今はまだわからない転換点に近づいているのです。
反転をとらえる
- 174一/二ドルをつけたあと、相場のトレンドはがらりと変わる。
- 次第に大口の買いが入るようになる。
- ユニオン・パシフィックを174七/八ドルで100株買い戻す
- 反発の指標が増えるのを見て、ユニオン・パシフィックを175一/四ドル100株買う
- 大引け間際には、最後に買った株を売るチャンスがいっぱいあり、結局ユニオン・パシフィックを176五/八ドルで100株売った
そして最後に大儲けすることができました。
ここで学んでほしいことは、一連のトレードは、トータルではうまくいったということです。
たしかに損失を出したトレード数のほうが多く、次回に指摘されますが間違いもありました。
しかし、トータルでは大きくプラスになっています。
もし途中でためらいや恐怖に捉われてしまったら、結果はどうだったでしょうか。
自信がない方は、投資のメンタル面に着目した投資本を何か1冊読むことをおすすめします。
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まとめ
- 確率的思考に基づいて、トレードに臨むべき
- つまり一回ごとのトレードではなく、トータルで勝つことを意識すること