買う技術ばかりが注目されがちですが、売る技術もおなじくらい大事なものです。
この章では、ワイコフのトレード例を通じて、売る技術について勉強していきましょう。 ====
はじめに
- テープ解読者の研究家は、なかでも自分の知識を現場の実践に応用している人は、絶えず新しいアイデアを発展させ、従来の方法の修正につながる発見をしている。
失敗をしっかり反省して次につなげることができるトレーダーは、常に進化することができます。
優れた投資家から学ぶことも大事ですが、自分自身の経験を通じてオリジナルの法則を作り上げることもやはり重要です。
gyatuby.hatenablog.com
最終的な損失
- 前に定義したように、テープ解読は株価の当面のトレンドを判定するための技術である。
- だが、トレンドを嗅ぎとってタイミングよく仕掛けることは、なすべき仕事の半分にすぎない。
- いつトレードを手仕舞うべきかを知ることで取引全体で一番大切な部分とまで言わないにしても、仕掛けと同じくらいには重要なことである。
- 私はトレードを続けるうちに、失敗したトレードの多くは、私が当面のトレンドと名づけたその頂点で手仕舞えなかったことに原因があると気づいた。
一回のトレードは、買いと売りの両方を行って初めて評価されます。
買うだけではまだ半分終わったにすぎません。
買う技術ばかりが注目されがちですが、売る技術もおなじくらい大事なものです。
この章では、ワイコフのトレード例を通じて、売る技術について勉強していきましょう。
誤り
- 私は次のようにトレードすべきだった。139ドルの派手な買い気配値が現れたときに売って、下落が行くところまでいった時点で、指標がまだ強気だったら買い直せばよかったのである。
上昇トレンドが続くと信じても、押しは複数存在します。
長期的投資の場合には気にする必要はないのですが、デイトレードでは押しの前後でしっかり売り買いできると、成績はさらに向上するでしょう。
特に忘れがちなのが、一回手仕舞いを行っても買い直す自由は当然許されていることです。
もっと言えば間違って手仕舞いしても、また買い直せばいいのです。
原因はやはりメンタルです。
株価が上がっていく光景を、ただ指をくわえて見てただけという経験は一度はあったのではないでしょうか。
手仕舞いしたあとならなおさらです。
間違ってもいいから、いったん手仕舞いしても誰も責めません。
それでも抵抗がある場合は、全部ではなく小分けして一部を売ってもよいでしょう。
心理面の負担を軽減するテクニックのひとつです。
素早い利益確定
- 積極的にテープ解読を行うとき、最良の結果は進行中の株価変動をとらえ、それが開始した時点で仕掛け、頂点に達した時点で手仕舞うことによって得られるというものである。
- このやり方だと、その日一番にぎわった一銘柄の全部の変動をとらえることはまずできないが、その代わり、たくさんの小さな利益を手にすることができるはずである。
- そして、最終的な結果は、あるひとつの銘柄だけを、下落時にも売らずに持ち続けたときを上回ることは間違いないはずである。
デイトレードの勝手なイメージですが、マルチモニターを駆使して複数銘柄を監視しながら取引する印象があります。
ひとつの銘柄だけを取り組むとしたら、チャンスはその一銘柄だけです
その分集中できるメリットがありますが、時間と労力が少なくて済むのがよい点でしょう。
チャンスは複数あるに越したことがありません。
それがたとえ頭から尻尾まで食べ尽くすことが出来なくても、トータルで見ると少ない利益を積み重ねているはずです。
先導株の交代
- そうした一銘柄だけを追う方法に反対する理由はたくさんある。
- ひとつは、同じ立会日のなかで、数回先導株が交代することがよく起きるということだ。
- 先導株についていくことがテープ解読者の目的なのだから、先頭に立つ銘柄が交代するのに合わせて、売買の対象を変えざるを得ない。
- 一ポイントの利益があっても、ほかの株がその3倍の利益を出していたら、なんの慰めにもならない。
ひとつの銘柄に集中してしまうと、交代する先導株たちの動きについていけなくなってしまいます。
長期的投資の場合にはそれでもかまいません。
なんなら、考える時間は十分にありますから、複数銘柄をフォローするのは容易でしょう。
デイトレードでは、大量のあいまいな情報をもとに瞬時の判断が求められます。
視野が狭くなってしまうとその分偏りが生まれ、実はもっと稼げたのにと後悔することになるかもしれません。
準備態勢
- だから、いかなる事態にも備えて準備を整えておくべきである。
- 持ち株を処分する必要に迫られている人と、資金にゆとりがあって新たなトレードのチャンスを狙っている人の間には、心の持ちようの点で天と地ほどの違いがある。
- (進行につれて)出来高や活気や取引回数が増えていって、最後には最大の活況を呈するようになるのだ。
相場が動き始めたあと、振り子の振れ幅が大きくなるように出来高や株価の動きは大きくなっていきます。
頭でとれなくても途中乗車で十分利益をとることができます。
理想は、相場が最高潮に達したその瞬間に手仕舞うことです。
世の中すべてが投資の話で持ち切りとなり、周りに勧めだしたらいよいよ売り時でしょう。
少なくとも株式を買いたい、買うのに躊躇がない場合には気を付けるべきかもしれません。
まとめ
- いつトレードを手仕舞うべきかを知ることで取引全体で一番大切な部分とまで言わないにしても、仕掛けと同じくらいには重要なことである。
- 先導株についていくことがテープ解読者の目的なのだから、先頭に立つ銘柄が交代するのに合わせて、売買の対象を変えざるを得ない。