今回はCAN-SLIMの2文字目「A:年間EPSの増加」について見ていきます。
はじめに
- 年間EPSが過去3年連続で増加しているものを探すのだ。
- 直近数四半期で高いEPSの増加を示していること、およびここ数年で着実に成功している記録があること、この両者がそろって初めて大化け銘柄が生まれる。
- あるいは少なくとも市場全体が上昇トレンドのときに、大化けする可能性が高い銘柄が生まれるのである。
CAN-SLIMのCとAは相互に関連しあいます。
オニールの数字に基づくファンダメンタル分析は、この2文字に凝縮されていると言ってもよく、オニール流の投資の入り口ともいえます。
前回とあわせてしっかりと身につけていきましょう。
gyatuby.hatenablog.com
年間EPSの増加率が25~50%以上の銘柄を選ぶ
- 株を買うなら、その銘柄の年間EPSの増加率が25%、50%、あるいは100%以上の者を選ばなければならない。
- 5年の間に一時的に増加率が下がっても、翌年に新たな高水準にまで回復すれば良しとする。
大化け銘柄はビジネスが軌道に乗ることで、大きく株価上昇する前に、最低3年から長くて5年の間にある程度の年間EPSの増加がみられます。
上昇する間に一時的に増加率が下がっても、翌年に新たな高水準にまで回復したら増益は続いているとみましょう。
もちろんその理由を確認することが前提の話となります。
アナリストのコンセンサス予想
- アナリストのコンセンサス予想も、翌年のEPSが上昇すると見込んでいることが重要である。
- だが忘れてはならない。見通しはあくまで個人的な意見であり、意見は間違っていることがある。
- これに対して、実際に発表されたEPSは事実である。
またアナリスト予想でも大幅な上昇を見込んでいることも大切です。
たしかに予想は外れることが少なくありませんが、ないよりあったほうがマシです。
それに腐ってもプロ、私たちより多くの情報をもっているのはたしかです。
減益見込みと予想されていた場合にはもっと調べる必要があるでしょう。
ROEが高い銘柄を探す
EPSに加えて株主の利益と成長を測定する方法は以下の2つが挙げられています。
大化け銘柄の場合は25%以上の上昇が見られます。
1株当たりキャッシュフローは、実績EPSと比べて20%以上です。
こちらは計算に少し手間がかかるので、スクリーニングで絞り切れない時に使えばよいと思います。
まれにROEが異常値になる時があるので、その際に使ってもよいでしょう。
なお第19章のまとめの該当箇所は、英語原本と見比べると理解しやすいです。
まあこの箇所を読んでいれば、誤解だと気づいたかもしれません。
オニール本、最後19章「覚えるべきルールと指針」の2.英語原本からキャッシュフローのところをDeeple翻訳。日本語翻訳では意味が意味がわからなかったけどこれならわかる。 pic.twitter.com/bE2ZOxJOJd
— フミ@オニール本精読回数(発掘法3・空売り0・相場師0) (@Fumi_investor) June 4, 2022
過去3年間のEPSの安定性を確かめる
- われわれの研究から、成長株を選ぶときにもう一つ重要な要因があることが分かった。それは、過去3年間の年間EPSの増加率の安定性と一貫性である。
そして過去3年間の成長率が、安定して伸びていることが重要になります。
オニールはそこで独自の安定性指数を算定しており20~25以下になるとよいとしています。
この安定性指数の計算方法は示されていませんが、EPSの安定性を調べることはできます。
過去数年間のEPSを四半期ごとに対数チャートに点で記します。
そしてこの点に沿ってトレンドラインを引きます。
このとき全部の点を結ぶのでなく、すべての点の距離が近いように一直線になるように直線を引きます。
そして直線からどれだけ点が離れているか見るのです。
点がジグザグになっているようならば、EPSは不安定になっています。
こちらは景気循環株に多く見られる特徴です。
成長株は本業のビジネスが軌道に乗ることで成長しており、景気循環株に比べて世界情勢に左右されにくいです。
EPS安定性指数は、レラティブストレングス指数と同様のやり方で計算できそうですが、独自に計算しても説得力に欠けるのでこれ以上は触れるのをやめます。
特に指数を算出しなくても、EPSの増減をグラフなり表に書き出せば事足りると思います。
なおこの考え方は、散布図に近似曲線を引くやり方に似ています。
エクセルで散布図を作る基本と応用を解説-上級者になれるマル秘テクも教えます! | ワカルニ
投資チェックリスト
- 過去3年間の年間EPSの増加率が25%以上
- ROE(株主資本利益率)が17%以上
- 過去3年間の年間EPS成長率が安定していること
おわりに
大事なエッセンスについては今回でまとめました。
長くなってしまったので残りは後へ回します。
gyatuby.hatenablog.com
年間EPSの増加率については、しっかりと合格した銘柄を選ぶようにしましょう。
次回はセクターローテーションについて見ていきます。
株クラ等で流行っていますが、目安程度には役に立ちそうです。