CAN-SLIMとは、「大化け銘柄が持つ7つの主な特徴」を、7文字のアルファベットで表したものです。
今回は、少し話は逸れますがセクターローテーションについて扱います。
これは本書の流れに従って解説しているため、ご勘弁いただければと思います。
景気はいずれ循環するという考えのもとで、投資する銘柄を変えていき利益を得ることを試みます。
- 要点まとめ
- 正常な株式市場サイクルとは?
- 最近の相場サイクルは短い
- 強気相場の始まり
- つぎに成熟株(景気敏感株)が台頭する
- 金利が上昇して、インフレ耐性のあるエネルギー株が物色される
- 不景気でデフレ局面で好まれる株
- まとめ
- おわりに
要点まとめ
大事なところをかいつまんで話すと、以下のようになります。
- 成長株が真っ先に強気相場を先導する(円の左半分)
- 景気敏感株は成長株に遅れて株価が上昇する。(円の上半分)
- そして景気敏感株は不景気や収益交代が近づくとまず先頭を切って後退する。(円の右半分)
- 弱気相場が本格化すると、ディフェンシブ銘柄が好まれる。(円下半分)
おすすめのコツは、半円で考えることです。
正常な株式市場サイクルとは?
- ほとんどの強気(上昇)市場は2~4年間続いたあとに、景気後退や弱気(下落)市場に見舞われ、その後新たな強気相場に突入する。
- 新しい強気相場の初期段階では、通常、成長株がマーケットを牽引して新高値を付ける。
- 景気循環(敏感)株は、強気相場が訪れても初期段階の回復は遅れる。
- 若い成長株が強気相場を2サイクルほど支配する。
- その後、相場の中心は景気敏感株や下落から上昇に転じた銘柄、そして新たに力をつけ始めた業種へと移っていく。
この相場サイクルの考え方は、セクターローテーションと呼ばれます。
では実際、どのようなものか順にみていきましょう。
最近の相場サイクルは短い
強気弱気の相場サイクルについては、人それぞれ考え方があると思います。
ただし最近の流れを見ると、相場サイクルは短くなっています。
これはパッシブ運用などの順張り投資が広がっていることが理由のひとつにあると思います。
また過去に比べて値動きは(特に下落は)急に動いています。
昔と比べて膨大なマネーが市場に投入されているのも原因のひとつでしょう。
だからある意味でチャンスであり、ときには機敏に動かなければ痛手を受けるともいえます。
それでも積極的に値動きを狙っていきたいですね。
強気相場の始まり
- 新しい強気相場の初期段階では、通常、成長株がマーケットを牽引して新高値を付ける。
- そのような銘柄は、四半期ごとに利益を伸ばし続けていたのにマーケット全体の条件が整わずに株価が伸び悩んでいた企業である。
- マーケット全体が後退するなかで、継続的に利益の増加を達成していたこのような銘柄は、PER(株価収益率)が必然的に低くなり、それがPERを重要視する機関投資家の目を引くのだ。
弱気相場の終盤~強気相場の序盤では、成長株が主役です。
セクターローテーションの円では、左半円に該当します。
特に有望な成長銘柄は、EPSを伸ばし続けていたのに、マーケット全体のムードが下がっていたために、マーケットに引きずられて株価が上がらなかった会社です。
そして、さらに真っ先に伸びる銘柄は機関投資家が投資しやすい流動性が高い銘柄といえます。
マーケット全体が弱気ムードのなかでも、ファンダメンタルをしっかり整えてきた銘柄には、大量のマネーが向かいやすいです。
つぎに成熟株(景気敏感株)が台頭する
- 景気循環の傾向が強い基幹産業に属する銘柄は、強気相場が訪れても初期段階での回復は遅れる。
- 過去の大化け銘柄を調べると、4分の3は成長株なのだが、4分の1は景気敏感株や企業再生株だった。
次に出遅れて景気敏感株が上昇します。
今度は上半円です。
業種としては、素材・化学、自動車・輸送機、機械、電機・精密が挙げられます。
他にも金利敏感セクター(銀行、不動産)を含めることが多いです。
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景気敏感株は、株価が上昇しても長く続かなかったり、不景気や収益交代が近づくとまず先頭を切って後退する傾向にあります。
なぜなら、巨大化した成熟企業がより巨大に成長するのは難しく、成長率で見ると成長株と比べ見劣りするためです。
ただし、その前にファンダメンタルの裏付けがない小型成長株が、景気敏感株より真っ先に下落します。
これは期待だけが先行してしまった一方、ビジネスが成長する条件がまだ整っていないため、機関投資家がマーケットの下落に辛抱できずに処分する傾向があるからです。
金利が上昇して、インフレ耐性のあるエネルギー株が物色される
強気相場も踊り場となりインフレが意識されると、貴金属や資源が魅力的となるため、エネルギー株を代表する資源関連株が物色され始めます。
図では右下に配置されていますが、個人的には右半円にかけてのイメージです。
弱気相場が本格化した場合(下半円の場合)は、エネルギー株の需要は減退していきます。
不景気でデフレ局面で好まれる株
不景気にはディフェンシブ銘柄が好まれます。
セクターローテーションでは、下半円に該当します。
真っ先に候補に挙げられるのが、生活に欠かせない商品(消費安定株)やサービス(通信など)が挙げられます。
また景気刺激策で、国による公共事業も積極的に行われているため、公共株も人気になります。
そして、ヘルスケアに対する需要は、景気とはあまり無関係ないため、ディフェンシブ銘柄に含まれます。
とりわけデフレの局面では、バイオテクノロジーのような、製品の価格設定が景気と無関係な業種が歓迎されます。
そして弱気相場も終わりが見えてくると、前述のとおり成長株のターンへ戻ることになります。
まとめ
- 成長株が真っ先に強気相場を先導する(円の左半分)
- 景気敏感株は成長株に遅れて株価が上昇する。(円の上半分)
- そして景気敏感株は不景気や収益交代が近づくとまず先頭を切って後退する。(円の右半分)
- 弱気相場が本格化すると、ディフェンシブ銘柄が好まれる。(円下半分)
おわりに
私はセクターローテーションを、相場サイクルの目安として使っていることが多いです。
半円で見ることを勧める理由もそこにあります。
経済は理論で説明できるほど単純ではありません。
セクターローテーションも、ときには矢印と逆方向に戻ることはよくあるためです。
だからといって頼りにならないかというと、そんなことはありません。
そろそろ成長株のターンが来るかもしれないという合図をつかむにはとても便利なのです。
もっと研究をすすめれば、セクターローテーションを利用して利益を得ることもできるかもしれません。
そうすればきっと、新聞やニュースを見る目も変わってくるはずですよ。
次回はCAN-SLIMの「C」の話に戻ります。
gyatuby.hatenablog.com