はぐれ猿でも、投資がいいんだ。

ふりむけばやさしさに飢えた弱肉強食の世界で

オニールの空売り練習帖第1章⑥~空売りしてはいけない6つのパターン

前回は、空売りの銘柄選択について見ました。
gyatuby.hatenablog.com

逆に今回は、空売りしてはいけない6つのパターンについて学んでいきます。

これらはやってはいけないものの、油断するとやりがちです。
注意深くチェックしていきましょう。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

クライマックストップの例

  • 主要なリーダー銘柄が天井を付けたことを理解することが、潜在的空売りの機会を見つける第一歩である。

クライマックストップについては、『オニールの成長株発掘法』のほうが詳しく解説しているため、ここでは省略します。

気になる方は、下記の記事をご覧ください。
gyatuby.hatenablog.com

空売りを仕掛ける前には、主要なリーダー銘柄からクライマックストップの兆しを見つけることが重要になります。

そのため、日々の株価と出来高の動きに注意しておく必要があります。



空売りしてはいけない銘柄

禁止

  1. 過少資本(例えば、発行済み株式数が少なく、市場に出ている浮動株が少ない)、または出来高が少ない銘柄を空売りするのは極めて危険である。
  2. ある銘柄の株価やPER(株価収益率)が「高すぎる」ように見えるという理由だけでは絶対に空売りをしてはいけない。
  3. ある会社に関して「悪いニュース」が発表されるかもしれないというウワサを聞いたからといって空売りしてはいけない。
  4. ある銘柄の買われ過ぎ・売られ過ぎ指標が「買われ過ぎ」を示しているという理由で空売りするのも行けない。
  5. ある銘柄が手仕舞い売りでよかったからといって、空売りでも良いとは限らない。同様に買い戻しで空売り手仕舞いをした場合も、ポジションを逆にしてその銘柄を買うのがいい方針であるとは限らない。
  6. あまりに多くの銘柄をあまりに短期間に空売りするのも賢明なやり方とはいえない。

合計6タイプの空売りしてはいけないパターンが紹介されています。

どれも大事なポイントになりますので、一つずつ見ていきましょう。



1.流動性が小さい銘柄

  • 過少資本(例えば、発行済み株式数が少なく、市場に出ている浮動株が少ない)、または出来高が少ない銘柄空売りするのは極めて危険である。
  • 市場が突然に上向いたときには、これらの銘柄はほんの少しの買いで大きく値上がりし、短期間で大きな損失となる。
  • これらの銘柄はほかの銘柄と比較して頻繁に取引されていないため、潮の変わり目を正確に見極めるのも困難である。
  • 1日に100万株から1000万株以上の出来高があり、機関投資家保有しているような銘柄を空売りするのがよい。

流動性が小さい小型株は、空売りに向いていません。

個人が手掛けることの多い小型株は、気まぐれやニュースで大きく値上がりすることがあり、空売りには危険です。


空売りを行う上では、通常以上にリスク管理が重要になってきます。

いつでも逃げられるように、時価総額が大きく出来高も多い大型株で空売りを行うほうが安心できます。



2.PERが割高な銘柄

  • ある銘柄の株価やPER(株価収益率)が「高すぎる」ように見えるという理由だけでは絶対に空売りをしてはいけない。
  • 大事なのは市場に反論することではなく、市場を研究し、市場が弱含みになっているときを認識し、それについていくことである。

わたしが初めて空売りした際に、犯した失敗がこちらです。


PERが割高なことには必ず理由があります。

個人的な意見やセンスに頼るのではなく、投資ルールを決めて、そのルールに愚直に従ったほうが無難です。


また、株価が新高値に向かおうとしている銘柄を空売りするのも自殺行為です。

マーケットはいつでも”正しい”のです。

マーケットに対して、己の”正しさ”を証明する理由なんてありません。


つまり、逆張りよりも順張りのほうが、リスクが抑えられリターンを比較的得やすいということです。



3.悪いうわさが流れた銘柄

  • ある会社に関して「悪いニュース」が発表されるかもしれないというウワサを聞いたからといって空売りしてはいけない。

実際に悪いニュースが公表されたときには、マーケットに”織り込み済み”として反発することが多いです。



KDDIの電波障害
KDDI週足チャート
KDDI週足チャート 出所:Investing.com

KDDIの電波障害が起こったあとの株価の動きに注目してください。

下げたのは一瞬で、その後は思ったよりも株価は下がっていません。


もちろん不祥事で下げ続ける銘柄もあります。

最近で言うと、スシローの不祥事3連発(6月7月8月に3回も!)でしょうか。

FOOD & LIFE COMPANIES週足チャート
FOOD & LIFE COMPANIES週足チャート 出所:Investing.com

「事件は売り、事故は買い」という言葉もありますが、こうした不祥事を狙った空売りは、プロ(もしくは機械)に真っ先に先を越されています。

チャートや歩み値を常に監視していても、取り逃すことが少なくない分野です。

手を出すなら、慎重に慎重を期したほうがいいかもしれません。



4.「買われ過ぎ」な銘柄

  • ある銘柄の買われ過ぎ・売られ過ぎ指標が「買われ過ぎ」を示しているという理由で空売りするのもいけない。
  • しばしば「買われ過ぎ」の銘柄は、何日も、あるいは何週間も「買われ過ぎ」の状態のままで株価が上がることがあり、もし空売りしていた場合には踏み上げで大きい損失を被る場合がある。

当てにならない「買われ過ぎ」の指標で、空売りしてはいけないと推奨されています


よく使われるテクニカル指標のひとつがRSI*1でしょうか。

実際に使ってみると分かるのですが、感度があまりに良すぎるのです。

RSIが買われ過ぎを示しても、何日も株価が上がり続けることはざらにあります。


たとえ買われ過ぎていることが「正しかった」としても、売るタイミングがより重要になってくることがよくわかります。

買われ過ぎ&売られ過ぎのテクニカル指標を使う際には、こうした弱点についてもよく研究するべきでしょう。


なおオニールは、買うときも「売られ過ぎ」の指標を参考にしません。



5.ドテン売り

  • ある銘柄が手仕舞い売りでよかったからといって、空売りでも良いとは限らない。
  • 同様に買い戻しで空売り手仕舞いをした場合も、ポジションを逆にしてその銘柄を買うのがいい方針であるとは限らない。

保有していた株式をすべて売却した後に、同じ銘柄を空売りしたらもっと儲かるのではないかと思うことはよくあるでしょう。

これはいわゆる、ドテン*2売りです。


手仕舞い空売りとでは、リスクを新たに負うか否かで異なってきます。

空売りでは積極的にリスクをとる以上、確実に利益が見込める場合に限って手を出すようにしましょう。



6.空売りのしすぎ

  • あまりに多くの銘柄をあまりに短期間に空売りするのも賢明なやり方とはいえない。

空売りは難しい技術のため、まずは腰を据えて一つの銘柄を手掛けると良いでしょう。

せめて1~2回儲けてからでも、複数取引するのは遅くありません。



まとめ

空売り禁止の6パターン

  1. 流動性が小さい銘柄
  2. PERが割高な銘柄
  3. 悪いうわさが流れた銘柄
  4. 「買われ過ぎ」な銘柄
  5. ドテン売り
  6. 空売りのしすぎ

  • クライマックストップを見つけることが、空売りのチャンスを発見する第一歩である。



おわりに

前回と併せて、実践的な空売りの知識について学ぶことができました。


オニール流の成長株投資をしているならば、強気相場で手掛けていた銘柄で空売りするのが最も手軽だと個人的には思います。

これらのリーダー銘柄は弱気相場入りしたときに、天井付近ではファンダメンタルから大きく乖離していることが多いために、最もわかりやすく下落します。

本書でもリーダー銘柄のチャートを多く扱っているため、参考になるでしょう。


最近では、すでに空売りするタイミングは少し逸している気もしますが、反発や戻りがあった際には狙っていきたいところです。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

*1:RSI│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

*2:買い(売り)ポジション決済すると同時に売り(買い)ポジションを持つこと、つまり、保有するポジションをひっくり返すことをいいます。