
株で利益を出すためには「何を買うか」だけでなく、「いつ売るか」を知ることが欠かせません。
ところが投資本の多くは買い方に重点を置いており、売り方まで詳しく解説しているものは意外と少ないものです。
本記事では『オニールの成長株発掘法』で紹介されている売りのサインの中から、特に実践で役立つものを取り上げます。
さらに、本書に掲載されている古い事例だけでなく、実際の日本株チャートを用いて解説していきます。
過去の相場だけでなく、近年の銘柄でも同じパターンが確認できるため、実践的な知識として活用できるでしょう。
クライマックストップについて詳しく知りたい方はこちら
はじめに
なお、紹介する売りサインは数が多いため、重要度と実用性を基準に独自の3段階評価を付けています。
まずは重要度の高いサインから覚え、実際のチャートで繰り返し確認してみてください。
売りの技術は一度で身につくものではありません。
何度も見返しながら、自分の投資ルールとして定着させていきましょう。
また、チャートの基本的な読み方に不安がある方は、第2章の内容を復習してから読み進めることをおすすめします。
クライマックストップ(★★★)

- 多くの主導株は、爆発的な上昇を伴って天井を打つ。
- (クライマックストップでは、)何カ月も上昇したあとに、天井へと疾走するかのようにそれまでよりも速度を速めて1~2週間急上昇を見せる。
- さらに、上窓を開けて寄り付くイグゾースションギャップで上昇を終えることもある。
上昇している間に、さらにギアを上げて上昇すると現れるクライマックストップ。
天井を知らせるサインとして、オニールが最も使っているルールの一つでもあります。
クライマックストップとの他にも、いくつかパターンが紹介されているため、順番に説明します。
1日の上昇幅が最大(★★・)
- 適切なベースからブレイクアウトしたピボットポイントから、株価が何カ月もかけて大きく上昇した後に、上昇を始めた日から最大の上昇をして引けたら、注意が必要だ。

天井近くで株価が大幅上昇することが起こります。
メルカリでは他にも売りのサインがありますが、最大の上昇が現れた段階で注意が必要でした。
ただし上昇幅が最大だったけれどまだ伸びることはよくありますが、天井が近いサインを示すことも間違いない事実です。
なお説明の都合上、週足チャートを用いていますが、日足で探せば事例はすぐに見つかると思います。
1日の出来高が最大(★★・)
- 株価が上昇を始めた日から出来高が最大になる日が天井となることがある。

天井付近では出来高が最大になることがあります。
取り上げたチャートでは、このあと底をつけて上昇し、また天井付近で2〜3度出来高が急上昇します。
そしてまた株価が下落することを繰り返していました。
決算発表時には出来高が膨らむ傾向があるため、出来高が比較的薄い中小型株では注意する必要があるかもしれません。
イグゾースションギャップ(★★・)
- 急速に株価を上昇させながら何カ月も前の最初のベースから大きく離れ(通常は最初のベースと2番目のベースを抜けて最低18週間以上、3番目以降のベースだと12週間以上)、さらに上に窓(イグゾースションギャップ)を開けて寄り付いたら、天井が近い。

相場が加熱すると供給が需要に追い付かず、窓(ギャップ)と呼ばれる空白地帯がチャート上に現れます。
はっきり上昇した後に、さらにギャップを空けて上昇するパターンが一番わかりやすいです。
ただし、一番よく見かけるのはチャートで取り上げたような、ベースからブレイクアウトした際に窓を開けることも少なくありません。
その場合はブレイクアウトによる買いと迷うかもしれませんが、他の売りの指標と見比べて判断する必要があるでしょう。
なお窓は大きく分けて4つのギャップに分類されますが、興味のある方は下記リンク先からお読みください。
ギャップ(窓)の種類と見方
クライマックストップの傾向(★★★)
- 株価の上昇が急になり、週足チャートで急速な株価の上昇が2~3週間見られたり、あるいは日足チャートで7~8日連続か10日中8日で急速な株価の上昇が見られるようなら、売りのサインである。
- これはクライマックストップと言われるようなものである。

冒頭で説明しましたが、クライマックストップをつけるときは、上昇のギアがガツンと一段階上げたかのように、株価が急上昇する様子を指します。
具体的な日数も説明されており、イメージもしやすいかと思います。
私は慣れない頃、一日の急上昇だけで手放してしまい後悔したことが何度かありました。待つことも大事です。
レールロードトラック(★★・)
- まれにクライマックストップ近くで株価が前週の安値から高値へと大きな値幅を繰り返すようにたどって、多い出来高はそのままに、ほんの少しだけ上昇して引けることがある。(=レールロードトラック)
- 週足チャートで見ると、二本の線が平行して縦に走っているように見えるからだ。
- 大商いにもかかわらず上昇が見られず、売り抜けがあったことを示している。

レールロードトラックは、週足チャートで見ると、2本の線が並行して縦に走っているように見えることから名付けられました。
これは2週目で大商いにもかかわらず上昇が見られなかったことから、売り抜けがあったことを示しています。
売り抜け(ディストリビューション)については、マーケット全体の天井を見極める話で扱いました。
gyatuby.hatenablog.com
売り抜けの兆候(★★★)
- 長期の上昇のあと、大商いなのに株価が上昇しない場合は、売り抜けを示している。
- 何も知らない買い手がこれに気がついて驚く前に、早めに売ってしまおう

売り抜け(ディストリビューション)の実態は、機関投資家が売り抜けるのを典型的な投資家が引き受けていることを示しています。
大量に売り抜けるには大衆の熱気が必要であって、次第に熱気が冷めていくと急落することが少なくありません。
大衆に気づかれる前に、機関投資家の背中に乗って売ってしまいましょう。
株式分割(★★・)
- 株式分割のあと、株価1~2週間で25~50%上昇したら、売りのサインだ。
- 過剰な株式分割の前後は、株価が天井を打つ傾向にある。
- 株価がベースを抜けて上昇し、その後株式分割が公表されたら、多くの場合、売ったほうが良い。

うまくいったパターンばかり載せてもしょうがないので、天井にならなかった例も載せましょうか。(とはいえ横ばいですが。)
トヨタ自動車では10月1日(Sのマーク)に1:5の株式分割が行われました。
分割直後は上り調子から横に動きますが、その後も一段上昇しました。
過度の株式分割が株価を押し下げる理由は下記の記事で取り上げています。
gyatuby.hatenablog.com
このようにうまくいかないこともあるのは、ほかの要因も影響するからでしょう。
このときは、11月頃からグロースからバリューへの資金移動が始まったことが理由と考えられます。
連続下落日の増加(★★・)
- ほとんどの銘柄が天井を打って下落を始めると、株価が連続して下落する日のほうが連続して上昇する日よりも多くなってくる。
- 以前は4日上昇したあとに2〜3日下落していたのが、4〜5日下がったあとに、2〜3日上昇したりすると要注意だ。

下落と小反発を繰り返しながら、下降トレンドを描いています。
マーケット全体や主導銘柄の動きを見ながら、このサインを活かしましょう。
少なくとも含み益が泡となって消える事態は、絶対に避けないといけません。
また戻ったら売ろうと我慢しているのなら、七面鳥の話を思い出しましょう。
上方チャネルライン(★★・)
- 大きな上昇の後に株価がその上方チャネルを抜けたら、売りのサイン
- チャネルラインとは、過去4~5カ月の間に付けた3つの安値同士をつないだ線と高値同士をつないだ平行線

適切に描かれた上方チャネルラインを抜けて株価が上昇したら、売りのサインです。
このレーザーテックのチャートだと、個人的には終値ベースで考えたいので、天井でうまくさばけたかもしれません。
高値ベースも含めて考えると、30,000円付近で手放すことになりますが、時と場合によるのでどちらが優れているわけではないので注意です。
実際には30,000円付近で売り抜けのサインが見受けられたので、少し早いですが撤退できました。
200日移動平均線(★・・)
- 200日移動平均線から70~100%離れたところまで株価が上昇したら売りのサインとなることがある。
ただしオニール自身は実際にはあまり使ったことがないです。
そのため、この指標だけでなく他の指標も併せて使いましょう。
移動平均線からのかい離で売買する方法は確かに存在しますが、基本的には逆張り手法のため、使うには注意が必要になります。
天井から下落(★★★)
- 上昇中に早めに売れなかった場合、天井から下落を始めたらすぐに売ることだ。

今までのサインで売らずに天井からの下落となってしまったら、迷ってはいけません。
ただちに売ることを迷わず(検討して)実行しましょう。
もちろんその下落が上昇トレンドの単なる調整かどうかは見極める必要があります。
繰り返しになりますが、以前の高値に戻ったら売ろうと考えてはいけません。
天井を付け下降トレンドに入ったとしたら、株価が戻ることはないでしょう。
その保有株に捕まって下手をすると、含み益がすべて吹き飛ぶことも考えられます。
幸いにも最初の下落の後に株価が一度反発することがあるので、それが最後の逃げ時になるかもしれません。
まとめ
- クライマックストップは、長期間上昇した銘柄が最後に急騰して天井を付ける典型的なパターンである
- 週足で2〜3週間の急騰、または日足で7〜8日連続の力強い上昇が見られたら警戒したい
- 大商いにもかかわらず株価が上がらない場合は、機関投資家による売り抜け(ディストリビューション)の可能性がある
- イグゾースションギャップや過去最大級の出来高・上昇幅も天井形成の重要なヒントになる
- 連続下落日の増加や上方チャネルラインの上抜けなど、トレンドの変化を示すサインにも注意する
- もし天井を見逃してしまった場合は、「戻ったら売ろう」と考えず、下降トレンド入りを確認した段階で対応することが重要
利益を大きく伸ばすことも大切ですが、それ以上に利益を失わないことが重要です。
売りのサインを複数組み合わせながら、冷静に撤退のタイミングを判断していきましょう。
おわりに
今回紹介した銘柄の多くは、かつて市場から高い評価を受けていた成長株です。
しかし、どれほど優れた企業であっても、株価が永遠に上昇し続けることはありません。
人気が集中した銘柄ほど、天井を付けた後の下落は急激になりやすい傾向があります。
だからこそ、大化け株を保有できたときには「いつ買うか」だけでなく、「どこで売るか」を事前に考えておく必要があります。
投資の成果は、銘柄選びだけで決まるものではありません。
利益を守りながら確定できてこそ、本当の意味で成功した投資と言えるでしょう。
オニールも繰り返し強調しているように、優れた投資家は買い方だけでなく売り方にも明確なルールを持っています。
ぜひ今回紹介した売りのサインを参考に、自分なりの利益確定ルールを作ってみてください。
次回は、さらに実践的な売りのテクニカル指標について解説していきます。
gyatuby.hatenablog.com