本章から、実際の例を分析して空売りへの理解を深めましょう。
空売りをするときに何を見ればよいのかという実践的な理解を深め、第1章で学んだ基本知識を応用しましょう。
今回は、2つある典型的なパターンのうちの一つ目です。
ダイアグラム1
本章では、典型的な2つのパターンについて原則を作ろうと試みます。
ダイアグラム1では、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの空売りの構造を「ひな形」として使っていきます。
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空売りのシナリオ
- さて、ここで基本的な空売りシナリオを検討してみよう。
オニールは、ダイアグラム①を用いて、空売りを仕掛ける際に株価はどのように動いて、私たちはどのように参入するべきかの道しるべを示しています。
ここは大事な土台になりますので、じっくり読んでいきましょう。
ポイント①
- ダイアグラム1のポイント①で示したように、最初の天井はそれまでの最高値か、それに近いポイントから、大きな出来高を伴って押し上げられたものである。
- この銘柄の動き全体を通じて最高か、最高に近い出来高を伴っての株価が急落した場合は、大きなディストリビューション(売り抜け)が起きているシグナルである。
- 通常これがが起こるのは、株価が後期ステージの不完全なベースからブレイクアウトしようとして失敗し、ピボットポイントを超えて下落するか、あるいはまだ形成中であった後期ステージのベースの底を割って下落するときです。
天井付近で起こるディストリビューションの見分け方としては、オニール流の「クライマックストップ」が参考になります。(cf.P35~)
前書『オニールの成長株発掘法』のほうが記載が詳しいので、お持ちの方は参考にしてください。
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クライマックストップをつけると、天井を付けたサインとなる確率が高まります。
典型的なシナリオとしては、以下の2つが挙げられます。
- 株価が後期ステージの不完全なベースからブレイクアウトしようとして失敗し、ピボットポイントを超えて下落する
- そもそも、まだ形成中であった後期ステージのベースの底を割って下落するとき
どんなに優秀な銘柄も、すべての需要を取り込んでしまったら下落するしかありません。
ポイント②
早すぎる空売り勢が参入するこのポイント②では、まだ強気のムードは抜けきっていません。
大多数の人にとって分かり切ったことが、株式市場でうまくいく試しはありません。
株価の急落のあとは、たいていバーゲンセールに集まった質の悪い買いが発生して、早すぎる空売り勢は踏み上げを食らいます。
注意深い投資家は、この時点で監視銘柄に加えましょう。
下げても儲けることができれば、チャンスはそれだけ大きくなります。
ポイント③
絶好の空売りのタイミングになるのが、ダイアグラム1のポイント③に当たります。
空売りに入るタイミングである、反発からの下落はすでに出てきた通り、絶対的な天井を付けてから5カ月から7カ月、またはそれ以上の間に現れます。
最後の反発を見極めるのが肝であり、最も難しいところです。
その銘柄に対する需要がとうとう衰えてきたことを示していなければなりません。
株価の上昇に失速が見られたり、出来高が萎んでいないか確認しましょう。
そして、この後に続く大きな出来高を伴った株価の下落が、空売りのポイントです。
なお経験豊富で敏感に察することができたなら、市場全体が同時に下落に転じる場合は、株価が下落する直前の、薄商いでの最後の反発で空売りできる場合があります。
つまり、通常よりも早くスタートすることができる可能性があります。
まとめ
- ダイアグラム1では、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの空売りの構造を「ひな形」として使っていきます。
ポイント①
- 最高か、最高に近い出来高を伴っての株価が急落した場合は、大きなディストリビューション(売り抜け)が起きているシグナル
- 通常これがが起こるのは、①株価が後期ステージの不完全なベースからブレイクアウトしようとして失敗し、ピボットポイントを超えて下落するか、あるいは②まだ形成中であった後期ステージのベースの底を割って下落するとき
- クライマックストップが一定の目安となる
ポイント②
おわりに
今回の内容は空売りを仕掛ける際には、頭に入れなければならない知識です。
暗記できるまで何回も読んで身につけましょう。
とはいえ、例外はつきものです。
その時は基本(チャート)に立ち返って、下落や反発に勢いがあるか確認するのを忘れないことが大事になります。
ただし、特に身構える必要もありません。
第3部では、100以上のチャートを見ながら、今まで習った知識の復習ができるためです。
今は演習のために知識を身に付けることに専念してみてください。
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