今回は、マーケットの転換点を見極めるための“補助的なシグナル”について解説します。
相場の方向性を判断するうえで最も重要なのは、これまで説明してきた「株価」と「出来高」の分析です。
しかし実際のマーケットでは、それ以外にも投資家心理や資金の流れを示すサインが存在します。
主役ではありませんが、相場の違和感に気づくためには役立つ指標です。
今回は、オニールが紹介している“転換期を察知するための補助材料”を見ていきましょう。
マーケット転換を示す補助シグナル
平均株価と出来高以外にも、相場の転換を示唆する指標はいくつか存在します。
単独で売買判断に使うには弱いものの、相場環境を客観視する材料としては有効です。
特に「なんとなく相場の雰囲気がおかしい」と感じた時に確認すると、マーケット内部の変化に気づきやすくなります。
主要指数のダイバージェンスを見る
- それぞれの平均株価が相反する方向(ある指標は上昇したのに別の指標は下落したなど)に向かっていないか、そしてある指標が他と比べると大きく上昇したり下落していないか、などの動きを探すのである。
- ほとんどのプロ投資家が主要な指標のチャートを並べて見るのは、このように指標が大きく動いても必ずしもそれが主要な転換期を示すものではないことを簡単に見抜くためなのだ。
マーケット分析では、ひとつの指数だけを見るのではなく、複数の指数を比較することが重要です。
例えば、
- ダウ平均は上昇している
- NASDAQは下落している
- S&P500は横ばい
このような状態では、市場内部で資金移動が起きている可能性があります。
特に大型株だけが買われ、小型株や成長株が売られている場面では、相場終盤の警戒サインになることがあります。
プロ投資家が複数指数を並べて監視するのも、こうした“内部の崩れ”を察知するためです。
比較チャートを活用する
指数同士の強弱を比較するには、比較チャート機能を使うと便利です。
たとえばダウ平均だけが強く上昇している場合でも、NASDAQやラッセル2000が弱ければ、市場全体は実はそれほど強くない可能性があります。
1984年には、ダウ平均が堅調に見える裏でNASDAQ銘柄が大量に売られていた例もありました。
つまり、「指数が上がっている=相場全体が強い」とは限らないのです。
一つの指数だけを信じない
ダウ平均だけを見て強気になるのは危険です。
一部の大型株だけが相場を支えているケースでは、裏側で機関投資家が静かに持ち株を処分している可能性もあります。
そのため、相場分析では必ず複数指数を確認する習慣を持ちましょう。
投資家心理を測る指標
相場の転換点では、投資家心理が極端に傾くことがあります。
そうした“群集心理”を把握するための代表的な指標を見ていきます。
プット・コール・レシオ
- コールとプットの割合をグラフ化して分析することは、群集心理を知るうえで貴重な手がかりとなる。
プット・コール・レシオとは、コールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の比率を示した指標です。
一般的に、
- コール優勢 → 強気心理
- プット優勢 → 弱気心理
と判断されます。
プットの比率が高まるほど、投資家が弱気になっている状態を意味します。
ただし、相場では「みんなが弱気だから底打ちする」とは限りません。
あくまで補助指標として使い、株価や出来高の分析と組み合わせることが重要です。
アナリストの強気・弱気割合
- 弱気の見通しを持っている専門家や評論家の割合も、投資家心理を計るうえで興味深い。
- 弱気相場がそこに近づいていると、彼らの助言はだいたい弱気なものになる。
- 市場の天井が近いと、だいたい強気の内容になる。
- つまり肝心な転換期では彼らの助言は間違っているということだ。
アナリストの見通しも、投資家心理を測る材料になります。
しかし実際には、アナリストの意見は相場に遅れて変化することが多いです。
相場が大きく下落した後に弱気レポートが増え、逆に天井圏では強気論ばかりになる傾向があります。
つまり、転換点では市場関係者の意見が“逆指標”になるケースがあるということです。
もちろん、単純に逆張りすれば勝てるわけではありません。
あくまで「市場参加者の心理がどちらに偏っているか」を確認する材料として扱いましょう。
空売り比率
- 空売り比率とは、NYSEで空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合を示したものである。
- 弱気相場が底を付けるときというのは、空売りの急増を示す数値の上昇が通常2回か3回現れる。
空売り比率を見ることで、市場参加者がどの程度弱気になっているかを確認できます。
弱気相場の終盤では、
- 悲観が極端に強まる
- 空売りが急増する
- 売る人がいなくなる
という流れから、相場が反転するケースがあります。
過去の暴落局面を研究すると、空売り比率がどの水準でピークになりやすいかの傾向も見えてくるでしょう。
出来高比率(NASDAQ対NYSEなど)
- 両市場の出来高を比較して投機家の動向を探る。
- トレンドが一方的に急速な動きをするときというのは大規模な投機筋の動きを示しており、市場全体の調整がまもなく訪れることを暗示している。
NASDAQとNYSEの出来高比率を見ることで、投機マネーがどこへ流れているかを確認できます。
例えばNASDAQの出来高だけが異常に膨らんでいる場合、投機熱が高まりすぎている可能性があります。
日本株なら、
- グロース市場
- 新興株指数
- TOPIX
などを比較すると、似たような分析が可能です。
こうした出来高の偏りは、相場過熱や転換点のヒントになることがあります。
転換期を見つける方法まとめ
- 主要指数のダイバージェンス
- プット・コール・レシオ
- アナリストの強気・弱気割合
- 空売り比率
- 市場ごとの出来高比率
おわりに
マーケットでは、「危険だ」と騒がれ始めた頃には、すでに大口投資家が先に動いていることも少なくありません。
だからこそ、ニュースや専門家の意見だけを見て判断するのではなく、実際の株価・出来高・市場内部の動きを観察することが重要になります。
今回紹介した指標は万能ではありません。
しかし、
- 相場の違和感に気づく
- 過熱感を測る
- 群集心理を把握する
という点では十分役立ちます。
最終的には、株価と出来高分析を軸にしながら、これらの補助指標を組み合わせて総合的に判断していくことが大切でしょう。