CAN-SLIMとは、大化け銘柄が持つ7つの主な特徴を7文字のアルファベットで表します。
本日は「M-株式市場の方向」6回目です。
今が強気相場か弱気相場か。
それを見分ける方法をこの章では取り扱います。
今回はマーケットの転換点を見極めるその他の方法です。
平均株価と出来高に注目するのが最善の方法ですが、他にもやり方はあります。
有名なものも含めて見てましょう。
- マーケットの転換期を見つけるそのほかの方法
- 本章のまとめ
- おわりに
- もう一度はじめから復習するあなたに
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マーケットの転換期を見つけるそのほかの方法
平均株価と出来高を使う方法以外にもマーケットの転換を知らせるシグナルがあります。
重要度は下がりますが把握しておくに越したことはないでしょう。
主要な平均株価のダイバージェンス(乖離)を探す
- それぞれの平均株価が相反する方向(ある指標は上昇したのに別の指標は下落したなど)に向かっていないか、そしてある指標が他と比べると大きく上昇したり下落していないか、などの動きを探す
- ほとんどのプロ投資家が主要な指標のチャートを並べて見るのは、このように指標が大きく動いても必ずしもそれが主要な転換期を示すものではないことを簡単に見抜くためなのだ。
マーケットの転換期を見つけるためには、平均株価を一つだけではなく、いくつか確認して大きなダイバージェンスが起こっていないかを観察します。
いくつかの株価平均を相対評価するためには、比較できるように調整する必要があります。
たとえばS&P500とダウの値動きを比べるには、まずダウをS&P500で割り、そこで導き出された数値とS&P500の前日との差を掛けることで相対的な比較が可能になります。

特にダウはわずか30種しか銘側を構成していないために、機関投資家が意図的にダウを上昇させる一方で、それに隠れるようにしてナスダック銘柄を大量に手仕舞いすることがありました(1984年1月)。
ダウだけ上がっているようなら、注意するに越したことはありません。
役に立つ投資家心理の指標
プットとコール
コール(普通株を買う権利)とプット(普通株を売る権利)を観察することで群集心理を把握することができます。
トレーダーはコールを買うことで株価の値上がりを狙い、プットを買うことで株価の値下がりを望んでいます。
コールよりもプットが多く買われている場合は、プット・コール・レシオは1倍を上回り、弱気の見通しを立てています。
ただし裏切られることもあるので、やみくもに信頼しないほうがいいでしょう。
過大評価された騰落ラインを解釈する
- 騰落ラインとは、1日の上昇した銘柄数と下落した銘柄数と比較して、その比率をグラフ化したものである。
- 騰落ラインには主要な株価平均ほどの信頼性はない。
- 明確な弱気相場の短期の上昇を試みるときには役に立つ。
- 騰落ラインが平均株価に遅れて上昇したものの再び下落するようならば、たとえダウやS&Pで強い上昇が見られても、マーケット全体はまだ脆弱であることを示している。
- 騰落ラインは使い道が限定された補助的な指標である。
騰落ラインの動きは敏感なため、天井を付けるずっと前に危険アラームを出します。
したがって騰落ラインはあまり信頼できません。
使い道は短期目線でしか使えないでしょう。
主にトレンドに逆らう調整場面で、利幅を得る戦略ならば有効かもしれません。
FRBの金利変化に気を付ける
- 一般に金利というのは、基本の経済状態を確認する最良の手段で、公定歩合やフェデラル・ファンド金利の変化は、その中でも最も信頼できる指標である。
- 弱気相場が終わるのは、金利が下げられたときが多い。
マーケットの全体像を占うファンダメンタル指標のなかで重要な指標は以下のものがあります。
- FRB(連邦準備制度理事会)の公定歩合(FRBが所属銀行に対するローンに適用する金利)
- フェデラル・ファンド金利(準備金を持つ銀行が準備金を持たない銀行に対するローンに適応する金利)
- 株式委託証拠金水準(個人的には信用評価損益率を推します。)
特に金利は景気にダイレクトに影響します。
これは金利水準がFRBの金融政策の引き締めや緩和に密接に関係するからです。
金融政策には常にアンテナを張りましょう。
過去には3回連続の利上げで弱気相場が始まり不景気に突入しました。
平均株価と出来高を1時間ごとに確認する
転換点をより見極めるためには日足より短期の時間軸で見る必要があります。
転換点かな?と思われる順に説明していきます。
「買われ過ぎ」と「売られ過ぎ」ー2つの危険な言葉
- 短期の買われ過ぎ・売られ過ぎ指標は、株価の上下の動きを10日移動平均線としてグラフ化したもので、個人投資家やテクニカルアナリストの熱い支持を得ている。
- 新たな強気相場の初期段階では、この指標が極端な買われ過ぎを示すことがあるので、注意が必要。
- トレンドとは逆の動きをするこのような指標の大きな問題点は、転換期が終わりを迎えるまでに、あとどれくらい株価が下がるのかという疑問を常に抱えることになるということである。
- 私(オニール)はこのような売られ過ぎや買われ過ぎを示す指標にはほとんど注目しない。
買われ過ぎ・売られ過ぎの指標は、主要トレンドの調整局面を狙って利益を得るのが目的です。
もしくはレンジ相場では有効といえます。
それゆえに何倍ものリターンを狙って中長期的に保有する成長株投資では、トレンドに従って含み益を膨らませるため向いていません。
本章のまとめ
おわりに
全6回にわたって「M=株式市場の方向」を見ていきました。
ボリュームが多くて消化するのに時間がかかりますが、まずは平均株価と出来高を意識しましょう。
特に天井を見分けるための「売り抜け」、底抜けを見極める「上抜け」は重要です。
結局はどんなに素晴らしい銘柄であっても、市場全体の需要が高まらない限り大化けすることはありません。
CAN-SLIM投資の最後で最も重要な要素だと思っています。
じっくり時間と経験を積み重ねて、本著と当ブログを活用してください。