この章では、トレードに役立つ具体的なエッセンスを紹介しています。
今までが体系的に説明されていた一方で、本章は具体的な指南をしているので、自分のトレードに組み入れたいものはぜひ取り入れてみましょう。
はじめに
- 最近トレードを観察し、実験もしてみた結果、最初の動きでスイング全体の大きさを測ろうとするのは実際的でないし、ほとんど不可能だという確信をもった。
スイング(値幅)を測ることは、誰もが試したことはあるのではないでしょうか。
こんな疑問などをワイコフは答えてくれます。
ぜひワイコフからの提言をありがたく受けましょう。
スイングを測る
- 重要なスイングの多くは非常におとなしく始まる。
- 天井から下落に向かう重要なスイングでは、初めは出来高もわずかで、安値に向かってゆるやかに動いていたのが、その後、商いを伴ってどんどん値下がりし、最後には激しい突っ込みを見せる。
スイング(値幅)の大きさは、デイトレードやスキャルピングで利益を得る上では重要な要素です。
スイングは、振り子のように最初は小さく揺れるところから始まります。
飛び込む勇気
- トレーダーは主力先導株の重要なスイングを全部とらえるようにすべきと考えている。
- そのためには、株価が新しい領域を進むとか、あるいはほかの合図が出たら、間髪をおかず行動に移し、どこまでもそれについて行く構えをとるべきである。
監視銘柄を決める際に説明がありましたが、相場全体や投資銘柄に影響を与える可能性が大きい主力先導株の動きには注目する必要があります。
これは一銘柄のみを見るよりも、多くのサインを見つけることが可能だからです。
ただし、そのサインははっきりしたものではなく、ささやかでぼんやりしたものが多いように思えます。
もちろん後から振り返れば、簡単に言いつくろうことはできますけどね。
それでもテープ解読者は、勇気をもって飛び込むことが求められます。
例えばわずかなスイングを描いていた株価が、いきなり限界を突き破ったとしたら、それに従わなければなりません。
わずかなスイングは無視してよい
- 私は、どんな小動きも捉えるように努めるべきだと言っているわけではない。
全てのスイングを追っていたらキリがありません。
それに例えば株価が3ポイント上昇したあとで、1~1.5ポイント下落して、出来高が少なかったとすれば、それはどう見ても必然的な押しで、トレンドの転換と考えるべきではありません。
また中長期トレードであれば、なおさら小さいスイングによる損失は受け入れる必要があるでしょう。
スイングを捉えよう
- 熟練したトレーダーは普通、3ポイントぐらいの利益が出たら、それを逃さないようにする。
- 値上がりするにつれてストップのレベルを次第に引き上げていき、最初の本格的な下落に出合ったら、高値付近で株を手放すのだ。
- そうすれば下落した時点で、ほかに良いチャンスがなければ、その株を買い直すことができる。
- そこで買い直した株は、新高値へと突き進む合図がなければ、直前の高値に近づいたときにもう一度売ることになる。
デイトレードの場合でも、基本的にはトレンドに乗ることが大事になります。
出来高の大小だけで判断してはいけません。
なお、ワイコフの時代は一/八ポイント単位で呼値が決まっています。
そのため熟練したトレーダーの最低目標を、日本株に直すなら24ポイント(=3ドル÷一/八ドル)になるでしょう。
たとえば呼値単位が1円なら、1株24円(100株なら2400円)になります。
相場変動の段階
- 市場全体や個別銘柄の変動はすべて、人間の成長段階に対応した段階を通って進む。
- テープ解読者は幼少期に手掛けて、老年期で手仕舞うことを狙う。
- たいていの場合、変動が始まるのがスイングの合図である。
- ひどい弱気や下げ圧力の中で、新たな強気の動きが生まれる可能性がある。
相場には始まりから終わりまであります。
弱気相場から強気相場へと移り、そしてまた弱気相場へ戻ります。
したがってテープ解読者も、相場観を持つことが求められます。
そしてその初動を捉えるためには、転換点を見極める必要があります。
アキュミュレーションやディストリビューションを意識しましょう。
この点オニールは、市場平均を用いて転換点を見極める方法を紹介しています。
gyatuby.hatenablog.com
まとめ
- トレーダーは主力先導株の重要なスイングを全部とらえるようにすべきと考えている
- ただし、どんな小動きも捉えるように努めるべきだと言っているわけではない
- 3ポイント(日本なら24ポイント)ぐらいの利益が出たら、それを逃さない
- テープ解読者もまた、相場観が求められる