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オニールの成長株発掘法第15章①~最高の業界、業種、川下業種を選ぶ


セクターローテーション理論を活用するうえで、欠かせないテーマです。


せっかく人気業種を特定できても、銘柄選択までできなければ意味がありません。

この章では、セクターから銘柄選びをする際のポイントを中心に読んでいきます。

最高の業界、業種、川下業種を選ぶ

  • マーケットを牽引する主導銘柄の大部分は、同じくマーケット全体を牽引する業種に所属している。
  • 相場サイクルごとに主導銘柄を握る業種が変化する。
  • 「業界」とはセクターと呼ばれ、企業やその業種の総称である。例えば、基幹産業(または市況産業)、消費者製品、消費者サービス、運輸、金融、ハイテクなどがこれにあたる。
  • 「業種」とは、業界よりも細かく分類された特定の企業が集まった産業グループで、1つの業界には通常複数の業種が存在する。
  • 「川下業種」はサブグループとも呼ばれ、業種をさらに特定した分野に細分化したものだ。
  • 明確性と利便性を高めるために、一般的に業種と川下産業は1組にして表示し、それをまとめて「業種グループ」と呼ぶことにする。

業種と業種グループの説明については、実際の区分を見たほうが分かりやすいでしょう。

IBDのセクターについて有志で解説している上記YouTubeのページに記載されている、IBD(インベスターズ・ビジネス・デイリー社)のリンク先から業界・業種リストを無料でダウンロードできます。

同じリンク先をこちらにも載せておきます。
https://www.investors.com/research/ibd-live-faq-helpful-links-answers-to-questions-about-zoom-charts-ibds-methodology-more/

詳しいダウンロードの仕方まで説明されているので、わからなければ参考にしましょう。

→2023−03−09追記、サブスクに課金しないとリンク先からリストを入手できなくなったようです。使いたいのであればトライアルに加入しましょう。

出所:IBD

https://research.investors.com/stock-quotes/nasdaq-apple-inc-aapl.htm

ここでは、IBDのサイトからApple社の銘柄情報を調べています。

黄色いハイライトの箇所が、Appleが属する業界と業種グループです。


IBDではAppleのように、業種ごとに銘柄を分類していることがわかります。



セクターローテーション


主導銘柄の株価の動きの半数が業界全体の強さに関連しており、相場サイクルごとに強いセクターが変化していきます。

このような考え方は、セクターローテーションと呼ばれる考え方に近いです。
gyatuby.hatenablog.com

少し脱線しますが、次に強さを示すセクターを先回りして投資する手法も考えられます。



197の業種グループを追随する理由

  • その業界の中でどの業種グループが最高の成績を上げているのかを見分けることはとても重要です。

東証などが定める業種グループの数は30個ほどと比較的少ないですが、IBDでは197の業種グループに銘柄が分類されています。

IBDが業界をかなり細かく分類していることが分かるでしょう。


これはIBDの考え方として、ある業界に所属するすべての銘柄が同じ速さで業績を上げるわけではないということです。

つまり、突出した成績で業界を率いる銘柄もあれば、業界の足を引っ張る銘柄もあります。


業界に注目することはもちろんスクリーニングの点で大事ですが、やはり会社単位や業種グループの小さな視点で注目することも大切ということでしょう。



マーケットを先導する業種グループを見極める方法

  • 銘柄選択を上位20グループに絞り、下位20グループを避けるようにすれば、最高の業界に所属する最高の銘柄を見つけだす確率が上がるはずである。
  • どの業種グループが支持されているか、あるいは支持されていないかを見極めるもう一つの方法は、投資信託の成績を分析することだ。
トトロと行こう

オニールは業種グループでスクリーニングする方法を実践しています。

基本的には強い業種グループを選ぶだけです。


セクターローテーション理論においても、強い半円の業種を選ぶことは考えられるでしょう。



規模があまりにも小さいと、そのグループの強さはマーケットに影響を与えない

  • 1つの川下業種に出来高の少ない零細企業が2社しかなかったら、それをグループとして考えるには十分ではない。

これは感覚的にもわかるかと思います。

相場全体に対して小さすぎては、影響を与えることができません。

業界規模があまりに多い場合

  • 化学や金融業といった1つの業種に過剰な企業数がある場合は、極めてまれな産業条件の変化が何かしら起こらないかぎり、その産業の魅力を増す要因にはならない。

競っている相手が大勢の場合もまた、既にレッドオーシャンとなっているために突き抜けた銘柄が出る可能性は少ないです。



IBDで利用するには

  • 銘柄選択を上位20グループに絞り、下位20グループを避けるようにすれば、最高の業界に所属する最高の銘柄を見つけだす確率が上がるはずである。

くれぐれもバリュー投資を目的として、下位グループから選んではいけません。

評価が低いのにはそれなりの理由があるからです。


また、「業種グループ別レラティブストレングス指数」(Group RS Rating)がA評価の場合は、上位24%の業種グループに入っていることを意味しています。

なお、当たり前ですが有料です。




投資信託の成績を見る

  • どの業種グループが支持されているか、あるいは支持されていないかを見極めるもう一つの方法は、投資信託の成績を分析することだ。

オニールは、アメリカのフィディリティ・インベストメンツが運用する業種別投資信託を見ることを推奨しています。

35種類以上の業種別ファンドのうち、年初来高値を更新しているファンドを2~3覚えておくと役に立ちます。

IBD業種別ランキングが米国株でしか作成されていないため、日本株で運用する際は投資信託の成績を見ることも一案です。


日本株の場合は野村アセットマネジメント投資信託が有力でしょうか。
moneyworld.jp

業種別のETF(NEXT FUNDシリーズ)を運用しているため、米国株と同様に活用することができるでしょう。
nextfunds.jp

IBDの宣伝


先ほどのAppleの例ですが、IBDでは上のように有用な情報をまとめてくれています。

米国株投資をするうえでは参考になるでしょう。


時間と手間を惜しまなければ自力で何とかなるレベルです。

しかし、オニールの考えに賛同するのであればIBDを有効活用して、時間効率を上げることが大切なのかもしれません。


業種のトレンドに従う重要性

  • 業種グループおよび川下業種ごとに見ていくことにある。
  • 新しい相場サイクルになると必ず生まれる新しい主導銘柄を常に把握しなければならない。
  • これは歴史が裏付ける事実であるー強気相場を主導する8銘柄中1銘柄のみが次の強気相場まで生き残り、再び主導銘柄になれる。

銘柄のスクリーニングを行う上でも、業種のトレンドを追うことは重要です。

調べると手間がかかりますが、苦労に見合った報酬はきっとあります。



業種グループおよび川下業種ごとに見ていく

たとえば住宅業界の改善期と建設業界の大きな方向転換が将来訪れると知っていたらどうしますか?

そしてその業界の中から、どうやって最高の業績の銘柄を選べばいいでしょうか?

その答えは、業種グループおよび川下業種ごとに見ていくことにあります。


上で挙げた例は1970年時点の住宅市場環境でした。

このうち、建設業界の典型的な銘柄は成績が振るわなかったものの、新たに生まれた建築関連の川下業種は株価が3倍に上昇しました。


教訓としては業界全体で好ましいから単純に買うことはせず、あくまで企業単位および小グループ単位で見ていく必要があるということです。

業界を追うだけでなく、企業研究も忘れてはいけません。



新しい強気相場と新しい主導銘柄

またコンピューター業界は、次々と新たな川下産業が生まれてきました。


既存の銘柄を押し退け、新しい企業が芽を出します。

例えばYahoo!が追われ、Googleが生まれたように。


したがって、新しい相場サイクルになった時は、必ず生まれる新しい主導銘柄を常に把握しなければなりません。

そして、主導銘柄のうちいくつかは、次の強気相場でも主導銘柄であり続けます。


この次々と生まれるチャンスのうち、いくつか掴めるかどうかで投資成績は変わってくるでしょう。



まとめ

  1. マーケットを牽引する主導銘柄の大部分は、同じくマーケット全体を牽引する業種に所属している。
  2. 業界の中でどの業種グループが最高の成績を上げているのかを見分けることはとても重要です。
  3. 銘柄選択を上位20グループに絞り、下位20グループを避けるようにすれば、最高の業界に所属する最高の銘柄を見つけだす確率が上がるはずである。
  4. 新しい相場サイクルになると必ず生まれる新しい主導銘柄を常に把握しなければならない。
  5. 強気相場を主導する8銘柄中1銘柄のみが次の強気相場まで生き残り、再び主導銘柄になれる。




おわりに

セクター(業界)から銘柄をスクリーニングする方法を、本章では学んでいきます。


銘柄一覧から最高の株を選ぶのが通常かと思いますが、活況な(またはその予定の)業界からアプローチする方法もあります。

オニールによれば約6割が、上位業種グループから大化け銘柄が生まれているとのことなので活用しない手はないでしょう。

次回はこちら
gyatuby.hatenablog.com


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