テクニカル分析にあたる第2章もこれで終わりです。
ラスト回はテクニカル分析の注意点について読んでいきます。
下落しやすい幅の広いルーズな構造
- 株価が幅の広いルーズな構造を続けると、たいてい下落が起こるのだが、なかにはあとから上昇に転じるものもある。
株価の値幅が大きく期間が長い場合は、まだ株価が不安定のため、ベースを超えてブレイクアウトしても失敗することが多いです。
下記はレーザーテックの週足チャートですが、ベースが積み重なるうちに、ベースパターンの縦幅と横幅が大きくなっていることが分かると思います。
ダマしの株価パターンとベース構造を見破る
- 信頼できるベース構造には最低でも7~8週にわたる揉み合いの期間が必要だということだ。
- 「コイル」「トライアングル」「ペナント」のパターンは、適切なベースを作るための時間と調整を経ていない弱いベース構造なのだ。
ダマしの株価パターンとは、最初はうまく上昇しそうだったが、結局は上がり切らず失敗に終わる不完全な株価パターンを指します。
ダマしを知ることで強い株価パターンを見抜くことができます。
とはいえ外れのパターンまで覚えてもしょうがないと思うので、トリプルボトム以外はテクニカル分析の本を読んだときに、思い出してもらえればいいでしょう。
ちなみに気になっている本はこちらです。
前書『先物市場のテクニカル分析』では一通りのチャートが掲載されていましたが、次作にあたる『マーケットのテクニカル分析』には値段がお高くて手が出せていません。
トリプルボトム
- 「トリプルボトム」「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」はどちらも弱いパターンであることが分かっている。
- 「トリプルボトム」は「ダブルボトム」に比べると、レンジが狭くかつ力弱さと魅力に欠けるパターンである。
- その理由は、安値への急激な株価調整が3度も入るからだ。
- 「ダブルボトム」なら二度、「取っ手付きカップ」なら一度ですむ。
- 安値が上昇する「取っ手」部分の形も不完全で、ダマしであることが多い。
トリプルボトムについては、ダブルボトムの回でも少し触れましたが改めて見ていきましょう。
gyatuby.hatenablog.com
急激な株価調整は、ときに握力の弱い株主を振るい落とすために行われることがあります。
しかし、三度は多すぎです。
これは振るい落としよりも、売りたくて仕方ない供給者が多いことを意味しているかもしれません。
トリプルボトムは、それだけ不安定で崩れやすいチャートパターンなのです。
それは取っ手部分が出来たとしても変わりません。
もちろん成功することはあるかもしれませんが、それに身を投じるべきかはいささか疑問です。
そんなところで勝負するよりは、ほかで勝負できるチャンスがきっとあるはずです。
ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ
少し横道にそれますが、天井を見極めるパターンとして、「ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ」が紹介されています。
右肩が左肩よりもやや低いことが求められていますが、売りのサインについてはまとめて本著の後半で紹介されていますので詳細については触れません。
気になる方は以下の記事をご覧ください。
gyatuby.hatenablog.com
なお、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップは『オニールの空売り練習帖』で詳しく扱っています。
高値における株式供給
- 下降トレンドのあとに株価が上昇するとき、高値付近で強い抵抗を受けるときにこう呼ぶ。
- このような抵抗が起こるのは、以前にその株価付近で買った投資家がいることを示している。
- 自分が買った水準まで株価が回復したところで売ろうと待ち構えているので、その売り物が出ると、株価が上昇しにくくなる。
- このような投資家たちは、「トントンにまで株価がもどったらすぐに売るぞ」と自分自身にいい聞かせているのだ。
- 巨額の含み損を抱えたあとに、それをゼロにまで戻せる機会が訪れたなら、多くの人が売るのはごく当然のことである。
下降トレンドに陥ると、なぜ反転しづらいかを端的に説明しています。
私たちは適切なポイントで買いましょう。
なお裏を返せば、高値における株価供給を切り抜けた銘柄は、たとえ高値で推移しても安全だと言えます。
売り物がなければ需要が上回るためであり、新高値で買えという根拠になります。
なお2年以上経過すると、さすがに抵抗力は衰えます。
そして新高値へとブレイクアウトした銘柄は当然魅力的な投資先になります。
無名の新興銘柄が秘める可能性
- 抜け目ない投資家は、過去10年間に浮上してきたIPO(新規公開)株をすべて把握しているはず
- この作業が重要なのは、これらの若い新興企業のなかから、1~2年以内に驚くほどの伸びを見せる銘柄が生まれるからである。
- 成長を遂げる若い銘柄は、起業から5~10年間に収益率を最も急速に伸ばす傾向にある。
本書で扱う成長株は、そのほとんどが新興株が該当します。
大きく成長し終わった成熟株では、これ以上高い成長が見込めないためです。
つまり、新興株はビジネスが軌道に乗るまで、伸びしろが非常にあるといえます。
ではどうやって銘柄選択をすればいいのでしょうか?
それはこれから学ぶCAM-SLIMで絞り込みます。
賢者への警告
- 弱気相場の始まりや最中で、あなたが買いパターンだと思っても、そのほとんどは不完全なもの
- 弱気相場では絶対に買いを仕掛けてはならない
- タイミングや銘柄選択が間違っているということだ。
- 弱気相場の株価と出来高のパターンは不完全で、不安定で、人の目を欺くもの
- だから辛抱強く待ち、研究を続け、来るべき強気相場に備えて準備万端にしておくしかない。
したがって、私たちは弱気相場の終わりに買うことで莫大な利益が得ることができます。。
まさに「安値で買い高値で売る」ですね。
個人投資家がファンドよりも有利な点として、相場を休める点にあります。
勝ち目が薄くても運用する義務はないので、しっかり学ぶとよいです。
せっかくの人生なので、当然休むことも遊ぶこともまた大事だと思います。
本章のまとめ
- 本書の要点をまとめると、チャートの読み方と使い方を学んで銘柄選択眼とポートフォリオ全体のパフォーマンスを向上させろ、ということに尽きる
おわりに
チャートの分析については本章でほぼ終わりです。
次回以降はファンダメンタルを分析するツール、CAM-SLIMについて一つ一つ見ていきます。
gyatuby.hatenablog.com