大化け銘柄の買う条件である”CAN-SLIM”は、7文字のアルファベットで表したものです。
前回から引き続き、最初のアルファベット「C:当期四半期のEPSと売り上げ」です。
- 前回はこちら
- 当期EPSが急騰した企業を探す
- EPS増加に加え売り上げが増加した企業を探す
- 2四半期連続でEPS増加率が減少したときは注意せよ
- 週単位の対数グラフを分析する
- 同業他社の銘柄を確認する
- 当期四半期決算報告の入手方法
- まとめ
- おわりに
当期EPSが急騰した企業を探す
- その企業のEPS増加率が以前よりも改善されていることも重要になるのだ。
- 年間EPS増加率15%の企業が突如として40~50%、あるいはそれ以上の躍進を始めたら、上昇のための重要な基礎条件が整ったことを意味している。(アーニングサプライズ)
- これ以外にも、過去数カ月の間にアナリストが企業の予測を何回上方修正したか、そして、最近の四半期決算発表が実際にアナリストの予測をどの程度上回ったかなども、EPSを判断する材料となる。
EPS増加率が以前より増加していることが重要です。
これは当たり前といえば当たり前ですが、その企業のEPSが増加すれば増加するほど素晴らしい銘柄といえます。
他にもアナリスト予想の上方修正の回数や、実績がアナリスト予想を上回ったかなども判断材料になります。
ただしアナリスト予想もあくまで予想に過ぎないため、今まで述べたことに比べたら重要度は少し下がると思っています。
EPS増加に加え売り上げが増加した企業を探す
- 売り上げが直近の四半期に少なくとも25%以上増加しているか、あるいは売上増加率が直近3四半期で加速していることが最低条件
- 新しい株式(新規公開株)のなかには、直近8四半期、10四半期、または12四半期それぞれで、売り上げ増加率が平均100%を超えるものがある。そのような銘柄は詳しく調べてみる価値がある。
- 売り上げと収益の両方が過去3四半期で急速に伸びてした銘柄は、とくに注目に値する。
- そのような急成長を見せた銘柄はどんなに利益を確定したくても、そこは我慢して売ってはならない。
- また、直近の四半期の当期純利益が最高値かそれに近い水準を記録しており、その企業が所属する業界のなかでも最上位であることを銘柄選択として加えれば、成功率はさらに向上するだろう。
一般的に売り上げの上昇が伴えば、利益は伸びます。
反対に売り上げが伸びなくても、利益が伸びることもあります。
例えば、リストラや広告費の削減といったコスト削減で、売り上げが伸びずとも利益を増加させることは可能です。
しかしこんなことは長続きしません。
家計は火の車であり、緩やかなに衰退の一途をたどります。
売り上げの増加が続く限り、たとえコストが比例して増加し利益が少なくなっても、いずれ利益は上向く希望があります。
稼ぐ力こそが最も重要なのです。
2四半期連続でEPS増加率が減少したときは注意せよ
- EPS増加率が失速し始めている銘柄や、著しく減少した銘柄を認識することも同じくらい重要である。
- その銘柄は何らかの問題を抱えていることを意味している可能性があるため、買いは控えるべきだろう。
- 前回の増加率に比べて3分の2以上の減少を目安とするといい
急成長を見せていた銘柄が急にブレーキした場合、何らかの問題を抱えている可能性があります。
ただしどんなに優れた企業であっても、一時的に成長が止まることはあります。
そこで2四半期連続でEPS増加率が減少した場合にはじめて、その銘柄への投資を見直すことで猶予を与えてあげましょう。
例えばEPS増加率+100%→30%といった具合です。
週単位の対数グラフを分析する
- 対数グラフは株式分析をするうえで大きな価値を発揮する。
- それは、四半期ごとのEPSの増減率が明確に見て取れるからである。
- 何でも自分で判断するDIY投資家にならば、直近四半期のEPSとそれ以前の3四半期のEPSをすべて対数グラフに描いてみると、EPSの増減がはっきりと見える。
増減が極端に大きいもしくは小さい場合は、普通見慣れたチャートでは使い物にならないことがあります。
対数グラフはそんな増減の幅が急になっているときに役に立ちます。
対数グラフを利用したい場合は、TradingViewを使いましょう。
本著ではy軸に株価とEPSの対数グラフを描きます。
普段見慣れたチャートに追加でEPSを記載するイメージです。
対数グラフを描くことで株価とEPSの関係が、通常のグラフよりわかりやすく把握できます。
過去12カ月のEPSの増減を描くことで、有望な銘柄では最高値かそれに近い水準になっているはずです。
なおEPSをチャートに描く方法としては、同じくTrading viewのプロ版(有料版)に項目があったので使えると思います。
わたしは無料会員のため、こちらは確認できませんでした。
自作でチャートを作る場合はExcelで可能ですが、ある程度の知識と手間が必要です。
わたしの場合はチャート作成に労力をかけるより、表で数字を並べるにとどめています。
同業他社の銘柄を確認する
- 銘柄選択の質をさらに向上させるには、狙っている銘柄の同業他社のEPSを確認することが有益である。
- 同じ産業に、強いEPSの増加率を示している目を引く銘柄が少なくとも一つなければ、正しい銘柄選択をしていない可能性が高い。
同業他社の調子が悪いのに、その銘柄だけ調子がよかった場合には、なにか理由があるはずです。
たとえば臨時の利益で上積みしているだけなら、投資対象にはならないでしょう。
ただ「同業他社」を調べるというのは思ったより億劫です。
特に小粒な成長銘柄では、ライバルを探すことはもちろん、仮に探し出したとしても、決算が開示されていないことがほとんどです。
なお業界分析については、本書では第15章で登場します。
gyatuby.hatenablog.com
当期四半期決算報告の入手方法
EPSなどの情報は、決算短信、有価証券(四半期)報告書、決算説明資料などを利用して入手することができます。
遅れてもよければ四季報や、証券会社からの情報や日本経済新聞などで調べることも可能です。
会社ホームページから入手するのが、一番確実で手っ取り早いです。
米国株の場合はTwitterでアンケートを取ったところ、証券会社のホームページなどから調べる方が多いようです。
たしかに元の決算資料が英語になるので、日本語になっているもののほうがとっつきやすいのかもしれませんね。
なるべく一次ソースから決算情報を入手するほうが好ましいですが、時間との兼ね合いで信頼できる情報源から入手するようにしましょう。
まとめ
- 当期四半期のEPSは、前年同期比で少なくとも25~50%以上の大きな上昇を示す必要がある。
- 本当に優秀な企業なら、100%~500%あるいはそれ以上の上昇率を記録する銘柄もあるのだ!
投資前チェックリスト
- EPSが3四半期連続で最低でも25~30%以上増加している。最新で伸びが急騰しているとなおよし。
- 強気相場では、EPS増加率は40~50%はほしい。
- アナリスト予想から上記EPSの増加が続きそうか、予想を上回るか確認する。
- 売上が直近の四半期に少なくとも25%以上増加、もしくは売上増加率が直近3四半期で加速している。
- 週単位の対数グラフで、EPSが右肩上がりになっている。
- 同業他社で強いEPS増加率を示している。
投資後チェックリスト
- 2四半期連続でEPS増加率が、前回の増加率に比べて3分の2以上の減少したら見直しが必要。
おわりに
数字(ファンダメンタル)に基づいた銘柄選択を、今回のCと、次回のAで主に行っています。
直近四半期の業績を見ることで、今まさに勢いがついている銘柄を見つけることができます。
将来有望だからあらかじめ投資して寝かすのではなく、上がった直前や直後を狙って投資を行うため、比較的早くリターンを得ることができます。
これは、資本効率の点でも優れています。
株価が上昇しなければすぐに撤退することも簡単ですからね。
次回はCAN-SLIMの、A:年間の収益増加(大きく成長している銘柄を探す)。
こちらを見ていきたいと思います。
gyatuby.hatenablog.com