裏打ちされた売りのサインには、どのようなものがあるかを知ることが大事です。
本書の中でも特に重要であり、入り口を教える投資本は多い中で出口を示す投資本は貴重です。
せっかくなので、本書とは別の日本株のチャートを用いて説明していきます。
前回からクライマックストップ、出来高に続いて、今回は支持線のブレイクによる売りサインを学びます。
売りのテクニカル指標(再掲)
前回の記事は下記リンク先をご覧ください。
gyatuby.hatenablog.comgyatuby.hatenablog.com
以下、内容が非常に濃く重いです。
そこで私見ですが重要度や使用頻度から独自に3段階でつけました。
まずは重要度の高いものから吸収してください。
何度も読んで少しずつ身につけましょう。
なお、チャートの読み方については第2章で扱っています。
不安な方はもう一度復習してから、この売りのルールを読むと頭に入りやすいです。
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支持線のブレイク(★★・)
- 支持線のブレイクとは、メジャーなトレンドラインを下に抜けてその週が終わった時のことを言う。
以前に紹介した売りのサインと比べると、一般的な指標と言えるでしょう。
一般的ゆえに、他の市場参加者も同様に動く可能性が高いことに注意する必要があります。
長期の上昇トレンドラインのブレイク(★★★)
- 1週間の終わりに、重要な長期の上昇トレンドラインを株価が下に抜けて引けるか、大商いを伴って重要な支持線を株価が下にブレイクしたら売りのサインだ。
- 上昇トレンドラインは、数カ月の期間で1日あるいは1週間の安値を最低3か所選び、それを線でつなぐように描く。
- 期間の短すぎるとトレンドラインは有効ではない。
ブレイクの概念がはっきり示されています。
終値(×安値)ベースで突き抜けるか、出来高を伴って下にブレイクするかです。
出来高を伴っていればおそらく戻る確率は高くありませんから、1週間の終わりを待っていては乗り遅れます。
個人的には、ピボットポイントでの買いでも同様に考えるべきだと思ってます。
チャート例では、売るタイミングとしては遅かったかもしれませんが、最後の逃げ時としては有効に機能しています。
簡単に引いてるように見えますが、これは後から引いているにすぎません。
結果さえわかれば誰でも引けるでしょう。
実際に現在進行形で使う場合は、何本か引いて有効なトレンドラインを探していきます。
なお短期間のトレンドラインは有効ではありません。
1日の株価下落が最大(★★・)
- 株価が大きな上昇をしたあとに突然、上昇を始めて以来最大の株価下落を記録したら、ほかの指標でも下落のサインがあるかを確認し、あれば売りを考える。
調整と言うには大きすぎる株価の下落は、売りのサインとなることがあります。
おそらく異常事態が発生しているはずです。
チャート例は、先ほどのスマレジ週足チャートを日足チャートに変更しました。
トレンドラインのブレイクシグナルより早めに点灯していることがわかります。
このケースでは他のテクニカル指標でも、たとえば出来高がこの最大下落日に急上昇しているため、逃げやすかったかもしれません。
週間出来高が最多になって株価が下落(★・・)
- この数年間で最多の週間出来高を伴って株価が下落したら、売りのサインである場合がある。
最大の出来高を伴って株価が下落したら、何か悪いニュースがあったかもしれません。
この時には下落がはっきり確認できることが多いため、こちらもほかの売りシグナルもあわせて確認しましょう。
チャート例では、売るには遅かったかもしれませんが、それでも異常事態を知らせるシグナルとして有効に機能しました。
200日移動平均線が下向き(★★・)
200日移動平均線が下向きに転じたら、それは上昇トレンドの終わりを意味するかもしれません。
ベース形成時の時でさえ横ばいですから、移動平均線が下向きになったら、宴の終わりを意味しているかもしれません。
チャート例は個別株ではありませんが、日経平均株価の週足チャートを取り上げました。
ちょうど200日移動平均線が抵抗線として機能しているという日経記事を見たためです。
単なる買い戻しではないと言い切れるか。
— ぎゃつ@FIRE目指す会計士 (@gyatubeee) 2022年5月30日
200日移動平均という上値抵抗線を超えられるか。
米国の金融引き締めを乗り越えられるか。
日本株が本格上昇に転じるには、なお多くのハードルが待ち構える。
不安定な相場に引き続き注視。
日経平均、楽観なき上昇:日本経済新聞 https://t.co/3HACftPx2S
2022-12-13現在、今までずっと下向きが続いたものの、やっと200日移動平均線が横ばいに転じました。
10週移動平均線の下で停滞(★★・)
10週移動平均線を下回る株価のパフォーマンスは、上昇トレンドが終わり下降トレンドがはじまったサインかもしれません。
なおオニールが空売りする際には、株価が50日移動平均線を下回るかどうかを重視しています。
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チャート例は、週間出来高が最大だったときのチャートと同じです。
株価は急落して10週移動平均線をほぼ常に下回りました。
ただ直近(2022-12-13)はグロース株に勢いが戻り始め、レーザーテックは元気よく50日移動平均線を上回っています。
売るタイミングとしては少し遅かったかもしれません。
こちらも他の売りのサインと併せて検討する必要があるでしょう。
まとめ
おわりに
初めてこの章を読んで思ったのは、「売りシグナルが多すぎて結局どこで売ればいいのよ」でした。
利確を早まったこともありますし、売りそびれたこともあります。(これは投資家あるあるだと思いますが…)
一番悪いのが、売り損ねたなどでメンタルにダメージを受けて、感情任せにトレードすることです。
そうした事態を防ぐテクニックを1つ紹介します。
それは「売るタイミングを2分割なり4分割なりして、自分で決めた売りサインが現れたら機械的に売却すること」です。
一部でも利確することで、精神的にはだいぶ楽になるはずです。
もちろん最後の逃げ時になったら逃げたほうがいいですが、何も目安もない状態でトレードするよりは投資成績を残せるのではないでしょうか。
海図も持たずに海に出る航海士はいませんからね。
次回で売りのテクニカル指標については最後になります。
また逃げちゃいけない時についても、併せて読んでいきますのでお楽しみに。
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