油断してボリューミーになってしまいました。
チャートの説明をしてみると、意外にも書きたいことがあってびっくりです。
もちろん、未来の大化け銘柄を見つける目的で、そのヒントとなるものを探します。
銘柄選択の極意(再掲)
チャートを注意深く読むことで、売買タイミングは大幅に改善されます。
銘柄選択は一流なのに、利確が早すぎたり遅すぎたりで機会損失を得ることは、おそらくすべての投資家が通る道かと思います。
必要なのは、買いのタイミングと利確の精度をいかに高めるか考え続けることです。
チャートのテクニカル指標には様々なものがありますが、オニールが使用する主なテクニカル指標は、株価と出来高、移動平均線とシンプルです。
わたしたちが学ぶべき対象として、これ以上のものはないでしょう。
オニール氏が伝授する投資法を、余すことなく学びましょう。
チャート100本ノックでは、関連記事や注釈等を時系列順にまとめています。
本書を手元に置きながらお読みいただければと思います。
なお、前回の記事は以下をご覧ください。
gyatuby.hatenablog.com
デュポン・ドゥ・ヌムール(1925年)
- 225週間で1074%上昇
- 農業、映画、自動車業界など数多くの産業に参入した科学技術のトップ企業
- 1926年のヘンリー・ウォレスによる種トウモロコシ交配、および防湿セロファンで有名
今なお残る超巨大企業のひとつです。
当時は、なんとテンバガー銘柄となりました。
上昇ベース
ブレイクアウト後は、株価はうなぎのぼりになります。
買い逃した投資家はハンカチをかむ思いだったでしょう。
しかし、たいていは押しや調整は現れるものです。
しっかり我慢できた人は、このチャンスを逃さず手に入れたでしょう。
振るい落としにも負けずに握り続けた場合は、さらに爆益となりました。
クライマックストップ
- クライマックストップでの売り
今までで最大の値幅を見せています。
その直前も上げ一辺倒です。
これはわかりやすいクライマックストップのパターンでした。
しかし実際に投資していた最中は、上り調子であるだけに、はたして躊躇なく見切ることができたでしょうか?
第2ベース(新第1ベース)
これは判別が難しいです。
個人的には、3週連続で株価が収束したあとから、ダブルボトムが形成されると見たほうが見やすいように思えます。
ただそうするとピボットポイントが低くなってしまい、振るい落とされたかもしれませんね。
特定のパターンを見つけることも必勝法ではありますが、ベースとは調整期間であることを忘れてはいけないという教訓だったと言えるでしょう。
第3ベース
カップ部分のなかにカップウィズハンドルが形成されているように見えますね。
しかしこのミニカップウィズハンドルでは、取っ手部分がパターンの下半分に形成されており不完全です。
またパターンの期間も不十分です。
最初のベースのときは、この銘柄に勢いがあったために調整がじれったいと言わんばかりに上昇していました。
しかし、第3ベースまでいくと上昇のペースはさすがに衰えます。
このようなときは、本書の教えどおり、ベースの形成期間はある程度必要であると思ってよいでしょう。
第4ベース
以前のクライマックストップから数えれば第3ベースにあたります。
普段は第2ベースで現れるフラットベースが、ここで出現するということは、依然としてデュポンに勢いがあるといえるかもしれません。
さらに買い増していきましょう。
バロース・アッディング・マシン(1926年)
- 168週間で1992%上昇
- 20世紀前半最大の計算機メーカー
- 1925年に「バロウズ・ポータブル」という9キログラムに満たない製品を発表
調べてみると、ビンテージ品としてなお愛されているようですね。
当時は画期的な製品だったようで、CAN-SLIMのN(新製品)を満たします。
バロースもまたテンバガー銘柄となりました。
第1ベース
ファンダメンタルがよくなることで、株価上昇の土台がしっかりとします。
ベース期間は44週と比較的長期にわたりますが、この土台がバロースを支えてくれたのでしょう。
そして、取っ手部分の安値切り下がりや、株価の収束が見られたりと、取っ手付きソーサーとしては完全な形と言えたのでないでしょうか。
安心してブレイクアウト時に買うことができたはずです。
第2ベース
1回目のベースで買い逃しても、次のチャンスがやってきました。
ブレイクアウト前では株価の収束が見られ、絶好の株価パターンとなっています。
またベースの安値付近で供給量が少なければ、もはや売りも尽きていることを示しています。
好条件がそろってブレイクアウトを見せたときには、迷わず買い足しましょう。
第3ベース
またもやフラットベースが現れ、まだまだ強い株価上昇の勢いがあることを示しています。
こちらもブレイクアウト前の安値付近で、出来高が急減していることに注目しましょう。
ブレイクアウト時に買うのはもちろんのこと、ブレイクアウト後も増し玉のチャンスがありました。
上昇ベースで行う増し玉に倣って、10週移動平均線への押しからの反発で買い足しましょう。
第4ベース
これもフラットベースと見てはいけないのでしょうか?
まあピボットポイント(買いポイント)は同じなので、あまり気にしないでおきましょう。
値幅が小さいということもまた、(出来高が弱ければ)需給が弱く次のジャンプに向けて足をかがめた状態といえるでしょう。
ここで更に買い足すことで、利益の額はものすごいことになっているはずです。
クライマックストップ
とうとう過剰な株式分割を経て、クライマックストップ、つまり天井をつけました。
バロースは市場平均であるダウ平均に連動して株価は動いていました。
教訓としては手掛ける銘柄だけでなく、ほかの関連銘柄やマーケット全体も監視する重要性が分かると思います。
マーケット全体の天井の見極め方についても、オニールは説明しているので、ぜひ目を通しておきましょう。
IBM(1926年)
今や世界最大規模のIT企業であるIBM。
前の2つのテンバガー銘柄には劣るものの、それでも株価4倍を達成します。
第1ベース
買いポイントを狙って、ブレイクアウト時に出来高増加した場合に買うとほとんどの場合うまくいきますが、失敗することも当然あります。
この失敗したときに損切りをためらいなくできるかはとても重要です。
小さな負けは恥ではありません、積極的に受け入れてください。
でないと、いずれやってくる大きな負けでマーケットから退場する大恥をかくことになります。
今回の失敗と言えば、安値が切り上がっていたのに買っていたことです。
しかしIBMの場合では、損切りのあとに、出来高増加を伴って10週移動平均線を上抜いたタイミングで買い直しましょう。
第2ベース
先ほども解説しましたが、あまり株価パターンにこだわる必要はありません。
そこで株価が揉み合ったり調整している事実こそが重要なのです。
上昇トレンドに乗っているIBMを、ベースの形成期間が短いからと言って無視したりせず、ここでもしっかり拾っていきましょう。
第3ベース
ベースの上のベースになりますが、それでも勢いは止まりません。
1度はブレイクアウトに失敗しましたが、2度目は成功します。
失敗が何度も続いて折れそうになることは少なくありません。
しかし、検証されたルールは”絶対”なのです。
少なくとも投資をしている最中に自分を疑うような真似はやめましょう。
ノーポジションの期間で、いくらでも反省なり対応策を考える時間はあります。
第4ベース
第4ベースまでくると、さすがに上昇の力に衰えが見えたでしょうか。
ベースのパターン期間も長くなってきました。
それでもわたしたちは、ブレイクアウトが成功する可能性に賭けて買い増しする必要がありました。
ベースの上のベースは弱いと言われても、世の中に”絶対”はないのです。
イグゾースションギャップ
窓を開けると、窓埋めが起こるともいわれます。*1
イグゾースションギャップは、クライマックストップの一種としてオニールは扱っています。
ただしIBMで注目すべきは、ギャップが発生した後の下落週で出来高が増加したことです。
下落の勢いが強く、5回も同じ現象が見られたことから、ディストリビューション(売り抜け)が行われている可能性が高いです。
この天井が近いことを知らせるこの合図で、遅くとも逃げ切りたいです。
主要な株価指数も併せて監視していれば、より自信をもって逃げられたでしょう。
チャートから学ぶ教訓
「高値掴みの可能性があるから手が出せない」
「もしかしたら回復するかもしれないから損切りができない」
人間味があり同情もできますが、けっして真似をしてはいけません。
感情はときに邪魔になります。
自分が作り出したルールは、辛くても従ってこそ意味があります。
しっかり準備して精神的な土台を築いておきましょう。
本日の気づき
おわりに
3社だけでもボリュームたっぷりになってしまいました。
次回からはもっと少なくします。
まあそれだけチャートに含まれている情報量が多いともいえますね。
ぜひ気づきだけでも、ヒントになるよう解説するつもりです。